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商品説明
あらゆる「壁」にクサビを打ち込み、取り壊すことが今、時代劇関係者のやるべきことである。名優伝説からTV時代劇系統マップ、美剣士ハリウッド進出論まで、京本政樹の疾風怒濤の自伝。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
京本 政樹
- 略歴
- 〈京本政樹〉1959年大阪府吹田市生まれ。俳優。テレビ・映画・舞台で活躍するかたわら、ミュージシャンとしてアルバムも発表している。
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紙の本
20年の役者としてのキャリアを誇る京本政樹が自信を持って提言する時代劇の未来。その可能性…。
2001/03/06 18:17
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投稿者:橋本光恵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
気になるタイトルである。METAとは“metaphor"(暗喩)からきているのだろうか・・・と思っていたら、すぐ横に「超・時代劇」とある。私が時代劇に興味があるのは、時代劇自体“時代を超えている”からだ。昔の日活現代劇を今見るととても古くさく感じるのに、大映時代劇は今でも古く感じないのは、そのためだと思っている。元もと映画は虚構の産物。しかし、優れた映画は虚構の中に真実を隠し持ち、優れた創り手のセンスと表現力でその真実が炙り出される・・・そういった意味では、時代劇はまさに映画的な素材といえる。その時代を超えた時代劇をさらに超えるとは・・・著者で役者の京本政樹が意味する「超・時代劇」とは…。
京本政樹ー特別に関心を持ったことはなかった役者だが、この半ば“自叙伝”ともいえる時代劇論には、貴重なデータや時代劇ヒーローのイラスト等も盛り込まれており、愛情とアイディアが感じられる。「努力に勝る天才はなし」という言葉を座右の銘とし、諦めずにポジティヴに突き進む彼の前向きなキャラクターが、ストレートに伝わる一冊だ。表紙から巻頭カラーグラビアにかけては、ヴィジュアル系の京本らしく、様々な時代劇コスチュームを纏った華麗なポートレート集。前半は小学校時代に始まって、彼がどのような経緯で芸能界に入り、以後キャリアを積んでいくかが、まるで昨日のことのように鮮明に綴られる。20年ものキャリアの中には、今は亡き大川橋蔵や若山富三郎等といった大物スターたちとの出会いや逸話等があり、それらは生きた証言として貴重だ。また、「ボクが出会った時代劇名優・巨匠列伝」という項では、前出の橋蔵等の他に、山田五十鈴、岡田茉莉子、朝丘雪路、里見浩太郎等今も健在なスターたちとの関わり等も綴られている。が、その中で接する機会がなかった只一人の大スター、市川雷蔵に関しての論が一番気合いが入っていると感じられるのは、雷蔵ファンのひいき目か…。
時代劇のできる役者が少なくなった昨今、大先輩の時代劇役者や現場の技術者たちから熱心に学んできた殺陣や所作を、若手にも伝えていきたいという姿勢や、日本の時代劇というと三船敏郎が演じた黒澤時代劇の中の無骨な“サムライ”という世界の認識に歯がゆい思いをしているという憤りにも共感できる。その辺に、彼が掲げる「超・時代劇」の狙いが見えてくる。超えるとは、“壁”を超えるという意味だという。時代劇と現代劇の“壁”を超える、日本とハリウッドの“壁”を超える、さらに世代の“壁”を超える…文中では超えるを“壊す”という言葉に置き換えているが、彼は時代劇の可能性をそこまで見据えて大きな夢を抱いているのである。念願であるという「眠狂四郎」をもし演じるなら、カラーコンタクトを使ってオランダ人とのハーフという狂四郎のキャラクターをリアルに演じたい。ハリウッド映画にサムライ役で出演するなら、ヴィジュアル系の「美剣士」を登場させてニューヨークのギャングとCGを駆使してカンザシを武器に対決。ヒゲ面のサムライのイメージを覆す「美剣士」は幻想的な魅力もあるので、SFやファンタジーによく似合うだろう…等々、京本の夢は限りなく広がる。香港や中国で「市川雷蔵映画祭」を開催したいという、私の夢とそう遠く離れてはいない気がするのだが…。 (bk1ブックナビゲーター:橋本光恵/Asian Pops Mag.編集長 2001.03.07)