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紙の本
采菊東籬下悠然見南山(陶淵明)……という感じ。
2004/05/15 22:12
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投稿者:すなねずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
荒木さんがほろ酔い(ときに泥酔)加減で、日本聞き書き学会会員の和多田進さんとエディトリアンヌのキガワさんに喋ったことをまとめた本。
(集英社『青春と読書』2000年1月号〜2001年2月号に連載されたものに加筆したもの)
喋り言葉で、しかも語り手は酔っ払いとくれば、これは相当酷いことになりそうなものですが、なんというか、アラーキーさんは聖なる酔っ払いであるからなのか、酔いのヴェールを纏いながら写真表現の本質に迫り、これからの表現の方向性みたいなものまで示唆してくれたりしているから、なんだか読んでるこちらがほろ酔い加減。
僕に響いてきたもののホンの一部を挙げれば、こんな言葉→
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なんだか、新宿ゴールデン街とかの小さな酒場で、アラーキー(さん)が横にいて、喋ってくれてる感じ。山下洋輔さんのなんかがかかってて。そんな本です。で、さっそくアラーキー(さん)の写真集を買いに走りました。あんまりエロでないやつを。
全体の構成も、すごくアラーキー(さん)っぽい。天才アラーキーをちょっと小粋にした感じの作り。そして欄外注が、ときどき、ツボにはまる。「空き地小五郎 江戸川乱歩の探偵小説の主人公で名探偵の明智小五郎を荒木独特の駄洒落でこう言った」とか「3P 三人プレーの意(性的な)」とか。すごく酔っ払い的で。これはつまり、本作りという共同作業がアラーキー(さん)を中心に(?)とってもうまくいってるってことでしょう。この本のなかでは「関係性が大切」ってことが繰り返し語られていて、それがそのまま本の作りにも現われてるってことが、すっごく素敵です。
(僕は仏像なんかにはちっとも興味などありませんでしたが……そう言えば舞城王太郎さんの『阿修羅ガール』も仏像の話が出てきたな最後に、ぐらいなもんですが)第十二章の「鑑真和上を撮る」は、とても興味深く読ませてもらいました。そして、なんだか、アラーキーさんの「これから」というのは、もしかしたら陶淵明っぽい方向へ進んでいったりするのではないかな、と唐突かつ理不尽かつ無責任な感想を抱いたりしたので……
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紙の本
チョッキは要らないってね
2003/01/29 00:59
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投稿者:なん - この投稿者のレビュー一覧を見る
するするとなめらかな語り口。
この本は是非彼の写真集を一度でも見たことがある人に読んでいただきたい。メディアでのキャラクター、ヌード、そんなイメージだけだと、ゆがんでしまう。
彼がいかに写真について、カメラについて考えているかわかる。ただ写すだけじゃない。きちんと説明がつく。ここでカラーここでモノクロ。それはカンが大事だったりして読めばできるものじゃない。
そこがいい。同じ方法をしろというわけではない。自分はこうして撮っている。全てを見せた上で違いも見せつける。天才だから許される本。それでも納得がいかなければ写真だけを丁寧に追うといい。写真も語る。つまり開いて数ページカラーの扉で全部決まってる。この人は天才。否定せず、尊敬せず、賛成する。
夢中になる。
紙の本
天才ノ方法
2001/09/05 13:21
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投稿者:雲呼庵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
写真家アラーキー(荒木経惟)は、自らを「天才」と称しはばからない。堂々と「自分は天才である」と公言する。これは、うらやましい。「名人」だとも言っている。名人だからこそテキトウに仕事をする、一生懸命やったらつまらない名人技になってしまうからだと言う。名人技とは距離を置いて「天才」はあるのだそうだ。その辺を自己認識できることが天才の証なのだとアラーキーは言う(たぶんそういうことが言いたいのだと思う)。
私だって天才になりたいから、真似して「俺は天才だ」と言ってみる。「だから一生懸命になんか仕事をしないのさ」と言ってみる。言うのは簡単だからドンドン言う。言い続けているとその気になってくる。その気になればしめたもの、天才の気分で日々を過ごす。楽しい。爽快だ。
この本を読んでよかった。天才とは楽天のことだったのだ(と私は思った)。
「気分だけで生活できるわけがないだろ。現実はどうするのだ」とお思いの方々、天才は何とかしてしまうのです。アラーキーはそのようです。私がやはり凡人であっても、何とかしてしまうことくらいはできます。何とかなる程度のことをすればよいのだから、何とかなるでしょう。でも、そういうことを気分良く行うためには自分が天才であると思っていた方がよいと思います。その方がうまくいくような気がします。そして、うまくいってしまえば、やはり私は天才であったかと、うぬぼれを強くします。あまりうまくいかなかった場合は人のせいにします。凡人社会の中で浮き上がってしまった天才ですから、しかたありません。詭弁のように聞こえるかもしれませんが、この本の読後にはそのような気分になります。
みんなで天才気分になりましょう。何かいけないことを言っているでしょうか?
紙の本
ピントは画面に合わせるんじゃなくて、気持ちやコトに合わせるんだ
2002/10/06 21:56
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投稿者:yaeba - この投稿者のレビュー一覧を見る
このタイトルを見て、「写真をうまく撮るコツ・技術」みたいなことが書いてあるのかな、と思って購入。読んでみるとそうではなくて、むしろ写真をうまく撮る「心がまえ」が中心に書かれていた。表現っていうのは心から生まれてくるものだから、ある意味「写真の方法=心がけ」なのかもしれないけど、ちょっとガッカリ。とはいえ、さすがアラーキー、名言がたくさんあった。
「ピントは画面に合わせるんじゃなくて、気持ちやコトに合わせる」
「完成したらダメ、完成を求めて動いていないと。だから完成しないってコトの連続が大事。動くってコトが生きてることなんだから」
「体が裸になると人も裸になる」
うーん、と唸った。
紙の本
アラーキーを知る本である
2002/01/15 03:00
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投稿者:ブービン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ためにはなる。しかし、アラーキーってとっても普通で人間的。「天才」に思わぬ期待をかけてしまって、ギラギラしていると肩透かしをくらいそうだ。
アラーキーという稀有な物体と、イコールで結びつく写真というものの存在を解きほぐすには格好だし、写真を撮る人やそれを目指す人よりも、そうではない人たちがアラーキーを理解するにはおすすめである。
それにしてもアラーキーって奴は不思議に気になる。
紙の本
あたたかくて、ロジカルで、これ以上ないほどまっとうな本
2001/09/06 17:20
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投稿者:水原紫苑 - この投稿者のレビュー一覧を見る
天才アラーキー。自分でこう名乗るなんて、ずいぶん変わった人だと思っていた。私は写真のことは何も知らないけれど、せっかく天才が写真ノ方法なるものを語ってくれると言うから読んでみた。
あたたかくて、ロジカルで、これ以上ないほどまっとうだった。予想はしていたのだが、もっとはるかに上だった。
「写真っうのはさ、生きることなんだよね。もう、生きることの原点ですよ。ひとりじゃ生きていけないのよ。ひとりは寂しいもんですよ。どんな奴でも、他者がいないと面白くない。そういうふうにできてる、人間っつうのは。」
全くその通り。アラーキーの生き方としては、もうこれで言うことはないだろう。
でも、彼の言う〈私情〉の果てに、月の照る砂漠のようなものが不意に開けて来はしないだろうか。そこにひとりで生きるのも、人間なのではないか、と私は思う。(水原紫苑/歌人 2001.6.12)