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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2001.2
  • 出版社: プレジデント社
  • サイズ:20cm/461p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-8334-1716-2

紙の本

だれが「本」を殺すのか

著者 佐野 真一 (著)

活字離れ、少子化、出版界の制度疲労、そしてデジタル化の波…。いま、グーテンベルク以来の巨大な地殻変動、未曾有の危機に、「本」が悲鳴を上げている! 取材・執筆に丸2年、著者...

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だれが「本」を殺すのか

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商品説明

活字離れ、少子化、出版界の制度疲労、そしてデジタル化の波…。いま、グーテンベルク以来の巨大な地殻変動、未曾有の危機に、「本」が悲鳴を上げている! 取材・執筆に丸2年、著者渾身のノンフィクション。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

佐野 真一

略歴
〈佐野真一〉1947年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務を経て、ノンフィクション作家に。「旅する巨人」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。ほかの著書に「性の王国」「カリスマ」など。

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みんなのレビュー51件

みんなの評価3.9

評価内訳

紙の本

第3弾に期待したい

2003/06/19 11:35

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:1969 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 相変わらずの取材力・筆致力には舌を巻くが、佐野氏にとっても「現場」である業界を描いている為か、『巨人伝』や『カリスマ』に見られるような第三者的視点で「相手の懐に飛び込んで行く」気概が感じられなかったのは私だけだろうか?
 確かに本書は、現在の出版不況の一側面は言い当てている。書評や図書館までを綿密に取材し、トレンドであるオンライン書店・電子出版も漏らさず、それらの意義にまで言及した本は中々ないだろう。同様に「取次悪玉論」に陥りがちな無知な業界人に喝を入れる姿勢は爽快ですらある。
 しかし、多角的に分析したが故なのか、あと少しで問題の核心に迫れるのに、そこに至らなかったことが残念だ。
 欠落しているのは、「メーカーとしての出版社」という視点である。本が生み出され、読者の手に届くまでには様々な指紋がつく、と筆者は説明しているが、その指紋のつきかたが省略されてしまっている。三章の「版元」では経営者、五章の「編集者」では編集者にしか話を聞いていないのは明らかに片手落ちだ。日本の出版社の歴史、あるいは現在のどこでもよいから具体的な版元を綿密に取材するべきだったのではないか? 版元はメーカーである以上、編集・製作以外の業務も機能として持っている。そういったプロダクト部門以外の版元の姿を描きだすことで、自ずと版元の経営実態が明らかになった筈だ。現在の出版社倒産の多くは、コーポレートガバナンスがとれていないことに起因している。出版労組に言及したところで著者はこの点ももっと深く掘下げるべきだった。
 取次・書店に対して何の提案もない出版営業の実態(書店がメーカーとして版元をどう見ているのか?)、返品に溢れかえる版元倉庫の商品管理の杜撰さ(返本が全て断裁処分される訳ではない。「死ぬ本」「生きる本」の判断基準は?)、「昼時に注文の電話をかけたら電話すらとらない版元」と書いてはいるが、それが何故なのか?(どういう神経しているのか?と憤慨し呆れているだけでは読者は納得しないのでは?)

 本書は、縦横に業界を描いてはいるものの、本質的な部分を抉り出しているとは言い難い。類書の業界本も合わせて読むことをお薦めするとともに、著者には第3弾の執筆を期待したい。

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紙の本

地方出版が出版界を救う?

2003/06/02 05:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る

久しぶりに読み応えのある1冊だった。ただし、2年前に出版された書籍なので、内容が古くなっている部分があるのが残念。例えば、bolの撤退、bk1の安藤店長のさらなる転職、など。出版されてすぐに読むべきであった!
特に参考になったのは、「第四章 地方出版」。地方出版というと、郷土史やその地方のガイドブックを出している出版社、という程度の認識しかなかったが、独自のポリシーをもって出版活動に取り組んでいる人たちが結構いることを教えられた。大量に作って全国にばら撒くのではなく(その分、大量の返品を迎えることになる!)、「売れる数を出版する」という無明舎出版の姿勢は、出版に限らず、経済活動の本質をつく言葉でもある。金太郎飴的な大量生産と40%を超える返品率に「支えられた」現在の出版経済学から脱却するヒントが、この言葉にあるような気がする。
それにしても、よくぞここまで多方面に取材したな、というくらい、充実した内容である。出版業界に住む人間はもちろんのこと、出版社、取次、書店への就職を目指す学生・転職希望者は、予備知識として是非、押さえておきたい。でも、内容が濃すぎて、この業界に対する基礎的な知識がないと、ちょっと難しいかも。

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紙の本

いまどき、いまこそ「だれ殺」。

2003/04/30 09:03

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:松井高志 - この投稿者のレビュー一覧を見る

おととし出た本。新聞などでかなり話題になったような記憶がある。元出版社従業員にとってはヘビーな内容である感じがして、敬遠していた。今更だけれども、ちょっと必要に迫られて読んでみた。その後の反響をまとめた続編が出ているらしいが、それはおいといて、原稿にして1000枚に及ぶというのは、やはり長すぎる。これを短時間で読み切ってしまうのは作者にとっても読者にとっても危険である。加えて、内容にあまりユーモアが感じられない。

 よって、どうしても内容と距離をとりつつ、少しずつ読み進めることになるわけで、興味を引く章とそうでない章とに差ができてしまい、第三章・版元、第五章・編集者、第七章・書評、第八章・電子出版以外は正直、腹に応えなかった。「編集者」については、筆者のいうサラリーマン編集部員だった経験がある自分には、叱声の連続にしか読めない。にもかかわらず、自分がまだ編集だったとして、この本を読んだとしても、明日からぐうたら編集を返上して生まれ変わったように働くか、といえば、絶対そうしないような気がする。そういう意味で、この本はまじめすぎて、読む人を「たらし込む」ところがない。要するに、結構ミもフタもないことが書き連ねてあって、これを読むであろう、無名の多くの凡庸な出版人というものの立つ瀬がない。なんかこういう攻め方は自分はあまり好きではない。

 どうでもいい揚げ足を取るが、「連綿と語る」は「綿々と」ではないか。また日本画家「伊藤深水」は「伊東深水」であろう。攻めているときは脇が甘くてもいい、ということにはならない。この本がいわゆる大手出版社から出しにくいというのは分かるが、校閲がきちんと機能していればこの手のつまらない見逃しはなかったはずである。そういう意味ではこの本も死んでいる。

 私の伯父は、小出版に従事していて50代で亡くなった。この本にも若くして亡くなったり病気になる出版人が出てくる。少年ジャンプの編集長ではないが、「本」に殺される人も少なくないのだ。そのあたりにはコメントしなくても良かったのだろうか。

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紙の本

犯人のわからないミステリーは第一級の作品ではない。

2002/07/02 20:07

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kain - この投稿者のレビュー一覧を見る

 作者は種々のインタビューなどで、「事件ものとしてこの作品をかいた」と答えている。
もし、本当にそうならこの作品は一級の作品とは言いがたい。現実に起きた事件だろうと、想像上のミステリーだろうと、ネタにした以上作者はある種の犯人像をはっきりと読者に提示する必要があるからだ。
 なるほど、「本」をめぐる状況は、大型書店の販売現場や取次などの流通の詳細な流れまで踏み込み、その問題点を指摘している。目新しい内容であり、資料的価値は高い。
 だが、個々の問題点や作者の嘆きがこれでもかと投げかけられているが、読後に「誰が「本」を殺したのか」という疑問が解消されることはない。
 おそらく作者も分らないからこそ、こうしたタイトルをつけ、読者に質問しているのだろう。が、作中には、関係者への悪口雑言の類がこれでもかというぐらい頻繁にでてくる。他者をこうまではっきりと批判する書き方をするなら、推測でもいいから犯人像を提示し、その捕まえ方を示す必要があったのではないだろうか。
 資料としてはいい。しかし、作品としてはどうだろうか。

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紙の本

生きている本に会いたい

2002/06/28 13:28

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:りゅうこむつみ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 書店人としてはやっぱり読んでおかないといけないのだろうか。売りながらずーっと思っていた。お客さんが買っていくのに私が読まないのもなあ…。
 そう思っていたら私は気がつくと『元書店人』になっていた。
 私はこの本の中にも出てくる某書店で働いていた。ブックオフはちょくちょく寄るし、実は司書の勉強だってしていた。もちろん本は好きだ。読みながら苦しくなったり、そうだそうだと頷いたりの連続だった。気がついたら一気読みだった。
 いろんなところで本に関わってきたのは本が好きだからだ。
 一体誰が、殺すのか?
 それはどの部分の『私』なのか?
 とりあえずはまだこれを読んでいない書店人の友人やもと書店人、本好きにも読んでもらいたいと思う。
 考えながらだと、本を売るのも読むのもきっと考え方が変わるはずだから。

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紙の本

だれが「商品」を殺すのか

2002/05/07 18:21

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:奥原 朝之 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本好きにとっては衝撃的な一冊である。しかし『本』を『商品』に置き換えて読んでみるとなにも出版業界にだけある話ではない気がしてならない。誤解を恐れずに書けば、構造不況と言われる業界は多少似通った状況にあるのではないだろうか。

 出版業界が構造不況に陥っていることは、本書を読めば一目瞭然である。この意見に関しては賛否両論あると思うが、売るための仕掛けを考えずに『出版は文化だ』という掛け声の元に本を刷るのがビジネスとは到底思えない。文化という掛け声だけで飯が食っていけるわけが無い。

 『商品』を市場に投入する際にはその『商品』が市場に受け入れられるのか充分に吟味するはずである。
 『本』を他の『商品』と同列に扱うのは無謀だという意見もあるだろう。だが食い扶持を稼ぐのであればビジネスという観点から出版を考えなければならない。良書だけでは飯は食えないのである。しかし平凡社の東洋文庫や岩波書店の岩波新書も切り捨ててはいけないのは確かではある。そこの相反するところから脱却できていない点が出版不況の実態なのではないだろうか。

 最近はマンガでさえすぐに絶版になるものが多い。インターネットの普及のおかげで『復刊ドットコム』なるサイトが開かれ、そこで復刊希望者を募って版元に再版を持ちかけるという流れも起きている。

 本書にも書かれている通り、『本』という商品の周りで本が好きな人間が本を『生かす』ために、売るために、読んでもらうために様々な働きかけをしている。今はこれらの動きが収束していない。これらの動きを収束させるような仕掛けが出てくると『本』の未来も多少は明るいのではないだろうか。

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紙の本

「本」に関る世界の現状

2002/04/22 02:49

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投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者の意図とは別として、本に関わる業界外の人間であるわたしに
とっては、本に関わるさまざまな業界の内情を知ることができたこ
とが、本書を読んでの最大の収穫であった。

本というものは、その種類に非常に幅があるものである。人によっ
て、その価値や意味は大きく異なるだろう。わたしもかなり本が好
きなつもりだが、著者が本に対して投げかける眼差しに、わたしは
まったく共感することができなかった。このことには、自分でも面
白いと思ってしまった。

しかしわたしと同様の人にとっても、この本はたいへん面白く読め
る本だろう。「あんたが本と呼んでいるのだけが本じゃない!」と
憤りを憶える向きもあろうかと思うが、本というものになにがしか
の思いを持っている人は、ぜひ読んでおかれると良いと思う。

もうひとつ、いわゆる「電子出版」と呼称されている分野に関する
記述の中で、この本の著者や、本とコンピュータの接点のところに
いる人々でさえも、コンピュータやネットワークの本質的な意味と
いうものが分かっていないのだということが透けて見えてげんなり
した。それと同時に、ネットワークの中にある、電子化本関係の活
動があんなにもヘンであることについて納得がいったのが収穫であっ
た。

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紙の本

考察よりも人間ドラマが面白い

2002/01/10 19:12

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かけだし読書レビュアー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 書店、流通、版元、地方出版、編集者、図書館、書評、電子出版など、その業界に携わる関係者の声を元に構築された、出版界の裏舞台が垣間見えるノンフィクション。

 さすがに題材が題材なだけに華がないというか地味ですけれど、「出版業界に携わる関係者の人間ドラマ」といった読み方で楽しめました。個性的な人物が多いのも面白い。ただ1つ1つの事柄について深く掘り下げている訳ではないので、ざっと目を通して全体を把握するような出版界の今を知る入門書、といった印象。

 個人的には小難しい話よりもむしろ、冒頭にあったはじめての本づくり(原色怪獣怪人大図鑑)のエピソードに惹かれました。新宿の連れ込み宿の一室にこもりきり、隣室の男女のあえぎ声などを聞きながら「レッドキングの得意技は飛び蹴り」「バルタン星人の得意技は空手チョップ」などと書いていたそうで。それってシュール。

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紙の本

「本」の世界の事件簿として秀逸

2001/12/31 01:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Y’s cafe 店主 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、今日の出版不況を未曾有の危機ととらえる著者が、本の世界を構成していると思われる各主体(読者、書評家、書店、取次、出版社、編集者、著者)について、精力的な取材をもとに書き上げたノンフィクションである。本書では、書店や出版社の危機的状況がつづられる一方、新古書店のブックオフが急成長を続け、出版社のなかでは幻冬舎がベストセラーを次々と生み出していることなどについても触れている。著者は、出版不況の本質的な意味合いは、不急の商品である本と、世の中の動きに急き立てられる読者との間で進行する、時間の乖離現象であるという。著者は作家であるから、本の文化的側面に重きを置く。それが、やや感傷的と思われる部分もあるのだが、それでも、本書からは本の世界の現在が充分伝わってくる。

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紙の本

ざっと読んでおくくらいで

2001/10/27 21:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ひととおり現在の本をめぐる状況や支えている人、エピソード(どうしてジュンク堂って名前がついたかとか)について知っておくにはよい本。ただどうしても作者の視点が低すぎて、それ以上にはなりえてない。

 とくに電子本をめぐる状況をとっても、もっと深い考察ができそうなもんだが、結局足でしか稼げていない。まあ現場をまわって足で稼ぐのも重要ではあるんだけど、いかんせんまとまりにかけるし、方針のない現状把握で終わっちゃうんだよね。初出

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紙の本

本の世界で何が起きているかを知りたいなら

2001/09/23 21:40

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る

 現在の「本」を取り巻くさまざまな問題点や課題を数多くの関係者へのインタビューから浮かび上がらせた著者渾身のノンフィクションである。

 「無謀だということは重々承知のうえで、私は、著者という最川上にいる存在が生み出したテキストが、編集者と出版社の手で加工され、取次を経て書店に並び、「本」という名の商品として読者に消費されるまでの全プロセスを一つあまさず描いてみたかった。そしてそのメインストリームを補助する役割をもっている書評や図書館の世界が、いまどんな状況にあるかもあらためて追求してみたかった。」

 と、あとがきにあるように本書は「出版・流通」や「編集」だけの話ではなく「本」を取り巻く世界を「串刺し」にして論じている。そのためにかなりのボリュームになっているが、どのプロセスの話にしても綿密な取材が行われており、とても興味深い。

 とにかく取材対象者に個性的な人物が多い。例えば、その風雅な受け答えぶりと含蓄のある発言から著者がひそかに「閣下」と呼ぶ紀伊國屋書店代表取締役会長兼社長の松原治はブックオフについてどう思うかと聞かれて、インチキ極まるものだと思うと答えている。
 往来堂書店の店長からオンライン書店「bk1」の店長に転身した安藤哲也は書店は本を“管理”するのではなくて“編集”しなければならない。そうでないとどこに行っても同じような“金太郎飴”書店ができてしまうと言っている。
 ホテルオークラのスイートを常宿としているアカデミー出版社長の益子邦夫との一問一答で著者が「ハア?」と面食らってしまう様も面白い。

 いま話題となっている「ブックオフ」問題も当然取り上げられている。売れない新刊書店がブックオフで本を安く買い、それを版元へ返本して利ざやを稼いでいるなんてショッキングな事例も紹介されている。ブックオフが出来ると近くの新刊書店は万引き対策に頭を悩ますなんて話も出ている。

 とにかく、書店、取次、出版社の話にとどまらず、地方出版の話、編集の話、図書館、書評、電子出版の話と本にまつわるありとあらゆる話が網羅されている感じである。これを一冊読めば、いま本の世界に何が起きているのかが手に取るように分かるだろう。

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紙の本

読者が本を殺してる

2001/09/09 17:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:道成寺 新 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、本をとりまくあらゆる人のインタビューを通じて、出版不況と言われている今を切り取ろうとしている。bk1も取り上げられていますね。

 この本は、むちゃくちゃではある。佐野さんの指す「本」の範囲がとても狭い。そして、その狭い分野は面白くもなんともない分野なんだから、衰退して当たり前とも思う。あと、肝心の「読者」を取り上げていない。わざとなんだろうけど。

 そんな欠点はあるけど、出版業界の構造がいまいち分からない人にはとてもよい本である。あまり関係が複雑であまりに分からないのだから。

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紙の本

どうせあたしをだますなら死ぬまでだましてほしかった

2001/08/09 13:48

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:quizhunter - この投稿者のレビュー一覧を見る

 こないだの「東電OL」からたいして経っていないのに、もうこんな分厚い本出すなんて、佐野眞一はよく働いていて偉いなあ。内容は構造的に破綻をきたしている出版業界の問題点を探らんと言ういう視点から始まって、出版社から取次、大型書店、街の書店と書籍流通の川上から川下まで、おまけに地方出版、図書館、電子出版、書籍のネット販売など、本に関わるもの全て調べちゃえという意欲作です。

 前作に引き続き、いい意味で著者の子供ぽい情熱が出ていて、出版なんて興味がない人にも楽しめるいい本だと思います。紀伊国屋商店のやけにかっこいい総帥や、アカデミー出版のへんてこ社長など、怪人物が登場するくだりが個人的には大好きです。

 ただ、欲を言えば、電子化に対するぼやけた期待ではたりと物語を終えてしまっているのが残念です。著者自身が感じている書物の本質的な魅力というのは、むしろ過去に目を向けたほうがうまく見つかるような気がするのです。時間の経過や物流の問題によって隠されがちなものがふいに偏在してしまったりするようなのがデジタルの妙味であって、その辺をついて欲しかった。

 勝手にエピソード作るのはなんですが、例えば、著者自身が長年捜していたいい匂いのする稀覯本がネット検索であっさり見つかったとか、まずは著者が捕らわれている「本の魅力」とはなんだったのかを見定めて、デジタル化の未来にはその「本の魅力」を解放する世界があり得るのか? とスポットを当てていけば、より面白くなったような気がします。まあ、そうなるとタイトルの「殺すのか」とはずれてきてしまうのかもしれませんが、少なくとも著者の考える「本の魅力」については、もう少し踏み込んでほしかったなと思うわけです。

 余談ですが、私もこの本でbk1のサイトを知ったクチです。そういう情報量と言う意味では、ほんといい本ですよねー。リスペクト!

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紙の本

「本」をめぐる声、声、声

2001/07/17 21:48

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:24wacky - この投稿者のレビュー一覧を見る

 いくら本好きといっても、こんなにたくさんの本がこんなに目まぐるしく出ては消え、出ては消えしていっては、もうこれはほんと、堪らない。
 ここ十年、いや二十年、本屋さんに行っては何度息を詰まらせたことだろう。それでも性懲りも無く来てしまったお気に入りの店で手にしたのがこれ。

 だれが「本」を殺したのか

 刺激的なタイトルの本書は、本好きを自認する著者=探偵による犯人探しというエンタテイメント小説の醍醐味を持っている。その意味で「業界関係の」専門書より、より多くの読者に恵まれることが予想される。
 探偵は自らの足で日本国中駆け巡る、南は沖縄まで。その途上で発せられた、生の、せっぱつまった、俗っぽい、あまたの声の記録。

 「取次は少しでも売上げを伸ばそうと、ビデオを扱えとか、ファンシーグッズをやれとか、やれこれからはコミックだ、雑誌主体だといってきたわけですが、〜私にいわせれば、文化に値しないものまで同じ再販制度で守られている。でも、うちはあくまで守っていきたいんですよ、『本』という文化を」

 「版元にも責任があります。客注があって在庫の有無を問い合わせる電話をしても、昼休みだといってつなごうとしない。何が昼休みですか。読者から注文が入っているというのに。大手といわれる出版社ほどそういう傾向があります」

 「日本の市町村では公共図書館がないところがまだ七割もある。これが充実されれば、図書館需要だけでも出版物の基礎部数が確保されます。そうなると、出版社は売れる、売れないの基準を優先せず、ゆっくり企画を温めて心のこもった本を世に問うことができます」。こう語る書店主は自店内に「本の学校」という私塾を開き、本の出版と流通に関わるすべての実地教育を行っているという。そしてそのシンポジウムには「業界人」だけでなく、あらゆる階層のひとびとが集まってきた。探偵物語の進行に転回をもたらすこの挿話にアソシエーションの必要性を強く感じずにはおれない。
 はやくこの本を手に入れよう、どこかへ消えてなくなってしまう前に。

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紙の本

だれが本を殺すのか

2001/06/30 11:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まみ君 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本大好き人間からの愛の挽歌ですな。情報伝達として、紙の形をとるのか、それとも他に変わるものがあるのか、それが時代と共に変遷していくのは仕方のないこと。ただ、文化として産業として成立した時代の、かつてそれに全てをかけていた、あるいは現在もかけている人間にとって、「本」が衰退していく原因をさがすのは、それを一冊の大著として世に問うべく十分な動機であったに違いない。
 本を読む理由のひとつに実ははずかしくてこんな事大声でいえないのだが、自分だっていつかミニ小説家になって本を書いてやろう、なんて野望が心の片隅にあるのは否めない、たぶん多くの「読書家」がそうだ。でも、そんなの表現の一手段でしかない。かつて小説がもてはやされていた前近代のなごりでしかない。娯楽が増え情報が増え、もう自宅に閉じこもって文字とにらめっこしなくても十分自己表現はできるのだ。文章をかくったって、別に紙のうえでなくてもいいじゃないか。
 そうはいうものの、俺だって「読書家」のはしくれです。多くの文化がうまれて死んできた。そのくり返しにすぎないのではないか、本なんてそんなに高尚じゃない。おれは本がある限り買い続けるだろうけど、でもだからって本が衰退していくからといってその流れを止めようとは思わない。文化はみなそうやって死んでいったのだ。
 有名図書館でのインタビュー。公務員的なのはやはり貸出の数が業績になることだ。図書館が子供の遊び場みたいになることだってある。でもそれでいいのではないかと思ったりする。たとえ漫画ばかり借りていったって、その中の誰かはそれ以外の本にきっと手をだす。大人が読みやすい空間をつくるなんて、そんなの喫茶店だってできるじゃないか。子供が本にふれる空間の方が大事じゃないか。駄本で十分、ベストセラーのミーハーでいいからどんどん購入したらいい。図書館は読書のプロのための空間ではないのだ。図書館についての著者の主張には賛成しかねるなぁ。やっぱり欲しい本は買いたくなるでしょ。プロはそれでいいんですよ。ときどき専門書を見に行くくらいでいいじゃないか。

 「再販制度」…この際、こんな無意味な制度なくしてよ。売れない本はそりゃ、なくなるだろうけど、いざとなったら情報のストック源としてインターネットがあるじゃない。

 いろいろ書いてあるけど、結局文明の進化に伴って、本も電子化されていくんだな。ちょっとした違和感をもちながらもそれに飼い慣らされていく本好きな人たち、その一人として文章家が世にその寂寥感を伝えたんだな。

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