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夜のフロスト(創元推理文庫)

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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.3 41件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2001.6
  • 出版社: 東京創元社
  • レーベル: 創元推理文庫
  • サイズ:15cm/761p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-488-29103-1

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紙の本

夜のフロスト (創元推理文庫)

著者 R.D.ウィングフィールド (著),芹沢 恵 (訳)

夜のフロスト (創元推理文庫)

1,404(税込)

夜のフロスト

1,337 (税込)

夜のフロスト

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みんなのレビュー41件

みんなの評価4.3

評価内訳

紙の本

そうだよね。一つの事件だけじゃないよね。

2001/06/28 15:20

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くもざる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「フロスト警部」ものの第3段。といっても、前の2つを読んでいなくても、一向にかまわない読み切りサイズだ。

 よく他の推理小説の刑事や探偵は1つの事件に集中して、かかりっきりになるが、はたしてそんなことが日常の生活で可能か? その間に時間がとまっているわけではあるまいに、それ以外の事件や依頼だってどんどんおこるはずだ。そして、いくつも並行して事件を抱えていなくてはいけないのではないか?

 このフロスト警部はまさに、いくつもの難事件を抱えて(いささか抱えすぎ)、あっちにぴょん、こっちにぴょんと飛び跳ねて、バタバタしている。そればかりか、「そんなにいっぺんに出来るか」と投げ出したり、脇にどけておいたりしてしまう。実際私も仕事とかで、大事だとは分かっているけどあまりの面倒くささに、手を付けたくないことがよくあるので、この気持ちは痛いほど分かる。

 この小説の最大の魅力は、何個もの事件をどたばた解決するその息をつかせない展開の早さだ。でも、主人公はむさくて汚らしくて下品な冗談ばかりいうおっさんだけど。しかし、にくめないどころかついつい魅かれてしまう。人間臭いからか?

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紙の本

フロストみたび現る!

2001/07/06 01:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Yabuken - この投稿者のレビュー一覧を見る

 イギリスの片田舎デントンにおいて風邪が猛威をふるい、デントン警察署も人手が不足している。そんな中、仲むつまじい夫婦に脅迫状が、新聞配達中に行方不明となった女の子が、夜の墓場を荒らす不届きものが、連続老人切り裂き犯が、下品なジョークと不屈の仕事魂を兼ねそろえるデントン警察きっての名物警部ジャック・フロストに襲いかかかる!
 いやあフロスト警部シリーズ待望の第三弾!2001年まだ半ばながらにして僕の今年ナンバー1ミステリーに押しちゃいましょう。相変わらずのフロストの下品ぶりは目を見張ります。しかしただ単純に下品なジョークを言っているわけじゃあない。それはギルモア部長刑事から下卑たジョークをとがめられたときにでたフロストの「この仕事をしてると、胸くその悪くなるようなことを、それこそ山のように目にするんだよ〜中略〜だから、俺は冗談を言う。冗談を言ってりゃ因果な仕事の因果な部分を引き受けるのが、いくらか楽になる。ただ気に障ったなら謝るよ」という部分に表れている。今回もストーリーはいくつもの事件が同時進行し、フロストを、時には読者までも惑わすが最期にはちゃんと帳尻があっている。罪を償うべきものが最期には罪を償っているというところが醍醐味。このシリーズは最期の100ページぐらいから一気にストーリーが加速していく。その際に物語前半部分の伏線が憎らしいぐらい活きてくる。ただやっぱりちょっと事件がごちゃごちゃしすぎて現状を把握しにくいかなあって気もしないでもない。ただこのゴチャゴチャ感がフロスト警部シリーズのたまらない魅力なのだろう。

 未読の方は前2作「クリスマスのフロスト」「フロスト日和」とともに一読をお勧めします。(ちなみシリーズのなかで一番はやっぱり「クリスマスのフロスト」かな)

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紙の本

キング・オブ・オヤジフロスト!

2001/07/19 23:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nory - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ったく、オヤジってやつは…と何度思ったかしれない。電車で靴を脱いで寝ているオヤジ、会社でどう考えてもおかしい指示をしてくるオヤジ、飲み会の席でわけのわからない説教をたれるオヤジ。女の敵はオヤジである、と信じていたときもあるくらいだ。

 そこで登場するのが、オヤジ中のオヤジといっていいほどのフロスト警部である。よれよれの背広、1週間は確実に着ているシャツ、雨が穴という穴からしみ込んでくる靴、ルール無視の性格、くだらないジョーク。こんなにもオヤジ度100%なのに、なぜ好きになってしまうのだろう。

 この本は「クリスマスのフロスト」「フロスト日和」に続くシリーズ3冊目になるが、今回も1ページに3回の割合いで笑わせてくれる。うち、85%はお下劣(鑑識「どこにも手を触れてませんね?」フロスト「ああ、自分のちんぽこにも触れてない」)&不謹慎(殺人現場で鑑識係のお尻に浣腸)という趣味の悪いジョークばかりである。捜査の進め方も直感まかせでまわりを振り回し、迷惑かけ放題である。

 ここで先ほどの問いに戻ってみる。なぜこんなフロストを好きになってしまうのか。
 まずひとつは仕事中毒というくらい全力で仕事をすること。そして上司に対してまったくへつらわないこと。泥をかぶることにいささかの躊躇もないこと。弱き者の味方であること。しかし最大の魅力は、運がいいことである。この運という武器によって、複数の事件を全然違う方向に向いながらもいつのまにか解決してしまっているのである。運のいい人になぜか惹かれてしまうことがあると思うのだが、何か特殊なオーラを出しているのかもしれない。

 うれしいことにこのシリーズはまだ続くようだ。もっともっとフロストにはオヤジ度を上げてもらって、キング・オブ・オヤジになってもらいたいものだ。あ、もうなってるか。

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紙の本

理想の上司?

2001/07/20 17:24

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『クリスマスのフロスト』『フロスト日和』に続くジャック・フロスト警部シリーズの第3弾である。

 設定は前2作と寸分違わず同じである。新任の部長刑事ギルモアはフロストの下に付くことになる。デントン警察署は流感でダウンした人間が多く、人出不足。陰惨な事件が立て続けに起こり、昼も夜もない捜査が続く。そんな中でもフロストの下品なジョークは絶好調。マレット署長は相変わらずいけ好かない…。

 フロストほど二律背反した性格の人間も珍しい。捜査は行き当たりばったりだが、昼夜を問わず勤勉に働く。下品なジョークを連発するが、思いやりがある。部下をさんざんこき使うが、いつも部下にはタバコを配っている。とにかくフロストの魅力イコール本書の魅力であることは間違いない。

 フロストは部下をこき使うが、必ず自分が率先して働いている。そして必ず自分が全責任を負う覚悟で働いている。例えばこんな描写。

 ウェルズ巡査部長は即答を避けた。「ジャック、もし妙なことになったら、そのときにはちゃんとあんたが泥を引っかぶってくれるのか?」
 「かぶらなかったことがあるか?」とフロストは言った。

 また、こんなところにもフロストの人間味が溢れている。
 深刻な事件の最中にフロストが下劣なジョークを連発することに対して、下に付く部長刑事のギルモアが怒りを爆発させたときの描写。

 フロストは悪びれた様子もなく、軽く肩をすくめて、ギルモアの非難を甘受した。「この仕事をしてると、胸くその悪くなるようなことを、それこそ山のように眼にするんだよ、坊や。(中略)だから、おれは冗談を言う。冗談を言ってりゃ、因果な仕事の因果な部分を引き受けるのが、いくらかは楽になる。けど、気に障ったんなら謝るよ」

 フロストのような上司の下で働きたいと思うのは私だけだろうか。

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紙の本

安定して愉しめる職人芸

2001/07/29 14:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:OK - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『クリスマスのフロスト』『フロスト日和』に続くフロスト警部シリーズの三作め。本国では現在のところ五作が出ているらしい。

 流感で病欠の刑事が続出するなか、町では面倒な事件が多発、例によってフロスト警部や新任の若手刑事が紆余曲折しながらも何とか解決していく。さすがに安定した筆致で愉しめるけれど、フロスト警部の下品な冗談やマレット署長の嫌味な保身官僚ぶりなんかは、さすがにそろそろ使い古されてきたような気もする。僕は基本的に読書には新鮮な「驚き」を期待しているほうなので、こういう職人芸を否定するわけではないけれども、格別に賞賛する気にはあまりなれなかった。

 それはそうと、やっぱりこの作家のプロット操作技巧は並ではない。今回特に目立ったのは、ある事件の捜査で浮上した事柄が、結局別の事件の有力な手がかりに結びつく、というような展開。また、暗闇で音声しか判らない趣向のサスペンス場面が何度も出てくるのは、ラジオドラマの脚本家出身だというこの作家らしい演出なのかなと思った。

http://members.jcom.home.ne.jp/kogiso/

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紙の本

「殺され損社会」に生きていると、昔流の鬼デカフロストに、思わず拍手を送る読者も多い筈

2001/08/02 18:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 贔屓作家ウィングフィールドの『夜のフロスト』が出た。例によって例の乗りには違いないが、読み出したら止まらず、ペロリと読んでしまった。ウィングフィールドの人気、日本でも高く、『クリスマスのフロスト』(84年)は94年『週刊文春』第1位、『フロスト日和』(87年)は97年『このミス』の1位に選ばれもした。この『夜のフロスト』(92年)も、2001年度の読者アンケートで、おそらく1位に入る予感がする。フロストは英国でも超人気、小説とはまったく別物とはいえ、衛星放送ミステリー・チャンネルで『フロスト警部』が放映中、警部役のデヴィッド・ジェーソンも、それなりにいい味を出しているが、やはりフロストは個々人が好き勝手にイメージしてこそ楽しいのであって、『夜のフロスト』を読みながら、時折デヴィッドの顔が思い浮かんだりして、ちょっと興ざめでもあった。ひとくちにミステリーと言っても、さまざまなスタイルがあり、作家も各人、その点に創意工夫をこらしてもいるが、このシリーズの人気は、一も二もなく主人公ジャック・フロスト警部の魅力にある。しかしこのキャラクター、万人に愛されるとは言い難く、中には顔をしかめる向きもいるようだ。風采の上がらぬ中年男、下品なジョークと悪口雑言が多く、一緒に組む若い刑事の顰蹙を買い、時にはたしなめられたりもする。とびきりの切れ者というわけでもなく、正義漢が強いのでもない。にもかかわらず、これだけの人気者フロストを造型し得た作者の力量、並ではない。また「フロストもの」は、ページをひもとくや、たちまち事件に継ぐ事件の連続で止まることがない。その上今回は、悪性の流感で署員の大半はダウン、多発する難事件を少人数で解決しなければならない。そんな折も折、新任の部長刑事フランク・ギルモア(24歳)が、デントン警察署に配属される。赴任早々彼は、老女のみを襲う切り裂き連続事件や、少女の行方不明を追うことに。小説は日曜日から金曜日までノン・ストップ。フロストはむろんだが、ギルモアも、ほとんど不眠不休状態。さらにフロストは、上層部のご機嫌取り男、無能な署長マレットに、報告書や請求書の書き直しを提出せよと、日々、矢の催促をされてもいる。近年、日本でも奇妙な難事件が多発しているが、検挙、起訴率ともに年々減少しつつある。凶悪犯の急増にもかかわらず法律は大昔のままで改正されず、幼女暴行殺人犯を15年ぶりに別件逮捕しても、「殺意」を立証できず、起訴を断念。暴行の時効は10年ゆえ無罪との不条理は日常茶飯事である。犯人には被害者の百倍もの人権ありとの風潮ゆえ、警察は、新聞テレビを含むマスコミらの過剰な人権擁護を恐れてか、手をこまねくケースも多い。むろん犯人が少年の場合、罪は不問、名も顔写真も出ず、殺された被害者の顔は日々新聞テレビに晒される。こうした「殺され損社会」日本に生きていると、囮の物証を犯人宅に持ち込み、自白に追い込む昔流の鬼デカフロストに思わず拍手を送る読者も多い筈であり、彼の人気も、そうした点にもあるのだろう。

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紙の本

期待に違わず。

2001/08/07 22:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:どしどし - この投稿者のレビュー一覧を見る

 いろいろの見方があるだろうけど、やっぱり捜査のずさんさはひどい。見込み捜査とか、捏造した証拠で自供を促すなど、どの事件でもこれでもかとフロストの想像によるシナリオでハッタリを使って証言を引き出そうとするが、犯人かそうでないかが、犯人が自供するまで誰にも(フロスト自身も途中不安になったりする)分からない。たまたま(としか見えない)犯人でフロストの予想通りだと解決につながるが、そうでないと無残な結果に終わる。危なっかしくて、読んでいてとてもハラハラする。このメチャクチャさは深読みができそうだが、ぼくはそういったことは考えずに、絶えず登場するフロストの冗談を楽しんでいた。前2作を読んで楽しんだ人なら、読んで損はありません。

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紙の本

それで,フロストってのは名刑事なのか?

2002/01/17 09:42

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Snake Hole - この投稿者のレビュー一覧を見る

 大英帝国はデントン市の名物警部,ジャック・フロストが下ネタジョーク連発で奮闘する「非・推理小説」(これはオレが勝手に名前をつけた)の第三弾,約750ページである。
 本書の解説をお書きになっている霞流一氏の頭の中では,このフロストという警官,「メグレ + ドーヴァー」というイメージなんだそうだが,残念ながら後者ドーヴァーの出て来るジョイス・ポーターのシリーズを一冊も読んでないワタシにはピンとこない。というか,オレの頭の中にあるフロストのイメージは,「ガラの悪いコロンボ」である。昔,コロンボ役者のピーター・フォークが女子プロレスのマネージャーを演る映画があったのだが,あの時の彼の役柄がまんまこのフロスト警部に重なるのね。
 だいたいの粗筋は(このシリーズはいつもだいたいこんなだが)こうだ。例によってデントン警察署は人員不足,次々と発生する凶悪事件,それほど凶悪でない事件,犬も喰わない事件。折悪しくそこを流感が襲い,なんと署員の半数が欠勤ということになっているところに,希望に胸を膨らまして部長刑事に昇進したばかりのフランク・ギルモアが赴任する。コンビを組むよう命じられた相手が歩く悪夢,ジャック・フロスト警部そのヒトであった。フロストの上司を屁(まぁほんまに「屁」以下の上司なんだが)とも思わない勤務態度や,連発される下品なジョーク,規則破りに辟易しながら,自分だけは署長の覚え目出たく成績向上,出世を目指すギルモアだがはたして……。
 さて,冒頭に「非・推理小説」と書いたがこのシリーズ,実にいつもフロストには犯人が直感で分かるのである(本人がそう言う)。推理なんか要らない,フロストがこいつが犯人だと思ったヤツが犯人なんだ。が,彼が並みの小説に出て来る警官ではないのはそっからだ。この勲章まで貰っている名刑事(ただし下品だが)は,なんと証拠を捏造したり犯人に嘘をついたり,ありとあらゆる卑怯卑劣な手段を用いてこの真犯人を自白に追い込もうとするのである。
 なので読者は,フロストの暴走を「おまえ,もしそいつが犯人ぢゃなかったらどーすんだよぉ」とハラハラしながら読むことになる。しかも実際,そいつが犯人ぢゃないことも多々あり(笑),えらいことになるのだが最後にはなんとなくつじつまがあってしまう,のがこのシリーズの魅力なんである。今回の「夜のフロスト」でも5つか6つの事件が錯綜して発生し錯乱の元に捜査されるのだが,このややこしさの全てが,ラストにむかってまるでルービック・キューブの面が揃うように解決して行く快感はすばらしい。そして今回も,フロストが本当はとんでもなく優秀な警察官なのか,それとも単に運がいい中年オヤジなのか,という疑問だけが残るのである(笑)。

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紙の本

カッチリとしたプロットの警察なのにお笑いって……

2002/02/27 22:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:キイスミアキ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 下品で、人情味に溢れ、疲れ知らずのフロスト警部が、架空の都市デントン市を舞台に、内外の敵と対決する爆笑の警察小説、第三弾。
 
 前作に登場した元刑事のクレイグ巡査たちの姿は見えないが、宿敵マレット署長のキャラクターは健在。今回も、フロストをなんとか首にしてやろうといマレットの執念が笑いを誘い、彼の追撃を運よくかわしていくフロストの運命も楽しい。
 
 
 流感の大流行で、いつもにも増して機能がパニック状態になっているデントン警察では、不幸にもウイルスたちからも見放されてしまった警官たちが、署長の体面を守らされながら不幸な労働を続けていた。
 
 堅物で有能なアレン警部も流感で倒れてしまった今、当然の様に健康であるフロストは多くの事件において捜査責任者となっていた。若くして部長刑事となった出世欲の強いギルモアを相棒に、町中にばらまかれる中傷の手紙、行方がしれない新聞配達の少女、老女ばかりが殺される連続殺人事件などの難事件に、いくら数えても人数が足りない状況で望むことになるのだが…。
 
 
 《悪夢のような下ねたジョークを連発する男》フロスト警部の、次々と重ねられていく推理が痛快な、コリン・デクスター作の『ウッドストック行最終バス』ばりの多重解決ユーモアミステリー。次々と巻き起こる事件の数々に、フロスト警部が連発する直感による推理という、複雑な構成をなくしてはありえない物語で、作者の力量に感心してしまう。よくやるわ、と。
 
 フロスト警部の、死体を完全に描写しきった報告や、何故か人が寄りつきたくない現場へまわされてしまうという運のなさ、憎めない人間性を垣間みせるなど、シリーズのお約束事も面白い。特に死体に関する話では、文面では抑えられている部分に、いったいどのような描写があるのかと、怖いもの見たさに興味を抱いてしまう。フロスト警部のことだから、きっとものすごいことを言っているのだろう。
 
 現在、第五弾までが刊行されているらしい。日本での人気を考えて、翻訳が進められることも間違いないので、刊行を楽しみに待っていたい。

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紙の本

人の心を知り尽くしたフランスのメグレ警視と、下品なジョークが武器のイギリスの迷警部ドーヴァー。水と油の二人がフロストの中で一つに。霞の指摘に感心

2004/06/23 21:03

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

《流行性感冒で署員の半数が欠勤しているデントン警察。新任所への勤務に張り切るギルモア刑事部長を待ち受けるのは、誘拐に自殺、連続する老人への暴行。そしてあのフロスト警部》

私が初めて読んだウィングフィールド作品が、これ。いやあ、一読、友人に教えまくった。ともかく、笑える。そういう意味では、ネヴィル『王者のゲーム』に匹敵するといってもいい。こういうレベルの笑えるミステリ、似て非なるものはあっても、ここまで心地よく噴き出させてくれるものは、日本にはない。

新任のギルモアの上司となるはずのアレン警部は流感で勤務に就けない。替わって臨時の上司となったのがあの迷警部フロスト。デントンの町では最近起きたばかりの新聞配達の少女 ポーラ・パレットの誘拐事件は未解決、おまけに不審な少女の自殺が重なる。しかも、老人たちが連続して殺される。遺体を前にしたフロストの冗談の連発も、あまりの事件の多さに霞み気味。

夫が昇進してデントンに移った事で、夫婦での落ち着いた生活が始められると期待した妻リズの願いも空しく、夫のギルモアはフロストの運転手となり、家に帰ることもままならない。しかも、フロストは相変わらず警察内部の書類作業を放置し、マレット署長の要請を無視して、直感だけで犯人に迫ろうとする。

捜査している仲間の後姿をみれば、忍び寄って「浣腸はお好き?」と指を突き立てるのはお馴染みとして、脅迫に怯えるコンプトン夫人のネグリジェ姿をタネに、部下を苛つかせる際どいジョークの連発には降参。家に帰ろうとすれば、その途中で3つくらいの事件に簡単に巻き込まれる。人々の生活の暗部を告発する匿名の手紙や、隣家の老人の姿が見えないと心配する電話に翻弄されるフロストとギルモア。

あとがきで霞流一が、この小説のように同時進行型の複数の事件を追うスタイルを「モデュラー形式」と紹介しているが知らなかった。それにしても笑える。750ページ、半分はニヤついて読んでしまった。再び霞の卓見「フロスト=メグレ×ドーヴァー」に感心。

シムノン描く、人の心を知り尽くしたメグレ警視。そして、下品なジョークで知らずのうちに事件を解決するイギリスの迷警部ドーヴァー。水と油の二人がフロストの中で一つになる、素晴らしい指摘。霞はこの作品をベストにあげているが、確かに今までの中では一番笑った。お薦めの一冊。

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2004/10/06 19:03

投稿元:ブクログ

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2004/11/22 00:53

投稿元:ブクログ

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2005/02/04 07:04

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2005/06/02 11:46

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2005/12/02 18:12

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