東方ウィッチクラフト 垣根の上の人 (コバルト文庫)
東方ウィッチクラフト ――垣根の上の人――
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紙の本
ある意味スタンダードな少女小説コメディ?
2001/06/21 23:33
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投稿者:さとる - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ウォーターソング』ウォーターソングでデビューした著者の第二作目。ノスタルジックなSF作品だった前作とはうって変わって、今回は現代のコメディもの。
隣の有名私立校の1年生の滋賀柾季に憧れる中学三年の観凪一子は、ごく普通の家庭に育ったごく普通の中学生のはずだった。しかしある日一子は憧れの柾季の正体が魔女であることを知り、何故か彼の使い魔にされてしまう。挙句立派な良き魔女を目指す柾季は、最近世間を騒がせている路上強盗事件を自らの力で解決しようとし、当然ながら一子も巻き込まれることになる。
難しいことを考えずに、最後まで一気に楽しんで読める作品だと思えた。何よりもメインの二人が凄いキャラが立っています。個性的で、感情表現が素直で、読んでいて主人公たちに好感が持てた。ドタバタコメディの中にも、友人関係という今回の話の核であろうテーマも存在していて、きちんと読者の心に何かを残すようになっていると思う。
もっともこの点に関しては、ひかるの視点からもう少し語って欲しかったと思ったのだが。内面の葛藤を、もう少し前面に出してもらえれば、さらにこの点が印象に残っただろう。
一子は最近のライトノベルでも滅多にお目にかかれそうにない、曇りのない真っ直ぐで素直なおばかさんであろう。最近の、明らかに時代の流れにそって傾向の変わってきてしまっている少女ライトノベルだが、こういう作品を書く作家には末永く残って欲しいものである。とにかく、ライトノベルだからこそできる、気持ちのいいコメディが読めたと思う。