紙の本
シリーズ第三弾
2002/02/22 01:10
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投稿者:かけだし読書レビュアー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「月神の統べる森で」「地の掟 月のまなざし」に続くシリーズ第三弾。序盤は前作同様ムラでの暮らしが繊細なタッチで描かれている。今回はそこに日の神の妻を称する巫女ヒメカが治める「ヒメカノクニ」から逃げ出してきたワカヒコ、ユツ、ホムタ、ヤタカの面々も加わる。
ここで描かれているムラは、それ自体が一つの家族のようなものだ。困っている人がいれば誰かが手をさしのべ、共に笑い、共に泣く。争いや裏切りなど無縁の世界。過酷な自然の中で豊かとはいえないが、今の時代にはない何処かあたたかな空気に包まれている。
暮らしに必要な塩を得るため、海沿いの塩のムラに山を越えて旅立とうとするシーンが印象的だった。電車や飛行機で目的地に到着といった今とは違って、この時代の旅は常に危険が伴う命懸けの冒険のようなもの。見送る者は夫や父親や息子に一口でも多くのご馳走を食べさせようとし、旅立つ者は留守をする者たちにできるだけ多くの笑顔を残そうとする。そういった何気ない描写の一つ一つがとても良い。中盤からホムタの暴走によっていよいよ物語が大きく動きはじめる。
紙の本
幻の超古代を舞台に、神話的構想で描いた長編連作ファンタジー。
2001/04/19 12:17
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投稿者:エーミール - この投稿者のレビュー一覧を見る
『月神の統べる森で』『地の掟 月のまなざし』に続くシリーズ第3弾。
神話の世界に入り込んだような不思議な雰囲気。月神が現れ、カムイが現れ、ムラとクニの異民族が出会う。たつみやファンタジーといわれる独特の世界。東逸子の挿し絵が、その独特の世界をよく表現していて魅力的だ。
当時の風習を作家はよく調べているのだろう。交易の様子や若者ヤドなどのヤドや祈りの捧げかた、けずり花など、ふ〜んと思うようなものがでてくる。
部族間の争いの事も出てきて、そこに、作家のメッセージも込められていると思う。そこから、現代の世の中のあちこちで起こっている紛争を想い、昔も今も変わらない人間のいやな面と良い面について考えさせられてしまう。
はるか太古の昔、人は神を敬い信じ、巫女や巫者・呪術師は神々の言葉を伝えた。この巻では、いにしえの予言が出てくる。星の子が二人そろうと凶というものだ。星の子とは、ほうき星を連れて生まれたワカヒコ様と、ひと房だけ銀色の髪を持ち翡翠色の目をした、若ジカのような体つきの、ほうき星の息子ポイシュマのことだ。凶というのが、誰に対しての事か、この巻でははっきりしない。それがどうなっていくのかは、次の最終巻を待つことになる。楽しみだ。
なお、『月神の統べる森で』は、野間児童文芸賞を受賞している。この4巻の日本の古代を舞台とする壮大なファンタジーは、今の時代ではなかなかに得難いものだと思う。
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月神の民シリーズ第三弾。ヒメカのクニから脱出してきたワカヒコたち。彼らは居場所を求めてポイシュマの居るアルテイのムラへと向かう…。 この巻ではクニの人から見たムラが書かれてます。その視点はそのまま現代人からクニを見る視点に近い感じ。海辺のムラとアヤのクニなど新たな地も出てきます。
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はっきり言ってしまいます。
この本は、ハリーポッターやダレン・シャンと肩を並べるくらい面白いです!
縄文だとかそういう古い舞台なのですが、本当に面白い。お勧めです。
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四部作の三冊目、まさに<転>の物語。
アヤのクニという第三の国が現われて、ムラもクニも危機に。
そして、オロチとオオモノヌシの出現!まじ、びっくりしたー!!
よく考えられていますね、この作者。すごい!
序章
第一章 旅の支度
第二章 三つ星の予言(試練、使命、運命)
第三章 旅立ち前夜(ヤタカの妻、ホムタの恋人)
第四章 交易の旅
第五章 塩のムラ
第六章 海のカムイ(鯨とヒキナミ、ヨセナミ)
第七章 もめごと(ホムタの談判)
第八章 山を焼く民
第九章 企み(ホムタの考え)
第十章 アヤのタジシヒコ
第十一章 裏切り(ホムタの死)
第十二章 予兆(塩のムラの厄災)
第十三章 脱出(ヤタカ)
第十四章 冥界(ポイシュマの両親)
第十五章 死闘(塩のムラで)
第十六章 出現(オロチとオオモノヌシ)
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日本の神話がベースになっていますが、なんとなくアイヌ民族の伝承も入っているのかな?という感じ。
いかに神と人の存在が近かったのか。
人の心の中に裏切りや猜疑心が蔓延し始める時代とは、こんなふうだったのではないか。
登場人物の心身の美しさが、ちょっと羨ましく思えました。
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シリーズ第3弾。
この巻で物語の展開は大きく動き出します。貧しいムラの人々と、豊かなクニの人々。このムラとクニの対比にいろんなことを考えさせられます。
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2010.6 再読。
とても大好きな児童書。ワカヒコは本当に成長した。最初が最初だから、ポイシュマより成長が見える。本当に悩んで成長した彼は、とてもいい「ヒコ」で「王」になったろう。
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物語の最初には想像もしえなかった壮大なスケールに発展した月神3巻。
ページを繰る手を止められなかった。
他者を信じ尊重するムラの人々の心の美しさは、私が失いたくないもの。
ポイシュマとワカヒコの、其々の身に降りかかる絶体絶命の危機。
四面楚歌の状況で、身の内に渦巻く激情を宥めすかし、アヤのクニとの駆け引きに打って出たワカヒコの壮絶な表情の描写と想像を絶する理性とにゾッとする。
人の痛みを知っているワカヒコには、ぜひ、立派な王になってほしいと願う。
一方、恨み・怒り・悲しみ…負の感情と呼ばれる強いエネルギーに呑まれ激昂するポイシュマ。
かと思えば、厄災をはねのけた後、神への感謝を純真に表す無邪気さ(を前面に押し出したようなとってつけた感)に違和感を覚える。
感情の動きが唐突すぎて感情移入できないし、自分の正義のためなら、他者の命を奪ってもいいの?という疑問も浮かぶ。
それこそ、きれいごとなのだけれど。
さて、星の導きによって生まれた二人の星の子の行く末はどうなるのだろう。
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基本的にはだんだん面白くなってきているこのシリーズですが、やっぱりストーリー・テリングの面で弱いなぁと感じるのは善 vs. 悪の対立軸にこだわり過ぎている感がある点じゃないかなぁ? 悪役の「クニの民(≒ 弥生人 ≒ 日の神の民)中にワカヒコという純粋な心を持ちつつ、賢くも勇敢なキャラ(但しこの時点では単なるクニを追われた放浪者に過ぎないけれど)を持ってきて、弥生人は悪い奴ばかりじゃないとでも言いたげな展開なんだけど、ワカヒコを追い詰める人間たちが揃いも揃って碌なヤツじゃないような描き方になっているのでどうしても、縄文人≒善 vs. 弥生人≒悪 というシンプルな構図に落ち着きがちだと思うんですよね~。
今、KiKi は最終作「月冠の巫王」を読み始めようとしているわけだけど、そのまえがきを読んでみて思ったんですよ。 ああ、ここに書かれているこの言葉の背景が語られていないから、善 vs. 悪に向かいがちなんだなぁ・・・・と。 そのまえがきっていうのはこんな感じです。
すべての自然には神が宿り、人はその恵みによって生かされている、と信じる「月の神の民」と、巫女ヒメカに率いられ、自然を征服すべき対象と考える「日の神の民」-。 (以下略)
そうなんですよ。 この物語で描かれている弥生の権力者たちは、ただただ非道、残虐、狡猾、強欲なんじゃなくて、農耕民族の性として「自然を征服すべき対象と考えている」ことがポイントで、その延長線上で自然から与えられるものを分かち合いながら生きているムラの人々(≒縄文人)を「遅れた野人」と考え、そんなムラの人たちのその日暮らしの生き様を「現状に甘んじ進歩を求めようとしない怠惰の人々と侮蔑し、進歩を求めないような動物的な生き方をする輩であれば支配されて当然と考える思想に行きついている・・・・・と KiKi は思うんですよね。 同時に、彼らは後からこの大地へ乗り込んできた「新参者」なわけで、逃れてきた彼らの故郷には帰れないし、ここで定着できなければ「居場所のない人々」となってしまうんだと思うんです。 そんな彼らの「後には引けない」という意識が彼らの残虐性・攻撃性に拍車をかけていると思うんですよ。 そのあたりを感じさせる記述が全くと言っていいほどない。
一方、ムラの人々の生き様の厳しい面(飢え、狩猟中の事故等々)の記述が甘いのであたかも縄文人の生きていた世界が桃源郷みたいなホンワカムードを醸し出しているのも、綺麗ごとすぎてリアリティがない・・・・・。
まあ、ここまでの感想からすると著者は日本人が忘れ去ってしまった(≒ 思想的に滅びてしまった)、人は自然と共に生きているという感覚、そんな中で育まれたアニミズム的な宗教観に基づく風習といったものを賛美し再認識したいという思い入れと、言葉も考え方も価値観も異なる2つの文明がぶつかったときに争い以外の解決策は本当にないのか?という命題を問いかけたいがためにこの物語を書いているんだろうなぁと感じられるんだけど、もしもそうであるならば尚更もうひとひねりが欲しい所だと思わずにはいられません。 現代はそんな時「誰にも理解されやすい正義を振りかざした力の強いもの」が支配していくという帰結しか持っていない時代なのですから・・・・・・。
(全文はブログにて)
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タイトル「天地のはざま」とは、争いを好まぬ清らかな心と、恨み憎しみを抱いてしまう心とのせめぎ合いを表してるように思われます。物語りも今までの危うい関係が崩れ、幾つものムラ・クニが戦いに突入してしまいますが、根本的に考え方がこうも違うと相容れない物なのでしょうか。ヤタカをはじめ何気に脇役の者達がしたたかです。それにしてもポイシュマの正体には驚きました。
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http://scheherazadeoflight.blog.fc2.com/blog-entry-143.html
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いやだホムタ!!
人間味のあるホムタは嫌いだけど好きだったよ
タヂシヒコは真っ黒い、分かりやすい悪だった
若者の心が腐らないように、お導きを疑うことのないように、真っ直ぐのままでいられますように
願わずにはいられない
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ヤタカがいいですねー。
これは私が30代だからでしょうか?
守るべきもののある人間の強さを感じます。
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おやホムタ!
腹黒いまま成功して欲しかったなぁ
そしてもっと悪い人キター
アヤのタヂシヒコ、ギラギラの悪役です。
人間味あふれる部分も描いてくれると面白いんだけど、ヒメカのときもそういうのはなかったのでないかな。
なんかヒメカもロマンス的なアレコレがあったりしたら面白かったんだけど。
あと、ヤタカは使える男。笑