- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.4
- 出版社: 日本評論社
- サイズ:21cm/165p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-535-98184-1
紙の本
遺伝子医療と生命倫理
2000年2月、9月に開催されたシンポジウム「遺伝子医療における社会的・倫理的問題を考える」の講演を中心に編集したもの。受精卵診断、遺伝子治療の2章にわけ掲載。【「TRC...
遺伝子医療と生命倫理
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商品説明
2000年2月、9月に開催されたシンポジウム「遺伝子医療における社会的・倫理的問題を考える」の講演を中心に編集したもの。受精卵診断、遺伝子治療の2章にわけ掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
受精卵診断とは | 吉村泰典 著 | 7-18 |
---|---|---|
受精卵診断に対する私の意見 | 村上陽一郎 著 | 19-28 |
受精卵診断に対する私の意見 | 養老孟司 著 | 29-44 |
著者紹介
貝谷 久宣
- 略歴
- 〈貝谷〉1943年生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。医療法人和楽会理事長。(社)日本筋ジストロフィー協会理事。編著書に「脳内不安物質」「パニック障害」など。
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紙の本
人間は今後、病といかにつきあっていくのか
2001/05/10 19:04
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投稿者:彦坂暁 - この投稿者のレビュー一覧を見る
筋ジストロフィーのように遺伝子の異常によって起きる疾患に対しては、原因となる遺伝子そのものを診断し、治療する遺伝子医療が有効だ。本書は遺伝子医療の進歩によって現在なにが可能になってきたのかを明らかにし、そこから生じてくる社会的・倫理的問題を考える本である。日本筋ジストロフィー協会が2000年に開催した2回のシンポジウムが元になっている。
内容は大きく2つに分かれる。第1部「受精卵診断」では、遺伝病の出生前診断の問題が論じられる。とくに従来行われてきた出生前診断(絨毛検査や羊水検査)より早い時期に受精卵の検査を行う「着床前診断」が可能になったことで起きてくる諸問題が議論されている。第2部「遺伝子治療」では、筋ジストロフィー患者に対する遺伝子治療の可能性が見えてきたことを受けて、遺伝子治療がもたらす医学的、社会的、倫理的諸問題が議論される。論者は医療関係者、筋ジストロフィーの患者、家族はもちろん、生物学者、地球物理学者、科学技術論の研究者、ジャーナリストなど多彩である。
個人的には、「障害も一つの個性」「障害をもって生まれたことは不幸ではない」という2人の筋ジストロフィー患者の発言が印象に残った。遺伝子医療の問題は、病気なのだから早期に発見すれば良いとか、治療が可能になったのならすぐに直してしまえば良いとかいうような、単純な議論で済む話ではない。人間とその社会が「病」とどのように付き合っていくのか、「遺伝子」をどのように制御して(あるいはしないで)いくのか、という大きな問題と関っている。本書に答えがあるわけではないが、考える手がかりは与えてくれる。
(彦坂暁/広島大学 総合科学部 http://hiko475.ias.hiroshima-u.ac.jp/index-j.html)
<目次>
巻頭言 遺伝子医療と生命倫理 (貝谷久宣)
シンポジウム1 受精卵診断
はじめに (埜中征哉)
受精卵診断とは (吉村泰典)
受精卵診断に対する私の意見 ——社会的見地から (村上陽一郎)
受精卵診断に対する私の意見 ——生物学的見地から (養老孟司)
遺伝子診断を行なう前に考えるべきこと (武部啓)
出生前診断・着床前診断と筋ジストロフィー (石原傳幸)
出生前診断の倫理的課題 (迫田朋子)
障害も一つの個性 (溝口伸之)
不自由な人にやさしい社会を (岡本恵美子)
討論1 受精卵診断
シンポジウム2 遺伝子治療
はじめに (杉田秀夫)
遺伝子治療の基礎知識 (武田伸一)
遺伝子治療の倫理的課題 (武部啓)
地球システム、人間圏、そして遺伝子治療 (松井孝典)
遺伝子治療の経済的・社会的問題 (馬場錬成)
障害をもって生まれたことは不幸ではない (町田久美子)
討論2 遺伝子治療
特別寄稿 筋ジストロフィーについて思うこと (柳澤桂子)
おわりに (河端静子)
資料 鹿児島大学医学部における着床前診断の申請とその経過