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模倣犯 The copy cat 上
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.3 378件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2001.4
  • 出版社: 小学館
  • サイズ:20cm/721p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-09-379264-6
  • 国内送料無料

紙の本

模倣犯 The copy cat 上

著者 宮部 みゆき (著)

【芸術選奨文部科学大臣賞(第52回)】公園のゴミ箱から発見された女性の右腕。それは「人間狩り」という快楽に憑かれた犯人からの宣戦布告だった。比類なき知能犯の狂気に立ち向か...

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模倣犯 The copy cat 上

2,052(税込)

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商品説明

【芸術選奨文部科学大臣賞(第52回)】公園のゴミ箱から発見された女性の右腕。それは「人間狩り」という快楽に憑かれた犯人からの宣戦布告だった。比類なき知能犯の狂気に立ち向かう第一発見者の少年と孫娘を殺された老人、二人を待ち受ける運命とは?【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

宮部 みゆき

略歴
〈宮部みゆき〉1960年東京都生まれ。「我らが隣人の犯罪」でオール読物推理小説新人賞、「理由」で直木賞を受賞。他の著書に「蒲生邸事件」「クロスファイア」など。

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みんなのレビュー378件

みんなの評価4.3

評価内訳

紙の本

まっとうに行こう!

2001/04/07 02:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さぶちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 う〜ん…早くから犯人がわかっているミステリーなのに3551枚とは…!!果たして私にずるをして飛ばし読みをしない忍耐と根性があるであろうか…。3部作構成の中で、何度か指がむずむずし、台所に立って息を整え、よし今度だけは我慢してっと…一気読みできました。
 お得意の「普通の人々」に対する細やかな描写と、複線、そして最後は一気呵成に胸がすーっとする「シ・カ・エ・シ」。犯人がわかっているだけに、「え〜い!!そいつに騙されるな!!」と叫びながらも作者はどうやってこやつにお返しするつもりなのかと(だってやっぱり期待しているのは勧善懲悪じゃないですか?)ハラハラしつつ、…満足しました。
 あ〜良かった。
 …って事だけじゃないですよね。この内容。誰もが持っているエゴ、英雄願望、暗い欲望いろいろな事が複雑にからみあって原因から結果へ、結果から原因へ…。
 ただ悲惨だと嘆く現代事情に「だってしょうがないじゃない…」という言い訳ばかりしてないで、決して強いからではなく まっとうに勝負を掛けていく人間の姿を優しくて、哀しい目で描いた秀作です。稀代の猟奇殺人者の独白ではないのです。
 そして因果応報、我が身を省みる身の丈にあった人生、まっとうっていうのが本当は一番難しいです。人間には。

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紙の本

きたいいじょぉ!

2001/04/09 02:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:なお - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アタシはミステリーを最後から読む人間です。邪道と言われようとも、最後から読みます。今回も前半300ページを読んでから耐えきれず最後20ページを読みました。

 ということで、結果はわかりました。しかしそこまでに至る経過がわからなかった。結局とにかくこれはなに?それはどうなの?というカンジで一気にかつ丹念に読んでしまいました。結局30時間かかったけどね(笑)

 こんなこともあり、あんなこともあり。そして人の想いがつむぎにつむがれ。最終的には…。とにかく読んだほうがいいです。

 ミステリー1ページおいくらかって換算したことあります?ってことで考えれば。この本はユニクロで売ってる服ぐらい格安なのに、質はサザビーズで出品される品ぐらいの価値を持つ物でした。要は鳴り物入った掘り出し物ってことです♪ 以上!

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紙の本

宮部みゆきの新たな進化

2001/04/22 01:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:べこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 宮部みゆきの作品は、ラストシーンから作られる。つくづくそう思った。「火車」も見事だったが、今回のは、凄みを増している。これ以上書くと、ネタをばらすことになるので、やめておこう(本当はいいたくてしかたがない)
 基本的には、連続殺人犯の話である。が、主人公は誰か、と聞かれれば、殺人犯ともいえるし、殺人死体を発見した少年ともいえるし、豆腐屋の老人ともいえるし、女性ルポライターともいえる。デスクという聞き慣れない仕事をする刑事ともいえる。それだけ多彩な人物像を描ききった腕力にまず感嘆。次に緻密な構成、ストーリーテリングの妙に感心。最終盤にむけて、すべてが収束していく様を読んでいくのは、快感ですらある。
 しかし、それにも増して、すごいのは、心理描写の巧みさだ。ともすれば、テクニックに流れがちだった作者だが、本作では心理状態を丹念に丹念に追って作りあげていく。だから、登場人物が生きている。連続殺人犯もそうだよな、だから殺しをしたんだね、さもありなん、という感じすらする。宮部みゆきの新たな進化を見る思いだ。
 とにかく、今年一番の秀作になるのは間違いない。ありがとう、宮部みゆき。次作にも期待してます。

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紙の本

犯罪はパフォーマンス

2001/04/22 16:19

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投稿者:上六次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 何かの本で、物語や演劇で人々が面白く感じる筋書きは数パターンしかないような意見を読んだ覚えがある。現在ベストセラーになっている小説であっても過去に受け入れられた例のリメイクであったり、二次創作にすぎないというものであった。

 これは我々がもつオリジナル信仰に対する皮肉である。オリジナルな発想や創造こそが一番価値のあるもので考えながらも、実際の評価は違ったものになってしまっている場合もあるのではないだろうか。しかしながら作家や芸術家はオリジナリティを追求していく。そして、現代では犯罪もマスコミを通じて発表される創作物になってしまった。

 公園のごみ箱から切断された女性の右腕が発見される。それは連続殺人事件の一端に過ぎなかった。犯人は被害者の家族や警察、マスコミを振りまわしていく。第一部では主に被害者の家族や警察側から、第二部では犯人のサイドから語られ、結末の第三章へとつながっていく。

 犯人対警察、加害者対被害者といった単純な構造になることなく、人間関係が第一部、第二部と丁寧に描きこまれている。細部にわたって書かれていることが第三部での展開をいっそう効果的にしている。決して冗長になることなく、これだけの長編を書く作者の構成力には感嘆してしまう。

 さらに、「ピース」と呼ばれる男の造形が秀逸である。今までの作品で少年や老人の描き方に定評のあった宮部ではあったが、「現代的」な悪党も見事に表現されている(もちろん本作品でも有馬老人の存在感は抜群である)。

 二段組・上下巻という長い話ではあるが途中で飽きることなく、それどころか次はどうなるのかわくわくしながらページをめくっていける超長編である。本書は「イッキ読み」できる「現代犯罪劇」である。

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紙の本

連続殺人の犯罪心理学と都市社会学

2001/04/23 17:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけのこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 一家惨殺事件を生き残り、家族の死に対して罪の意識を抱いている少年が、こともあろうにバラバラ死体の右腕を発見してしまう。場所は墨田区、隅田川沿いの桜の名所として知られる公園。それが物語の発端である。一方、失踪した孫娘の行方を案じる江東区深川の豆腐屋の親父は、バラバラ死体の発見を告げるテレビのニュースが気が気でない。警察で腕の持ち主が孫娘でないことを確認するが、孫娘のハンドバッグが同じ場所から出てきて、何らかのかたちで事件に巻き込まれたという事実に向き合わざるをえなくなる。

 そこへ、犯人から電話がかかってくる。犯人は慣れない老人を新宿の慇懃無礼な高級ホテルへ出向かせ、屈辱を味わわせる。——このあたり、《鼻持ちならないもの》に敏感な下町娘・宮部みゆきの面目躍如か。凶悪犯罪の被害者同士、少年と老人が心をかよい合わせるようになるのはまだ先の話で、そのきっかけを、取材に訪れたフリーライターが作る。彼女は彼女で、葛飾区の鉄工所の長男と結婚したものの子供を持たず、仕事に走り回る生活を、姑にとやかく言われている。物語の本筋にはあまり関係のなさそうなことながら、登場人物の生活背景や生活史、社会的な手枷足枷を余すところなく書きつくすのも宮部スタイルだろう。かつてそういうところを批判した文芸評論家がいたが、なにいってんだ、それがいいんじゃない。

 やがて事件は連続猟奇殺人から、マスメディアを手玉に取り警察や世論を挑発する前代未聞の劇場型犯罪へと発展していく。しかし群馬県の山中で犯人と思われる二人組が交通事故死を遂げ、この小説の第一部(ここまででまだ全体の約四分の一)にあっけなく幕が引かれる。だが、そこから先がまたすごい。二人がなぜ事件にかかわり、死ぬことになったかを20年前の彼らの小学生時代にまでさかのぼって説き起こす。下町から練馬区に場所を変えて、えんえんと続く薬屋の息子とそば屋の兄妹の物語に、これまた深く感情移入をしてしまう。犯罪の被害者だけではなく、加害者や容疑者にも家族がいて、事件が彼らの運命を狂わせていくあたり。

 主犯格がついに姿を現わす後半の展開から、ジャンルとしては“怪物”の造形にたけたサイコスリラーの系譜に分類されてしまいそうだが、読みどころは(そういうありがちな)《連続殺人の犯罪心理学》より、また《劇場型犯罪のメディア社会学》よりもむしろ、事件に翻弄される市井の人びとを描いた《都市社会学》の側にあるとわたしは考える。教育テレビでやってた「このまち大好き」みたいな世界ね。
【たけのこ雑記帖】

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紙の本

女性連続殺人事件の被害者,犯人,関係者の事情

2001/05/13 00:45

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投稿者:格  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 長い。この上巻だけで2段組びっしり720ページ(下巻もほぼ同じ長さ)。
 上巻は二部構成。第一部は被害者とその周辺。及びそれを追う刑事とルポライターの事情。第二部は犯人とその周辺の事情。数多くの登場人物達のそれぞれの生い立ちからさまざまな事情について詳細に記述している。これらを基にいくつかの小説が成り立ちうるほどの深みを持っている。このため、長さを苦痛に感じる様なことはなく、次々にページをめくっていくことはできる。
 しかしながら、それらの詳細さが、本筋のストーリーを追う上で必要不可欠なものかというと、多少疑問。かなりはしょってもストーリーとして成り立つし、十分に因果関係は成り立つであろう。逆に、肝心の犯人たちの動機については、分かった様な分からない様な…。これについてはまだ説明十分とは言えない。
 なお、表題の『模倣犯』の意味は上巻全部終わった範囲でも分からない。

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紙の本

厚さにためらってるなら心配ありません。

2001/05/27 12:30

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投稿者:どしどし - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ぼくの場合は、一気呵成に読むというわけにはいかず、途中で特に第二部で多少長いという印象をもちましたが、それもたいした問題ではありませんでした。
 読み終わって感じたのは、この話をこういうストーリー展開にするのか、そしてそれがそのままテーマにもなっているんだなということでした。
 ミステリ的なストーリー展開なり登場人物の設定なら、たとえば、第二部を省略して新聞記者か警察かいわゆる名探偵役の人物によって解決が導かれる、なんてありそうですが、そういう展開にはなりませんでした。警察サイドでさえ実際の捜査シーンはほとんど出てきません。それでも、最終的にはどんな進展を迎えても事件は解決していたはずです。
 また、それぞれの人物の配置が独特で、事件の行方を追うなら必要ない役どころともいえる人物も結構いるのですが、それがまた凶悪事件の全体を書き尽くそうとしているという印象を受けました。
 しかし、何よりも登場人物の造型と、細部の描写がことごとくリアルなところが本当にうまいなあと感じます。
 いろいろなテーマを読み取れ、それが話の内容だけでなく、設定やストーリー展開などと直結していて一筋縄ではいかない作品だと思います。珍しい読後感でした。最高です。

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紙の本

長い

2001/06/24 18:39

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投稿者:クロスファイア - この投稿者のレビュー一覧を見る

 つまらなくはないんですけど、どうしてこんなに長いんでしょう。いくらスティーブン・キングのファンだからといって、長さまで真似することはないでしょうに。もともと文章のうまい人ではありませんが、ここまで量が多いと粗もなおさら目立ちます。特に後半は、てにおはのおかしい部分さえ出てきます。それと比喩表現のダサいこと。せっかくの物語も台無しになります。惜しいです。

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紙の本

あまりに冗漫

2001/07/29 14:36

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投稿者:OK - この投稿者のレビュー一覧を見る

 えらく冗漫な文筆で、読みとおすのがきつかった。申し訳ないけれど後半は飛ばし読み。『火車』の頃から指摘されていた「冗長」「無駄が多い」といった難点が、そろそろ致命的にまずい段階にまで悪化している。もとが雑誌の連載小説という事情はあるにしても、充分加筆修正の手間はかけたようだし、あまりその点を斟酌する気にはなれない。売れっ子作家になりすぎたせいで、誰も助言する人がいなくなってしまったんだろうか、なんて勘ぐりたくなってしまうところだ。

 次のような点がとても気になった。

・叙述視点の転換と時系列の操作が空回りしている。とうに結論の明らかな文章を、だらだらと読まされることが何度あっただろうか。
・たまに織りまぜられる比喩のセンスがどれも最悪に近い。
・作中人物の心情を、語り手や他の人物が代弁しすぎ。

 総じて、下町人情風の観点から空虚な現代人を指弾する、というようなこの作者のいつものながらの「庶民的」な態度が、安全地帯から批判を加えているだけの鈍感な押しつけがましさにしか感じられなくなってしまっている。これまでの作品でそのあたりがさほど嫌味になっていなかったのは、物語を「純真な少年」の視点に託していることが多かったからかもしれない。

 偏見を承知であえていうなら、感情的な言葉を漫然と連ねるのは得意だけれど、それをきっちりと構成してまとめるのは不得手、という女性作家にありがちな弱点を露呈している典型じゃないだろうか。

http://members.jcom.home.ne.jp/kogiso/

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紙の本

長かったけど、読んだ甲斐がありました。

2001/09/21 23:26

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投稿者:mikako - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ラストの場面が強烈でした。ここに至るさまざまな出来事がすべてこのシーンのために用意されていたものではないかと思いました。事件に関する部分以外は、取り巻く人々の心理状態が中心で流れがやや緩やかで、私自身の彼らへの言いたいことがたまっていくような感じで、読むのにやや疲れることもあったのですが、このシーン、生中継の緊迫した場面は、そこまで感じられた長さを吹き飛ばしてしまうほどのインパクトがありました。読んだ価値が大いにあり、すばらしい作品でした。

 「ピース」はとてもすごいキャラクターです。徹し方があまりにも見事でした。背筋が寒くなるような畏怖を覚え、それが却って魅力さえも感じました。特に高井由美子を拾い上げた時には思わず、ぞくっ、としました。ピースは登場する度に緊迫感を与えてくれます。
 長いストーリーを通して主人公(かな?)の真一君の心の整理はつけられましたが、高井家の人々があまりに救われなくて気の毒です。事件のその後までを語ってもただ長くなるだけで小説としての面白味がなくなってしまうとは思いますが哀れすぎます。もう少し面倒見をしてほしいと思いました。

 本筋とは関係ないのですが、ライター前畑滋子さんの最後の家庭の問題の決着の付け方は、ちょっとズルイなと思いました。同じように夫の家族と折り合いをつけながら暮らす身としては、です。そんなに簡単に離れて暮らせるの?って。うらやましいからかもしれませんが。

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紙の本

摸倣板

2001/10/05 19:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:せんちめえとる - この投稿者のレビュー一覧を見る

待ちに待った宮部作品。とにかく長い。が…、一気に読んでしまいました。ちょっとした登場人物までもが事細かく描かれていて(←これが長くなった原因かも)大好きな宮部作品を1ページ1ページ大切に読みました。犯人に気持ちがシンクロすることはほとんどありませんでしたが、作者が人物を一人一人自分が主人公として生きている人間として丁寧に描いている所が感じられました。

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紙の本

人間の心の闇を鋭くえぐっていて、恐ろしいほど。少年と老人、傷ついた者同士の暖かい交流が救い

2002/02/19 20:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くろねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人の心って、なんて恐ろしい。

 突然、何の前触れもなく姿を消した古川鞠子。家族の焦燥をよそに、何一つ行方に関わる手がかりがないなんて。どれほど心を痛めれば、彼女の行方が明らかになるのでしょう。でも、それは、鞠子の祖父や母親を襲った地獄のほんの始まりだったなんて。やがて、彼等を翻弄するかのように、鞠子を誘拐したという男からの電話。電話の向う。姿の見えない敵。実体のない、ゴーストのような、でも、間違いなく受話器の向うに存在しているはずの敵。

 豆腐屋を営む鞠子の祖父有馬義男をターゲットに、悪魔のような電話が鳴り続けます。どんな言葉が相手の心を引き裂くかを知り尽くしているかのように、傷付いた義男を嘲笑するかのように。鞠子が生きているかもしれない、そんな残酷な期待を弄ぶように。

 鞠子の母親真智子は、もっと悲しい人です。夫がよそに女を作って出ていった後、仲良く暮していた娘の突然の失踪。心がそれに追い付いていかなくて、現実から逃避するしかなくなる真智子。その心痛は、察するにあまりある痛々しさです。悲しい人。

 事件が世間の目に触れる発端でもある発見をしたのは塚田真一という少年。自身も、過去に悲しい事件に見舞われ、深い傷を心に負っている少年。彼が再び悲惨な事件に関わってしまったのは、逃れようもない運命のいたずらなのでしょうか。その境遇ゆえか、その年齢らしからぬ老成を見せるほどに悲しい少年。負わなくても罪を自らに背負わせ、運命に怯えているなんて。まだ、ほんの高校生の少年だというのに。

 物語は、真一の視点、義男の視点、ジャーナリストの滋子の視点を繰返すことで進んでいきます。やがて、上巻の半分も行かないうちに、そこに新しい視点が加わります。犯人と思われる男2人の乗った車が事故を起した後で。彼らの過去をたどり、事件にぶつかるまでの視点。

 やがて、明らかになっていく1人の男の心の闇。傷付いた過去を乗り越えることができず、大きな闇を飼い始めた男の物語。あまりにも深く、果てしない闇。どこまでも、どこまでも続く漆黒の闇。それは、ゆがんだ自尊心となって暴走し始める。自我を守るため、肥大した狂った自尊心。他人を傷付けることが目的ではないからこそ恐ろしい。でも、そんなものは、続かない。必ず、破綻をきたすのだから。

 流された血は元には戻らない。失った生命は帰っては来ない。それでも、人は生きていく。前に進まなくてはならないのだから。一回り、二回り、強く、大きくなって。

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紙の本

さようなら宮部さん

2002/02/26 17:05

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:KEYAKI - この投稿者のレビュー一覧を見る

 とにかく長い。とても冗長で陰鬱にネチネチと長い。宮部さんの初期作品のようなさわやかな読後感など望むべくもないし、魅力的な登場人物も出て来ない。
 上下巻を一緒に買い求めたが、結局読んだのは上巻の半分と下巻の最後だけだった。通して読むことに耐えられなかった。一体、あの長さを使って何を表現したかったのだろう。何も伝わって来なかった。読後に残ったのは、お気に入りの作家をまた一人失った喪失感だけだった。
 私は宮部さんの本は全て所有しているほどのファンでした。「蒲生邸事件」あたりから抱き始めた違和感が本作品で決定的になりました。もう貴女の作品を購入することはありません。さようなら。長い間、ありがとうございました。

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紙の本

こんなに長くて、こんなに楽しい

2002/06/01 22:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:バンカー - この投稿者のレビュー一覧を見る

寝る間も惜しんで読みました。
長い長い、とにかく長い。でも無駄に長いわけじゃない。
登場人物も多いけれど、全員が主人公という印象をうけました。
犯人すらも…。
物語はひとつの事件を軸にして進んでいく。
始まりは、ゴミ箱から発見された一本の腕。次々と誘拐され、消されていった女性たち。
すべては犯人の演出する舞台のうえで進行していく事件。そこに登場する人物たちの苦悩が、犯人にとって最高のスパイスとなる。
センセーショナルな事件が物語を面白くしているのだけれども、
最も重要なのは、事件に関わる人々の心理描写が巧みであることだと思います。
被害者、被害者の家族、遺体の発見者、刑事、犯人、犯人の家族、ルポライター…。
数多くの登場人物たちの感情や価値観、人生そのものが事件にあらゆる角度からスッポットライトをあびせて、物語に深みをあたえているように感じました。
多くのミステリー小説が、この物語と同じ様に多角的にストーリーを進行させていくと思うけれど、これほど綿密に登場人物の“こころ”を書きこんだ物語が過去にあっただろうか?
とても深くて、とても広い物語。
これは絶対読むべきですよ!!!

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紙の本

星五つだよ

2002/06/06 15:27

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:スピカ - この投稿者のレビュー一覧を見る

我が家では祖母が「面白いから読みなよ」と言って、最初に母親が読んで次に妹が読んでいました。上下巻に分かれているので「早くして!!」という声が妹から母親へ飛んでいました。私にも皆が口をそろえて「面白いから読みなよ」って言います。まあ暇だしと思って読んでみたら面白い!!! 家族ではまってしまいました。あまりにも面白かったので映画も見に行く予定が立つほどです。ハードカバーは重くて大変だけど、頑張って読んでね。

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