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商品説明
出版業界は、深刻な「崩壊現象」に喘ぎながら21世紀を迎えた。半世紀にわたって出版業界を見続けてきた著者が、いま進んでいるさまざまな崩壊現象、出口なき迷宮にある出版界を語る。【「TRC MARC」の商品解説】
【商品解説】
著者紹介
小林 一博
- 略歴
- 〈小林一博〉1931年福岡県生まれ。日本読書新聞営業長、図書月販仕入部長、新文化通信社『新文化』編集長などを歴任。現在、出版評論家。本の会、出版流通を考える会などを主宰。
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紙の本
出版「業界」って、なによ。
2001/06/17 17:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:taksun - この投稿者のレビュー一覧を見る
先月、うちの近所にある書店が閉店した。60年以上も歴史のある本屋だったという。だけど、ぼくがときどき覗いたかぎりでは、おざなりの品揃えと活気のない店内で、とても積極的に「本を買おう」という雰囲気じゃなかった。
一方、その書店の100m先には、数年前に新しくできた元気のいい本屋さんがある。お店の広さはそんなに変わらないけど、若い店長さんががんばって面白そうな本を仕入れて見せてくれている。
本屋さんとほかのお店の、いったいどこが違うんだろう? 「自分の店」で売っている商品、そしてお店そのものをもっともっとよくしていこうという努力がなければ、商売が続かずに店じまいする羽目になるのはごくごく普通のことだ。書店だけが「商売の原理」に関係なくていいという理由は、どこにもない。
と書店について書いてきたけど、出版社や取次、そして著者だってまったく同じことだ。個々の本の商品力、そしてそれを流通させるための工夫がなければ、「売れない」のは当然。(この本も含めて)出版「業界」が崩壊だのクラッシュだの言ってる現状というのは、結局自分たちが「まっとうな商売」をやってこなかった怠慢をぶーぶー愚痴垂れてるだけ、としか思えない。
「出版文化」ぁ!? みんなが興味持てないような本を作って、売ろうとする努力もしないで、それで「活字離れ」だとか「取次の不透明な取引が」とか言うのって、ピント外れ、もっと親切に言ってあげれば、「バカ」なんじゃないの?
京都にTシャツが大好きで、インターネットで自分の大好きなTシャツを売ってちゃんと商売になっている、キシモトというおじさんがいる。キシモトさんの本、『オンライン商人成功への道』を読んでごらんよ。それでもまだ「本は特殊だ」と言える? くれぐれも「再販制が」なんて寝ぼけたツッコミはしないでね。
それじゃ。
紙の本
著者コメント
2001/06/14 16:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:小林一博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
近代出版業が産声をあげてから120年、その間、戦中の統制時代、戦後の混乱期を
乗り越えて成長をとげてきたが、ここ数年は量的に拡大しすぎたためあらゆる場面で
混乱や矛盾が憤出してきた。
出版界はまさに危機的状況に陥っている。
たとえば、大手出版社の主導で取引形態・条件を決めてきたので、不公平でいびつな
商習慣をそのまま引きずった古い体質を改善できないでいる。出版社、取次、書店の
三者とも史上始まって以来の苦境に喘ぐようになった今こそ抜本的な改革をおこなう
絶好の機会だと思う。
この本で書かれていることを業界内のひとは部分的に知っていたり、改革の必要性も
痛感していたが、長年の慣習にとらわれ曖昧にしてきたといえる。よくぞ書いてくれ
たと言って下さる読者もいて著者として大変うれしい。日本の出版文化を消滅させな
いためにもできる限り多くのひとによんでもらいたい。(小林一博)
紙の本
出版業界の最新分析。自転車操業,新古書店,電子出版などについて,業界きっての論者が縦横に斬る
2001/05/01 22:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:廣田 耕司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
活字離れが言われて久しい。しかし,1990年代後半あたりから,出版業界は新たな危機に見舞われている。隆盛を極めたコミック雑誌までが低落し,その半面で売れないから自転車操業に走り,安易な企画・新書が氾濫。返品率が50%ならいい方だ。
著者は出版ジャーナリストの第一人者。本文で,まず90年代後半以後の出版バブルを批判し,97年以後の連続売り上げ減,毎年1000軒以上の書店が廃業する現実を指摘。こうした危機状況に加え,IT時代にどのように生き延びていくか,先の見えない状況に対し,著者は「新刊点数を年間3万点以下に減らせ」「取引の公正化を図れ」「卸値を下げ注文買い切り制を導入せよ」などと具体的に提言している。
文章のすべてに,本を愛する真摯(しんし)な姿勢が貫かれ,紙と文字への危機感が溢れている。出版こそは文化を維持する究極のメディア,とする著者の考え方に同感する向きも多いことだろう。業界関係者以外に読んでもらいたい本である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001