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商品説明
わが国最大規模の不法投棄事件といわれる豊島産業廃棄物不法投棄事件。不法投棄に手を貸し、停止したのちの廃棄物の撤去を拒否した香川県当局と1400人の住民との25年に渡る長きたたかいを克明に綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
大川 真郎
- 略歴
- 〈大川真郎〉1941年和歌山県生まれ。64年東京大学法学部卒業。91年大阪弁護士会副会長就任。93年から2000年公害調停成立まで、豊島産業廃棄物不法投棄事件の豊島住民弁護団副団長として活躍。
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紙の本
2001/08/05朝刊
2001/08/10 18:16
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬戸内海に浮かぶ豊かな島と書いて豊島(てしま)。同島に約五十万トンの産業廃棄物が長年にわたって不法投棄された事件に挑んだ島の住民たちと、それを支えた弁護団の闘いの記録だ。
同事件は、昨年六月に地元香川県との間で廃棄物撤去の最終調停が成立して決着した。住民にとって二十五年にわたる筋を貫いた運動の成果である。一口に二十五年と言うのは簡単だが、日常生活に突如として持ち込まれた不条理を取り除く当たり前のことに、これほどの時間を要するのは、国の仕組みに構造的な欠陥が内包しているのではと思わずにいられない。
弁護団は、旧住宅金融専門会社(住専)の不良債権処理に徹して、国民的に人気を博した元日本弁護士連合会会長の中坊公平氏を団長とし、さらに同事件が豊島だけの問題ではなく、瀬戸内全体の環境のあり方にかかわるという視点から、瀬戸内の各府県の弁護士を集めた「瀬戸内弁護団」を編成した。著者は副団長として積極的に住民と弁護団の橋渡し役を担ってきた。
身近に住民たちと接してきた著者は、運動の成功について、「何よりも強い郷土愛、次世代への思いやりから出発した、他者のための運動であった」と書いている。長年の苦しみを味わう中で住民たちは、はびこる経済至上主義、他人や社会のことよりも自己利益優先といった現代社会の歪(ゆが)みを超越して、ヤマを動かした。豊島の潮の香りと住民たちの汗の輝きが伝わってくる思いだ。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001