紙の本
「自立した男女」という凛々しいキーワードで展開する恋愛論
2001/05/01 12:26
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投稿者:佐々木真理 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルを見た瞬間「そんなはずはない」と思った貴方は、すでにこの本の扉を開いています。そう、貴方の反論通り、のっけから龍さまは次のように述べています。「結論から言うと、誰にでもできる恋愛などというものはありません。男も女も同じです。リスクを負える人間、つまり自立した男女にしか恋愛をする資格はないわけです」。
「自立した男女」という凛々しいキーワードで展開するこの恋愛論は、政治、経済、教育、社会的事件、歴史とさまざまな角度から縦横無尽に恋愛を成立させる重要なアイテムを語っています。これまで「恋愛論」といえば男女の性の違いを分析し、それを踏まえた上で異性に対する幻想からの脱却、つまり相手を知ることが恋愛を成就させる第一歩と説いています。でもこの本はこれまでの「恋愛論」を飛び越えて「よりよい他者に出会える方法」という非常にクオリティの高いテーマを投げかけているのです。
寂しいから、という理由で人は人の温もりが恋しくなり他者を求めます。それは孤独感から解放されたいからですが、「誰でもいい」というのは、充実して生きる努力を放棄している人。生きていく基準を見失っている人はいい恋愛などできない、とばっさりと切り捨てています。
そんな辛口エッセイはごめんだわ、という貴方。でも寝ころんでポテトチップスやチョコなどを口にしながら、トレンディドラマを見るだけが楽しみという人に現実の恋愛は無縁だということぐらいは、想像できますね。そう、自分がどんな女なのかを知り、どうしたら素敵な男性と出会えるのかと戦略をたて、相手から素敵だと思われるための努力を惜しまないことがよりよい恋愛をもたらす。もはや「棚からぼた餅」は恋愛に関してあり得ないのです。
でもこんなクオリティの高い女性が増えても、恋愛は男女間の人間関係。男を変えるくらいの超魅力的な女性などまだまだひとにぎり。男も変わらなくては……そのためには男性側からのアクティブな働きかけも必要ですよね、龍さま。
(佐々木真理/ライター/2001.4.30)
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「誰にでもできる恋愛」と題して、その反語の「誰にでも出来る恋愛なんてあるのだろうか?」というテーマとして展開するエッセイ集。謙虚になって読むことが出来れば、もてないあなたも恋愛ができるかもしれません。(ちなみに私はできませんでした)
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タイトルは連歌で言うところの上の句で、下の句には実は「なんてない!」と続く。村上龍さんによる恋愛に関するエッセイ集。恋愛を主題に置いているものの、政治・経済・文学・歴史と多岐に枝葉を伸ばし、村上さんの教養の深さがうかがえる。「精神的に自律し、相手に依存しないでひとりでも楽しく生きていける人しか恋愛はできない」というのは逆説的だけど本当にその通りだと思う。フラれた後に読んでいたらもっと心に響いたと思う。おもしろかった。
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自立した人間にしか、良い恋愛は出来ない。
でも、良い恋愛って何なんでしょうか。
自立してないときのほうが孤独じゃなかった。
ずっと、寂しさを抱えて一人なのかな。
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『恋愛と馴れ(ダレ)合いはどう違うのか』と、そういう話でした。かなり社会派な恋愛論。女に語るように見せかけて、男に言ってる感じ。「基本的に稼げないのは駄目な奴、世間ばっかり気にするのも駄目な奴。自立しなさい、自立!自立してない奴は恋愛をしてることにはならないの・・・そのためには、あぁやって、こうやって・・・えぇい!俺になれってんだ!」村上流エゴのむき出し。あとがきは女優がやるという厭らしさ。
厭らしいだけに、正しい点も多いんだろうか・・・。このエッセー(雑誌掲載)が書かれてから9年、予想通り格差社会は可視化された。不確定社会の到来。『ダサいフツーの人生』なんてものは、もうどこかへ消えてしまった。『型にはまらないそれぞれの人生』という理想は、最悪な形で現実のものとなった。型を失った人間が型を求めて行動を始めている。それと同じように恋愛にも定義が求められるようになるんだろうか。
よくわからない。わからることと言えば、このエッセーに書かれてることを言葉にすることで、たちまち恋愛どころではなくなる大学生活になるだろう^^
村上龍のエッセーとヒトラーの『わが闘争』の読み比べは面白いかも。
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んーと、正直言って期待はずれ。
村上龍の強気で無理強いしてくる感じの文体がそもそも気に入らない。
しかも、彼の恋愛観、結構あてつけこじつけなところが多い。
別に恋愛軸のエッセイって謳い文句にしなくていいんじゃないかな。
雑誌のコラムの寄せ集めだから仕方ないかもだけど。
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読んでちょっぴり鬱になったけど、こういう考えもあるよって感じに受け止めました。「夏祭りのカレーに毒物が混入しているような社会で生きている」って表現は上手いと思う。
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タイトルは逆説で、「誰にでもできる恋愛などというものはありません」だそうです。
「寂しさから自由になれるのは、面白い仕事だけです」というのと、「甘えを排除するための努力というのは、相手に尽くすことではない。一人でいるときでも充実した時間が持てるように、自分で努力するということだが、それは難しい」
というところが自分的にはぐっときた。
後半の経済とか社会問題については、ちょっと押しつけがましい感じに嫌気が差してきた。
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精神的、経済的ともに自立していなければ恋愛する資格などない。
という趣旨の本。
納得。
とりあえず、経済的自立を目指して毎日、勤しみます。
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恋愛を語ってるようで、メインはあくまで現代の日本における問題。
恋愛どうこう言う前に、もっとやるべきことがあるだろ、って言いたいんだろう。結構、痛烈に批判していて、読んでいて痛快!
そうそう、恋愛がすべてって言ってる女はダメだ~って、自分を叱咤激励。
もっと自分の道をしっかりと見定めて人生生きて行かなくちゃ。
男に頼って生きるのはまっぴらだ、そう再度強く思った。
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誰にでもできる恋愛などないという逆説的な意味がこめられたエッセイ。
恋愛するにはまずは経済的自立が必要であり、それらが揃わなければ恋愛などする資格がないとのこと。
誰にだってできるような安易な恋愛は拒否し、それよりも自分の生き方を確立して幸せになってこそ、初めて恋愛が成立するのだという。
昔と比較する場面が多く、昔の実態が分からない箇所もありなんともいえないが、自立とは精神的・経済的の二つの概念があることを知ることが出来る。
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女性誌の連載をまとめたもの。
読書中にツイッターでつぶやいたものから。
命の大切さに関する記述を読んでいて、ふと2002年夏頃の感覚がよみがえった。いつも鼻づまりの鼻にすっきり息が通ったような感覚。
「誰かに必要とされるということは、その誰かが、自分を受け入れてくれるということ、つまりセックスさせてくれるということだ」っていうところが、何か違うような気がした。友情とかはどうとらえているのだろうか。
経済的に自立してないと恋愛できない、といった事が書かれているが、学生同士の恋愛とかはどうとらえているのだろうか。
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2000年頃の雑誌のコラム集。村上龍のように生きたって充実した人生が送れるとは限らない。訓練の度合いと容姿で回答は変わる。
視野の広い人の考えることを通じて、自分の置かれているレベルを見据えることができ、導き出したい回答に近づけるはず。私も演歌の歌詞のような女性はすきじゃない。
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p35 思春期の異常な想像力を止めるはずの社会が機能していない
p41 世間
p124 本質的な寂しさからどう抜け出すか
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この人はやはりものすごく頭が良いのだろうなと思う。主張内容は異端児的に違いないが理路整然としていて、言葉の切れ味も鋭くなるほどと思わせられる話も多い。世界を多面的に捉えていて穿った見方で物事の本質を鋭くついているのです。恋愛論というよりは社会論といった趣きを持つ本書に描かれる大人の恋愛には希望はなく、むしろ現代においては、見出し難い希望を見出すことのできるくらい訓練を積みスキルを高めた女性のみがその資格を持つという結論。実にシビアで単純明快な答えです。