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商品説明
舞踏を中心に、美術・音楽・演劇・詩を交差させ、総合芸術を目指した土方巽(1928〜86)。土方を初期から見続けてきた著者がまとめた60年代芸術論。60年代の現場で書かれたもの、最近の発言、対談などを収録。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
土方巽の方へ
2001/07/23 12:00
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投稿者:稲倉達 - この投稿者のレビュー一覧を見る
土方巽の活動を初期の頃より身近に目撃してきた著者が、60年代に書いたものから、つい最近のものまで、彼に関連する文ばかりを集めて編んだ本である。冒頭に一本、アスベスト館での講演が収録されているのを別とすれば、土方らの公演ポスターや美術を担当した清水晃との対談と、唐十郎との対談を両端に配置し、その中間に、約35年の間に雑誌や公演プログラムなどに書いてきた短い文章を並べた構成になっている。
だから、本書は本格的な土方巽論ではないのだが、彼の本質に迫った言葉が、そここに散在して光る。例えば、「自分はここに在ることが遠くから一瞬ごとに来ていることになる。そういう人だったんじゃないかな。だから、いわゆるベタベタした土着とかいうのとは違うんだね」といった具合。今の引用もそうだが、対談がとりわけ面白い。清水がイカに託して語るイメージなど、言葉では名指せないような感覚を喚起して、ハッとさせられる。
ただし、はっきり言って寄せ集めの感は否めない。話題の重複も多い。60年に第一生命ホールへ「DANCE EXPERIENCEの会」初リサイタルを見に行って、ロビーで澁澤龍彦、三島由紀夫、土方巽を間近にした話など、実に4回も出てくる。よほど深く胸に刻まれたのだろう。公演を終えて楽屋から出てきた土方巽を、「小柄な澁澤さ
んに覆い被さるようにして口説いている半裸の後姿に、かぐわしいばかりに匂い立つエロスがみなぎった」と書く。このとき種村は27歳。本書が、土方とそんな出会いをした著者にしか書き得ぬ資料であることは間違いない。
(稲倉 達・雑誌編集、文筆業)