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紙の本
世界に突如大きくあいたもうけして埋まることのない穴
2003/02/26 02:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真壁しの - この投稿者のレビュー一覧を見る
身近な人の死は
びっくりする。
もっと適切なような言葉とか一層悲しい言葉とか
伝えようはあるけれど
びっくり
が一番近い。
ある日突然SFやらなにやらの世界に放り込まれたみたいに
日常はとおく
離れる。
挿絵を書いている人が好きだったのだ。
それからきれいな言葉だと思ったのだ。
三作目だけど
面白かったら一作目を探せばいい。
そう思った。
*
きっと早くにいなくなってしまう人なので
すこしだけ覚悟しておこう。
あなたが行ってしまうときには
こういう風にふるまうんだよ。
その覚悟が
思いがけずより一層深く傷を穿つなんて
考えてもいなかった
考えたことなかったから
防ぎようもなく傷は大きくひらいてゆくのだ。
誰が癒した傷、というわけではなくて
その傷を洗ってくれたあなたも
消毒薬を塗ってくれた人も
大丈夫だよ、と 言ったあなた、も
ただ見ていたあなたも確かに
この傷を守っていてくれたのだ。
*
読み終わってひとしきり泣いて
夏の塩を探しに出かけた。
BLに興味、なんてなくてもかまわないので
これだけは読んで欲しい。
それくらいあたしはこの本が好きだ。
痛々しくちぎれた悲鳴に近い覚えがあったら
泣かせてくれると思う。
必要な涙を多分、くれる。
紙の本
実在パート2
2002/12/14 22:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
魚住、久留米、さちのちゃん。マリちゃん、サリーム、南雲先生…。
読むとね、目の前にホントにもう目の前に彼らがいるの。同じ空間に生きてる。
生身の人間として。
現実って別にそんなに劇的ではないし、ロマンチックでもないし、なんかしょうがないどういうわけか知らないけど生きてるし、だから生きなきゃね。って感じじゃない?
小説も、テレビドラマも、映画もなんだか現実にコーティングしちゃってうそ臭いことが多いけど、魚住たちは違う気がする。
コーティングされてない現実の中で生きる人たちの物語だと思う。この小説に書かれた物語同然の現実を生きてる人がいるかもしれない。
そんな現実は素敵だな。
魚住の人生は、「素敵!!」なんて軽々しく言い得ない人生。だけど、彼が、彼を取り巻く人々と織り成す日々は厳しくて、つらくて、でもやさしくて、暖かくて、孤独で、ああ、私もこういう風に生きていこう、って思う。
紙の本
鈍感は、実は幸せなことだった。
2001/05/19 14:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:琳 - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ名にもなっている魚住くんとその友人久留米の少しづつの変化を回りの人々の目をまじえつつ、暖かく描いてきたシリーズの第三作。たぶん、これがこのシリーズのターニングポイントになるのではないかと思います。
一言では言い切れないほどの不幸を背負いまくった魚住くんを今回襲った出来事は、不幸という言葉でも、悲劇という言葉でも、はたまた運命という言葉でも表せるものでなく、同時に表せるのでしょう。
自分を慕ってくる妹のような存在ちさのと出会い。彼女が登場したとき、また魚住を見守る周りの人間が増えるのかな?とぼんやりと思っていたのを思い出します。ほんとうにそうなればどんなによかったでしょう。ちさのちゃんの病気が判明した時には、別れを予感させられましたが現実はさらに残酷でした。
不幸でありながらも、感情を凍結させずに生きた彼女は、魚住のIFだったかもしれません。そんな彼女の示す優しさがせつなくてたまりません。
紙の本
タイトルの示す先には
2002/07/31 20:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハル - この投稿者のレビュー一覧を見る
死の匂いが漂う第三巻。
病気ゆえに孤独で、色々なことをあきらめてきた「さちの」。魚住は幸薄い人々を引き寄せるオーラでも出ているのでしょうか。
本作は痛い。それしか言葉が見つからない。
そして、魚住が泣くシーンを読んで。
私自身、ここ何年も泣いていない、ということに気づいてしまった。