- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.4
- 出版社: 紀伊国屋書店
- サイズ:20cm/262p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-314-00888-1
- 国内送料無料
紙の本
地球は売り物じゃない! ジャンクフードと闘う農民たち
著者 ジョゼ・ボヴェ (著),フランソワ・デュフール (著),ジル・リュノー (聞き手),新谷 淳一 (訳)
南仏の小さな町ミヨで、建設途中のマクドナルドが農民たちによって解体された「マクドナルド事件」。その中心人物ボヴェが、事件の真相と彼らの活動、そしてこれからの食文化のあり方...
地球は売り物じゃない! ジャンクフードと闘う農民たち
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商品説明
南仏の小さな町ミヨで、建設途中のマクドナルドが農民たちによって解体された「マクドナルド事件」。その中心人物ボヴェが、事件の真相と彼らの活動、そしてこれからの食文化のあり方について語る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ジョゼ・ボヴェ
- 略歴
- 〈ボヴェ〉1953年生まれ。南仏アヴェロン県在住。新しい農業を提唱する「農民同盟」の全国代表。
〈デュフール〉1953年生まれ。仏、ラ・ビノレ在住。「農民同盟」の前全国代表。
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紙の本
農業国フランスの「もう一つの」底力
2001/06/03 11:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんとアメリカでは、肉牛の飼育にホルモン剤が使われてる。そして、欧州連合がこの牛肉の輸入を禁止したら、対抗して、アメリカはフランス産チーズの輸入を事実上禁止した。1999年夏、これに怒ったフランスの農民たちが一軒のマクドナルドにおしかけ、店を「解体」する。この本は、事件の中心人物ボヴェのインタビューを中心に編まれた原書の邦訳だ。
たしかに、何かに抗議してデモやストをするのは、日本でもわりとよく見かける光景だ。でも、最初この本を読んだとき、僕は三つの疑問を感じた。第一、ボヴェたちの行動は、なんと与党政治家も含めて、ひろく支持された。日本でストなんかしたら、大抵は「消費者」から苦情が殺到する。第二、ボヴェたちの行動は突発的なものじゃない。有機農業を広めるとか、アメリカに行って世界貿易機関(WTO)に抗議するとかいった、色々な活動の一環なんだ。日本の農協が外国まで行くかね。第三、この本のなかのボヴェたちの言葉は広く、深い。なんだ、こいつら、ただ者じゃない。
むろん、この本には、僕の疑問を解くためのヒントも詰まってた。第一、ボヴェたちの行動が支持されたのは、それが「開かれた」ものだったからだ。たとえば、WTOみたいなグローバリズムを批判する人は、「反グローバリズム」とか「ナショナリズム」とか「セクショナリズム(自分の職業が大事)」に走ることが多い。でも、ボヴェたちにいわせれば、それじゃ一部の人々の利益にしかならない「閉ざされた」ものになるから駄目。WTOを監視するために世界の農民とグローバルに手をつなぎ、美味しいものを食べるために消費者と手をつなぐ。国境や経済的利害といった境界線をやすやすとのりこえ、連帯して柔らかいネットワークを作っていくボヴェたちの姿は、とても爽快だ。というわけで、彼らの第一のキーワードは「開く」。
第二、ボヴェたちが色々な活動をしてる背景には、何でも商品にする市場原理主義に対する「対抗思想」がある。機械化された農業じゃなくて、手作りの有機農業。安い食品じゃなくて、美味しい食品。経済活動としての生活じゃなくて、文化としての生活。そして、対抗思想は「対案」じゃないことが大切。対案は「提案する」ことだけど、対抗思想は「自ら実践する」ことなんだ。たとえば、ボヴェたちは、WTOに対抗する思想を、WTOを監視する裁判所を作る運動として具体化してる。というわけで、彼らの第二のキーワードは「自分でやる」。
第三、ボヴェは農家育ちじゃない。多分高校生のときに青年反乱(1968年)に参加し、大学に入って色々なことを学んだうえで、農業を始めた。だから英語はぺらぺらだし、科学や世界の情勢にも通じてる。有能なコミュニケーターで、深く広い思索家で、そのうえ青年のときの姿勢をずっと守ってる。日本でも同じ年に「大学闘争」がおこったけど、僕はおもわず闘争に参加した全共闘世代の末路を想ってしまった。というわけで、ボヴェたちの第三のキーワードは「こだわる」。
開かれた態度で、自分でやり、始めたら続ける。ボヴェたちのこんな姿勢の背後にあるのは、独特の「個人主義」だ。これを「利己主義」と混同しちゃいけない。彼らの個人主義は、「やりたいこと」をするだけじゃなくて「できること」もすることだ。「できること」、つまり、具体的で、身近で、自分の力を役立てたら解決できそうな問題を無視するのは「なし」。そして、自分の身の丈で考えるから、やってて楽しい。こうしてボヴェたちの活動は一種の「祭り」になり、多くの人を魅きつける。デモにもストにも農民運動にも関心がない人でも、何かを始めるときの「ハウツー本」として使えそうだ。
わかりやすい訳文と速攻の翻訳は高得点。「訳者あとがき」は、ボヴェたちをとりまくフランス社会経済の現状が説明不足。でも、中身が面白すぎるから、評価は五つ星。
紙の本
農産物市場支配者と戦うフランスの農民たち
2001/11/05 19:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uwasano - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランスの農民組合「農民同盟」のリーダーである、ジョゼ・ボヴェとフランソワ・デュフールという二人の男のインタビューをもとにした本である。マクドナルドを襲撃した罪で逮捕されたボヴェを足がかりに、フランスの農業を取り巻く状況と、それに対処する一つのムーブメントを知ることができる。
フランス最大の農民組合はFNSEA(農業経営者組合全国連合)で、戦後の生産性至上主義の農業を推進してきた。これに対抗した形で出てきたのが「農民同盟」である。農民同盟は、生産性至上主義に変わる「農的農業」という概念を提唱する。それにより、昨今の農作物の自由貿易の動きを批判する。一般的に、世界的な自由貿易は、グローバリズムと言われ、それは絶対に正しいものとしてとらえられるが、ボヴェらは、それに強く反発し、「グローバル化に対抗するグローバルな運動」を展開する。WTO(世界貿易機関)のシアトルでの会議で、やけに反対運動が盛り上がったことを覚えているが、その背景にボヴェらの動きがあったことが分かる。
農産物市場を牛耳るアグリビジネスの多国籍企業は、世界を覆い尽くそうとする勢力であるが、彼らは本当に安全なものを消費者に送り届けることができるのか? 生産性至上主義を第一義とするなら、ホルモン肥育牛肉・GMO(遺伝子組み換え体作物)・動物性飼料による家畜の飼育(狂牛病の発生原因となる)は肯定されるものとなる。しかも市場を牛耳られてしまうなら、消費者は、危険な物以外の選択肢がなくなる。そんな時代になりつつある現代であるが、ボヴェらは広く反対運動を展開する。
私は学生時代、一般教養の授業科目の「哲学」やら「政治学」で、ヨーロッパの哲学や思想というものを勉強してきた。私はそれを学問的な知識としてただ知っているというだけだったが、本物のヨーロッパ人であるボヴェらは、そんな哲学を自然な感じで語り、農民運動に生かしている。彼の魅力は国境を越えて多くの人を引きつけ、なんともいい感じの連帯を作っていく。そこには理想的な市民運動の姿が見えるようだ。
この本で書かれたフランスでの動きは、大きく日本でも参考になる。フランスと日本の農業の状況がかなり似ているし、なにより市民の連帯の理想的な姿が参考になると思う。GMO(遺伝子組み換え体作物)反対の論理や、薬害エイズと狂牛病の比較など、フランスの農民はとっくに知っているのに、日本では大きく遅れてしまった感がある。本当の意味の先進国となるため、アメリカよりもフランスを参考とすべきだと、強く思った。
紙の本
2001/06/11
2001/06/12 18:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経ビジネス - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、ホルモン肥育牛肉の輸入自由化を要求する米国と、世界的な世論をバックにつけて戦ったフランス農民の1人。ホルモン剤や抗生物質によって育てられた家畜や、遺伝子組み換えで作られた農産物を例に、自然の摂理を無視して目の前の利益ばかりを追求する農業の弊害を訴える。
「安く、大量に」という食品産業の要求の下に生産を拡大する農業の現状に警告を発し、自然と共生しながら安全で上質な農産物を育てるには、どんなルールが必要なのかを解説している。“ジャンクフード天国”日本の農業のあり方にも一石を投じる内容だ。
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