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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2001.5
  • 出版社: 早川書房
  • サイズ:16cm/301p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-15-120002-1

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みんなのレビュー339件

みんなの評価4.5

評価内訳

紙の本

愛すべき双子の日々

2009/07/14 12:13

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:k** - この投稿者のレビュー一覧を見る

第二次大戦のさなか、戦火を逃れるために田舎のおばあちゃんのもとに預けられた天才の双子。しかもそのおばあちゃんは夫を毒殺したと噂され<魔女>と呼ばれる怖い人だった。
けれども二人はそこで農家の仕事を覚え、読み書きを覚え、痛みに耐えることを覚え、たくましくなっていく。
この双子はとても残酷なことを平気でする。だけどその双子がそういうことをするのにはいつだって理由があって常に筋が通っている。二人は二人でいるからこそどんなことも乗り越える。
彼らは絶対に人を差別しない。彼らのものさしでことの善悪を判断し、対応する。たとえ周りからその人が蔑まれていようが、守るときめたら守り通す。
同情はしない。相手が飢えて苦しんでいたら彼らも断食してその気持ちを理解するし、目が見えない人をみたら黒い三角の布を目にあててその状態を理解する。何もごまかさない。

この双子から私たちが学ぶべきことはあまりにも多すぎる。

すべて文章はその双子の視点で描かれていて、シニカルで、そこでは一切の主観も入らないように細心の注意が払われている。

彼らは一見すごく大人にみえるけれど、たまに子どもらしさが垣間見え、又、子どもだからこそ物事を先入観なくとらえられる純粋さがうかがえる。
特に印象に残っているのは、周りからの言葉の暴力に耐えるために二人で訓練するところ。

「ぼくらはもう、赤くなったり、震えたりしたくない。罵詈雑言に、思いやりのない言葉に慣れてしまいたい。ぼくらは台所で、テーブルを挟んで向かい合わせに席に着き、真っ向から睨み合って、だんだんと惨さを増す言葉を浴びせあう。(中略)そして、とうとうどんな言葉にも動じないでいられるようになったことを確認する。しかし、以前に聞いて記憶に残っている言葉もある。おかあさんは、ぼくらに言ったものだ。『私の愛しい子!最愛の子!私の大切な、可愛い赤ちゃん!』これらの言葉を思い出すと、ぼくらの目に涙が溢れる。これらの言葉をぼくらは忘れなくてはならない。なぜなら、今では誰一人、同じたぐいの言葉はかけてくれないし、それに、これらの言葉の思い出は切なすぎて、この先、とうてい胸に秘めてはいけないからだ。」

子どもが子どもでいられないのは社会がそれを許さないからだ。なぜこの双子がこの涙を乗り越えなければならないほど強くならなければいけないのか…それは、なんて悲しくて残酷なことだろう。

私はこの双子を思い切り抱きしめてあげたい。

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紙の本

決して癒えない傷が書かせる物語

2011/07/17 09:32

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦争において子供達が被る被害は理不尽なものだろう。もっとも、その理不尽さなど問題にせず、もっとも早く状況に適応するのも子供かもしれない。もちろんそんな適応がいいこととは言えず、人格の奥底に暗い記憶として残り、消えない怨嗟の連環を生み出すのではないだろうか。
ナチス占領下にあったハンガリーと思しき舞台で、祖母の元に疎開させられてくる双子の少年。直接戦火を受けるわけではないが、それまでの暮らしから一転する物資の不足、弱者にいっそう辛くあたる人々、その背景にある思想統制が、子供達を圧迫する。
それでも子供達は表面上は元気を失わずに成長するのだが、大人になってみて消しがたい人間不信か硬直性かなにか、自分の人格の歪みに気づくだろう。あの頃に自分を抑圧したもの達に反抗し、あるいは貝のように自我を閉ざして守ることが出来たらと夢想するだろう。
双子の少年達は、町では魔女と呼ばれて孤独に生きる祖母と暮らすうちに、彼女が純真で一途さを貫いているがゆえにそう呼ばれていることを感じ取り、その生き方をロールモデルとして取り入れることで自分たちの世界を守り通す。
彼らは当時の大人達から見ればどうしようもない悪たれ小僧であり、反社会的な存在ですらある。しかし子供が本来の自分として成長するためには、それが必要だった。なにより大人達の裏をかき、鼻を明かし、翻弄する彼らの姿こそは、かつて虐げられた者による大人への復讐なのだ。この双子の存在は、戦争に流され、民族イデオロギーに加担した大人達への糾弾だ。だからこそクールで痛快。時には彼らなりの純粋さでひそかな懲罰を与えもする。戦禍を生き延びることで精一杯だった、彼らのもっとも愛した両親さえも、距離を置いて見るようになっていく。
支配者はナチスからソ連へと移って行くが、子供達にとっては何も好転するわけでもなく、支配者に摺り寄る大人が入れ替わるだけで、そのことも彼らは冷徹に見ている。
日本の戦争末期から戦後にかけてでも、やはり疎開したり親を失ったりした子供達は同じような境遇にあったのだろうし、周囲の大人の欺瞞に目をつぶって生き延びて来たのだろう。そしてたぶん、復讐などする余裕も無かったのだ。大人達に十分な庇護を受けた子供達には分からないことで、同じ世代の中でも「悪童」の側とその反対の立場がいることだろう。
この作品は、作中での復讐と同時に、作者のように時代を経て理解者の少ない境遇の者から、当時から現代までその罪を忘れて来た人々への復讐でもある。この自分が撃ち抜かれた者であることに気づかない人々を、僕らは目撃する。

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紙の本

醜悪な現実を、ものともせぬ強さ

2003/06/03 10:18

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦時中、空爆激しい〈大きな町〉から、母に連れられておばあちゃんの住む〈小さな町〉に疎開して来た双子の〈ぼくら〉。お母さんは、戦争が終わるまでおばあちゃんのもとにいるよう言い残して去ってしまう。初めて会うおばあちゃんは、近所から〈魔女〉と呼ばれるいわくつきの人だった。
 エゴイスティックなおばあちゃんと、彼女のもとにいきなり放り出された双子とのスリリングな暮らしを描く。フィクションとはとうてい思えぬほどの、リアリティと迫力を持つ1冊。目に快いつくりごとを読み慣れた身には、すごくショッキングな本であった。
 実の孫を「牝犬の子」呼ばわりする、吝嗇家で不潔な祖母。そんな偏屈な老婆との同居なんて、平時であればまっぴらごめんであろう。しかし戦時下においては命あっての物種、ゼイタクは言えないのであった。育ちの良い上品なボクたちが、野卑な祖母によって蹂躙されてしまう話なのか?と思ったが、予想を裏切る驚愕の展開に強く魅せられてしまう。
 祖母からネグレクト同然の扱いを受け、周囲からは〈魔女の孫〉として侮蔑を浴びせられる双子は、驚くべき勤勉さでもって互いに鍛錬し、逆境をものともせず育っていく。そして、自らの哲学に従い完璧なまでの合理性と彼らだけの流儀を追究していくのだ。とても意志力が強い。まるで小さき二人の神のようだ。そして、互いに無関心なようだった祖母と孫との関係は、長きにわたる共同生活によって変質していくように見える。だからこそ、この小説のラストは哀しい。
 人は年齢的に大人になると、自らの子供時代の記憶を封印し、コドモと呼ばれる年若い人たちを無力で純真な存在と見なしたがる。確かに子供には純情で潔癖な一面もある。だが、コドモをコドモたらしめている幼さのイメージは、ただ彼らの人生経験の少なさに起因するのみだ。習慣や希望的観測による事実の誤認なく、真正直にものごとをありのままとらえる能力は、堕落を覚えた怠惰な大人からは失われているのである。そして真っ直ぐな彼らは、まだ妥協や諦念を知らず、押しつけの社会常識に従うこともなく、自分たちだけの正義を貫くのだ。それはこの双子のような超人的なタフさでもって可能となるのだ。
 ピュアで天使のような子供なんていやしない。そう見えたとしたら、それは大人によるバイアスが彼らをそう見せかけているだけだ。彼らは大人になってしまった我々と同じ〈人間〉なのだから。 

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やめらない、とまらない

2001/10/29 16:51

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆきるん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 前から気になっていた本だったが、文庫本化されているのを知り、旅のお供用に購入。成田空港までの京成ライナーの中で1回、バンコクまでの飛行機の中で1回、サムイ島のチャウエンビーチで1回、帰りの飛行機で1回と、くどく読んでしまった。それくらい面白くてあきさせない。目からうろこが落ちたというような、ふしぎな斬新な感覚。文章の表現方法の勉強としても、かなりためになる。続編があるというが、文庫本はまだ先だろうなぁ。待てずに、ハードカバーを買いそうです。

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紙の本

面白い

2017/11/13 07:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:TAICHI - この投稿者のレビュー一覧を見る

双子の子供が一生懸命生きていく姿に心打たれた。頭のよさや、まわりの犠牲をいとわないその姿勢には驚いた。

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恐ろしく合理的な双子

2017/01/30 14:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひまわりまま - この投稿者のレビュー一覧を見る

パパがいなくなった。ママは僕たちをおばあちゃんの家に預けた・・・こう書けば都会生活に疲れた子どもたちが田舎でのびのびと暮らす物語かと思われがちだが、本作は違う。これでもかという過酷な状況の中、双子は自分たちが生き延びるためにあらゆる策謀をめぐらす。時には大人たちの命を糧にして・・・。淡々とつづられる日々の生活の終わりに、彼らが選んだのは「生き残る可能性を増やすこと」。ただしそれは二人でいることに終わりを告げることだった・・・。残酷な世の中で、その残酷さを上回る合理性を身に着けた子どもたちのストーリー。

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紙の本

新鮮

2002/03/11 12:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:れんげ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 まず、翻訳がいい。
 ある双子があくまであった事実を淡々と(内容は全然淡々じゃないけど)記すという形になってるのだけど、そのそっけない文と良く合っている。
 出てくる登場人物のキャラが良いのも読みやすい理由の一つ。
 とにかく初めからラストまですごく新鮮な一冊だった。

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紙の本

「悪童」が文字通りに襲いかかるショック

2001/09/28 23:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 タイトルを見た時は、悪ガキ達が暴れ回る冒険小説のようなものかな? と思っていた。「悪童」という響きには一種のご愛嬌が含まれていると感じているからだ。だが読んでみると内容は想像していたものとは全く違うものであるというのがわかった。
 主人公は双子の男の子二人。そして、文章は「ぼくら」という二人称を使った彼らの日記形式で進められていく。
 大きな町で戦火が激しくなり、双子はおばあちゃんが住む小さな町へ連れられてくる。母親と別れておばあちゃんの家にあずけられた二人は、お互いの体を傷つけ合って体を鍛えたり、お互いにひどい言葉や反対にやさしい言葉を投げ合って言葉に動じない心を作り上げる。この他「残酷なことの練習」「断食の練習」「盲と聾の練習」「乞食の練習」など二人で考え出した練習によって、戦争によって激しく移り変わる社会に対応する術を身につける。
 双子がたくましく生きていく様を描いた物語かと言えば、「それは少し違う。」と言うしかない。彼らは「作文の練習」によって、「感情を定義する言葉は非常に漠然としている」という理由から「事実の忠実な描写」だけを綴ることに専念する。だから彼らの日記形式である本書には、彼らの感情は元より、登場する人々の感情というものはすべて省かれている。だから、読者は、戦争に巻き込まれた憐れな双子に感情移入することは赦されず、戦争の核心部分あるいは人間の核心部分にいやでも向き合わされることになる。
 本書には地名や国名は一切出てこない。しかし、訳注を読んでもわかる通り、ナチスドイツが横行した時代のハンガリーが舞台となっている。双子が目撃した「牽かれて行く人間たちの群れ」とは、ユダヤ人が強制収容所に連れて行かれる様子だろう。そして、次にソ連の赤軍に陥落された時双子が見たものは、ドイツ兵が去ってもぬけのからになった収容所に残った黒焦げになった死体の山だ。
 著者のアゴタ・クリストフは1935年ハンガリー生まれの人で、1956年のハンガリー動乱の折に西側に亡命している。
 『悪童日記』で著者はなぜ双子を登場させなければならなかったのか? それは、凄惨な状況下で自分の内にある様々なものを無理にも一つに寄せ集めることでのみ生き抜くことができるということを二人前で一つという双子によって表したのではないだろうか。また、この物語の最後で双子の取った行動は、そのまま著者の亡命によって一生引きずっていく気持ちを表現しているのではないかと思った。
 感情の混じらない文章によって、私は感情の昂ぶりを覚えるのだった。

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紙の本

悪童日記

2001/09/17 19:33

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投稿者:げっぷ5号 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 傑作である。ハヤカワepi文庫は若い人をターゲットにしたので、翻訳は平易な文章で書かれていて、文字も大きいが、内容は文学史に残るような傑作である。「悪童日記」もその例に漏れず傑作である。文学を読みたいがなににしようか迷っている人にお勧め。

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紙の本

剥き出し

2003/02/25 23:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦時下の、おそらくハンガリーの田舎町であろう場所を舞台に繰り広げられる、双子の少年の成長記。ずっしりとパワフルな、しかし軽快でユーモラスな物語。世界20カ国以上で翻訳され、かなりの反響を呼んだそうです。

双子の「ぼくら」(年齢不詳)が、小さな町の<魔女>と呼ばれるおばあちゃんのもとへ疎開し、そこでの体験を秘密のノートブックに書きつけた—(原題は「大きなノートブック」の意らしい)という体裁のこの作品に記録されていることといったら! ひとことでいえば、戦争によって剥き出しにされた人間の生(性)と死ということだと思うのですが、そのあまりのむごたらしさ、哀しさに圧倒されます。

この本に戦争そのものが描かれているのだとしたら、戦争のもたらす極限状態が人間の尊厳をかくもことごとく奪い去るものかと、さらに少年たちの成長物語が描かれているのだとしたら、ひたすらシャープに尖っていくナイフのような主人公の生きざまに、かくなる過剰なクールネスが許容されるものかと、とにもかくにも海よりも深くため息をつきたいところです。

パースペクティヴを違えれば、ハードボイルド小説としても成り立つであろうタフな物語の終盤、おばあちゃんの末期にひととき見せる双子の友愛の情らしきものが、いくぶんか人の血の通った温かさらしきを残します。
それにしても、これら過酷・非情なエピソードの数々が、意外にも後味の悪さを残さずにポジティヴに消化され、一気に読み進められてしまうあたりが、多くに受け入れられる所以でしょう。

「戦死して英雄、生き残って英雄、負傷して英雄。それだから戦争を発明したんでしょうが、あんたたち男は」。戦争とは究極のマチズモなんでしょうか。女性の地位向上がますます促進されるであろうこの世紀、それでも開戦なんてありえねーと思いたいですが。

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紙の本

知性の双子性

2002/04/03 23:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 双子三部作(『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』)の第一作。ちょうど十年前に翻訳が出て、ずいぶんと評判になりブームにもなったのがつい最近のことのように思える。文庫化されたのを機に遅ればせながら読んでみたのだけれど、これがまあ比類のない傑作で、いまさら絶賛するのもちょっと気が引けてしまう。

 どこがどう面白いのかと問われて絶句し、「まあとにかく読んでみてください」としか言えないのも芸がないので、一言だけ述べておくと、この作品には怪物的な「知性」が躍動している。この知性の担い手は、言うまでもなく双子の「ぼくら」──固有名をもたない場所(小さな町)に住み、体と精神を訓練し、作文や不動の術や断食の練習をし、学習し(「作り話ではなく、事実を書いた本が読みたいんです」)、生き抜いていく、まるで二人の天使みたいに美しい「ぼくら」である。

 知性の双子性。この反省のない非ロマン主義的知性の形態を造形し叙述しえたことが、この作品の最大の達成だ。

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恐ろしい子供

2015/08/30 08:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あなご - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公は双子の男の子。彼らはいつも二人一緒に行動し、「ぼくら」として日記を書いている。
とにかくやっていることは生意気な子供の言動を更に悪化させ、かつ純粋にしたようなことばかり。もしこんな子供が身近にいたら絶対に近付かないし関わりたくもない。彼らの行動は、戦時中など人権を無視した環境の中では必要不可欠な強かさなのかもしれない。でもやっぱり、すごく嫌だ。
こんな行動を子供たちにとらせる戦争はやっぱり駄目だとか、そういう見方も出来なくはないけれど、それはこの本には相応しくないと思う。
とにかく読んでいて気分の悪くなる描写が多いのだけれど、一箇所だけ、よくやった、と思ってしまう場面がある。
もう一度読む度胸はないけれど。

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紙の本

5月29日今日のおすすめ

2001/06/14 20:18

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る

若い読者層をタ−ゲットにして5月23日に新創刊されたハヤカワepi文庫の1冊。

1986年に彗星のようにデビューしたハンガリー生まれのアゴタ・クリストフ。彼女の処女作『悪童日記』は世界各国で翻訳され今もなお読み継がれているロングセラーである。日本でも1991年にハヤカワ・ノヴェルズとして出版され、大評判になった。

第二次世界大戦末期のハンガリーが舞台。ブタペストに住んでいた天才双生児(9歳)は母親の田舎であるおばあちゃんの家に預けられる。そこはオーストリアとの国境の村だ。村の人々はおばあちゃんを“魔女”と呼ぶ。おばあちゃんは双子を預ける母親と子供たちに向かって「わしゃ、これからおまえたちに、生きるっていうのはどういうことか教えてやるわい!」と宣言する。おばあちゃんは働き者だ。庭にはあらゆる種類の野菜と果樹がうえられ、おまけに、鶏、山羊、豚、兎も飼っていて、野菜、果物、卵、若鶏、アヒルなどを市場に売り、おばあちゃんは食料もお金もどっさり持っている。しかし吝嗇である。働かないものには食べ物を与えない。彼ら二人はこのおばあちゃんを毛嫌いするが、おばあちゃんをじっくり観察するうちに、自分たちのほうから労働したいと言いだす。そして次第に、冷静にしたたかにおばあちゃんから生きる術を学んでいく。また二人は聖書とお父さんの辞典だけを頼りに文字を覚え、新約聖書も旧約聖書も通読してしまう。たくさんの個所を暗記さえしてしまい、村の神父顔負けの聖書知識を身につける。だからといって神を信じるわけではない。決して信じないし、お祈りもしない。

この小説は彼ら二人の日記形式で書き進められている。一篇一篇はとても短い。

「おばあちゃん」「労働」「不潔さ」「体の訓練」「精神の鍛錬」「紙と鉛筆と帳面を買う」といったタイトルで、二人の秘密の日記をまるで覗き見るような感じで読み進むのだが、鋭い刃物で切りつけられるような思いがした。この文体にしびれた。味も素っ気もない、いっさいの装飾を剥ぎ取った文。それでいてこれほど心に深く刻みつけられる文章があるということに驚く。若い未読の読者にぜひ薦めたい。これを読んだら必ず続編の『ふたりの証拠』『第三の嘘』を読みたくなるはず。この三作品は「悪童日記シリーズ」として括られているからだ。しかし、並外れて密度の濃い作品ではあるが、続編2冊は『悪童日記』ほどのインパクトは無いように感じた。あまりに『悪童日記』が凄すぎた。この大傑作を前にしては、どんな作品も影がうすくなるのは仕方がないことかも。(文庫・新書サイトエディター、國岡克知子)

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2011/03/26 22:44

投稿元:ブクログ

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2005/12/05 12:02

投稿元:ブクログ

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