- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.4
- 出版社: 竹書房
- サイズ:20cm/363p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8124-0738-9
紙の本
スーパートイズ
著者 ブライアン・オールディス (著),中俣 真知子 (訳)
「どうして母さんは僕のこと愛してくれないのかなぁ。僕は、こんなにも母さんのこと愛してるのに…」 人工知能を備えたロボット少年と家族の「愛情」とは何かを問うSF小説。映画『...
スーパートイズ
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商品説明
「どうして母さんは僕のこと愛してくれないのかなぁ。僕は、こんなにも母さんのこと愛してるのに…」 人工知能を備えたロボット少年と家族の「愛情」とは何かを問うSF小説。映画『A.I.』原作。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
スーパートイズ | 11-62 | |
---|---|---|
遠地点、ふたたび | 63-74 | |
III | 75-82 |
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紙の本
未来のために
2001/05/24 13:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:1兆年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
故スタンリー・キューブリック監督が、晩年映画化を構想するも果たせず、スピルバーグがその志を引き継いでいる短篇「スーパートイズ」を中心に編まれた短編集。
「スーパートイズ」には、既に二つの訳があるが、本書では、その後新たに執筆された続篇二作が収められている。出来栄えは、大したものではない。アイディア・ストーリーの域を出るものではないし、人ならざる者の愛にまつわる話など、日本でもアニメやマンガが繰り返し描いてきたテーマである。
面白いのは、むしろ他の短篇で、ヴァラエティ豊かに作品が揃っている。
翻訳は、ところどころ頼りない。解説もなく、映画化に合わせたやっつけ仕事の感は否めない。
紙の本
思弁性に満ちた作風の到達点
2001/05/14 19:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風野春樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『地球の長い午後』で知られるイギリスの巨匠ブライアン・W・オールディスの短編集である。調べてみたら、日本でオールディスの本が出るのは『一兆年の宴』以来9年ぶり。短編集が出るのはなんと『爆発星雲の伝説』以来28年ぶりのことだった。
もちろん、これは表題作である短編「スーパートイズ」がスピルバーグ監督で『A.I.』として映画化されたから。この『A.I.』、もともとは故スタンリー・キューブリックが永年の間あたためていた企画であることはよく知られたとおりだ(オールディスは、本書のあとがきで「キューブリックとスピルバーグに原作を売った唯一の人物になった」と自慢している)。
さて、「スーパートイズ」は、産児制限が行われている未来社会で、子供のない夫婦が購入した子供型アンドロイドの物語。もとになっているのは1969年に書かれた短編だが、キューブリックの没後に続編2編が書き足されて連作になっている。心を打つ物語ではあるが、抑えた筆致で淡々と進む作品である。オールディスという作家を知らず、単にスピルバーグの大作映画の原作だと思って本書を手にとった読者は戸惑うんじゃないだろうか。
そして、たぶん先に読み進んでいった読者はさらに面食らうだろう。映画と関係があるのは冒頭の3編だけなのだ。しかも、残りの作品にはエンタテインメント性はあまりなく、難解で思弁的な作品ばかりとくる。
しかし、もちろんかつてのオールディスの読者にとっては、本書はオールディスの近作がまとめて読める思いがけないプレゼントになることだろう。「遠地点、ふたたび」は『地球の長い午後』を思わせる魅惑的な異世界の物語だし、「数学上の問題」や「草原の馬」は、内宇宙と外宇宙が交錯するいかにもオールディスらしい作品。「牛肉」や「認識能力と電球」など小説というより断章と言った方がいいほど短い作品もいくつか。
ニューウェーブから30年。思弁性に満ちた作風はますます渋みを増し、円熟の境地に達したオールディス。これは、そんなオールディスの到達地点を一望できる短編集である。
(風野春樹/精神科医 http://member.nifty.ne.jp/windyfield/)