「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.2
- 出版社: 日本評論社
- サイズ:19cm/221p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-535-98187-6
紙の本
PTSD人は傷つくとどうなるか
著者 加藤 進昌 (編),樋口 輝彦 (編),不安・抑うつ臨床研究会 (編)
こころに残った大きな傷が今でも鮮やかによみがえり、苦しんではいませんか。それはPTSDと呼ばれる病気かもしれません。はじめにPTSDの概念と背景、診断と治療の試みを説明し...
PTSD人は傷つくとどうなるか
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
こころに残った大きな傷が今でも鮮やかによみがえり、苦しんではいませんか。それはPTSDと呼ばれる病気かもしれません。はじめにPTSDの概念と背景、診断と治療の試みを説明し、後半で具体的なケースの数々を紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
PTSDとは何か | 飛鳥井望 著 | 3-18 |
---|---|---|
ストレスと脳 | 加藤忠史 著 | 19-28 |
PTSDの生理学的所見と脳画像 | 岩波明 著 | 29-40 |
著者紹介
加藤 進昌
- 略歴
- 〈加藤〉東京大学大学院医学系研究科精神医学分野教授。
〈樋口〉国立精神神経センター国府台病院院長。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
ストレスがもたらす病を熟知して克服するために
2001/05/10 22:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:井上真希 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今でこそ新聞やテレビなどのメディアにしばしば登場するPTSDだが、1996年の春に書店で『トラウマ——「心の後遺症」を治す』(講談社刊)を目にした時は、「震災、交通事故、レイプ、幼児虐待などで心に深い傷を負った人たちが悩まされる不安、不眠、悪夢……。いま注目を集めるPTSD(心的外傷後ストレス障害)から立ち直る法」と書かれた帯文の中央のひときわ大きな活字の4文字は、意味不明な冷たい記号にしか見えず、しかし、それを買わずにその場を立ち去ることはできなかった。じっと文字の連なりを見つめるうちに、何か心が休まる呪文が潜んでいるように思えてきたのである。
PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)は、ベトナム戦争後の復員軍人にみられた症状群の研究を契機として、1980年にアメリカ精神医学会の『精神疾患の分類と診断の手引 第三版(DSM—III)』のなかで、初めて疾患としての概念が確立され、現在では『同 第四版(DSM−IV)』の診断基準が各国でもっとも広く使用されているのだという。日本にはアメリカの名称のまま定着した。
本書は、精神医学、臨床心理学、心身医学、小児神経学、法医学、認知行動療法などを専門分野に、大学、病院、研究機関、児童相談センター、カウンセリングセンターといった臨床研究の現場で活動する27名の著者による、20編の簡潔な論文から成り立っている。編者は加藤・樋口と「不安・抑うつ臨床研究会」である。
「PTSD」という言葉に反応する以上、世間で新たに注目されている病について理解を深めたい向きもあろうが、加藤が緒言で述べるように、自身あるいは親しい人間が類似の体験をもち、PTSDではないかとの不安をもっている場合も多いのではないだろうか。
PTSDとは何なのか、それが起こる背景も含めて把握し、薬物療法、認知行動療法、さらに10年ほど前にアメリカで開発されたEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)といった治療法の存在を知り、自然災害、性暴力、テロ事件、交通事故、児童虐待、いじめからの発症など、実際に臨床で出合った症例をつぶさに検討し、自身との関連を考えることも可能なツールだ。
最初の「PTSDとは何か」(飛鳥井望著)をわずか10数ページ読み進んだところで、自分や自分の周りの人がPTSDになったときのケアについて述べられたくだりがある:PTSDの症状自体は「異常な出来事に対する正常な反応」として受け止めること、心を打ち明けられる人に支えてもらうなどして、孤立してこじらせないようにすれば、いずれは快復に向かうこと、思い出したくないという気持ちが本人にも家族にも強くはたらくため、ひたすら症状を我慢しがちだが、本当に快復するためには専門家に相談すること。
過去を消し去ることはできないし、トラウマを忘れることもできないけれど、自分の力で記憶をコントロールすることによって乗り越えることはできる。引きこもらず、ストレッサーにうまく対処する経験を積んで、将来のトラウマに対する抵抗力をつけることも重要だと実感させられた。 (bk1ブックナビゲーター:井上真希/翻訳・評論 2001.05.11)