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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.7
- 出版社: 小学館
- サイズ:20cm/109p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-09-387349-6
紙の本
手紙魔まみ、夏の引越し〈ウサギ連れ〉 穂村弘歌集
都市を疾走する歌人、穂村弘が9年ぶりに放つ歌集。キャバクラ嬢やウェイトレスをして暮らす女の子「まみ」の、ファンタジックな日常と切ない愛の祈りを、短歌240首とタカノ綾のカ...
手紙魔まみ、夏の引越し〈ウサギ連れ〉 穂村弘歌集
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商品説明
都市を疾走する歌人、穂村弘が9年ぶりに放つ歌集。キャバクラ嬢やウェイトレスをして暮らす女の子「まみ」の、ファンタジックな日常と切ない愛の祈りを、短歌240首とタカノ綾のカラーイラスト10点で活写する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
穂村 弘
- 略歴
- 〈穂村弘〉1962年札幌生まれ。上智大学文学部英文科卒業。歌人。歌集に「シンジケート」「ドライドライアイス」、童話集に「いじわるな天使から聞いた不思議な話」など。絵本翻訳も多数。
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紙の本
読むより眺めている気分
2001/08/06 13:42
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:田島安江 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初、読んだとき、普通でないから、いいって、ごく単純に思ってしまったが、普通でないというのは、つまりは、普通であろうとする必要はないということだろう。
そう思いながら読み返すと、際だって高い感受性の回路が見えてくるのだ。
夜明け前 誰も守らぬ信号が海の手前で瞬いている
残酷に恋が終わって、世界ではつけまつげの需要がまたひとつ
可能性。すぺての恋は恋の死へ一直線に墜ちてゆくこと
いま、伝統的な短詩型文学がおもしろいと思う。短歌、俳句、川柳、そして、現代詩。この歌集の感覚はまさに、その「いま」を表現している。もしかしたら、歌集という既成のジャンルではくくれない、新しい文学スタイルといった方がわかりやすいかも知れない。
目覚めたら息まっしろで、これはもう、ほんかくてきよ、ほんかくてき
ありきたりのメルヘンにも、定型詩にも満足できない人にとって、この型破りとも思える表現形式が実に楽しいと映るにちがいない。けっきょく、文学は楽しくないとだめだということだ。こんな短歌が毎日、送られてくるというのは、ゾクゾクするほど、新鮮で、刺激的なことに違いない。
午前四時半の私を抱きしめてくれるドーナツショップがないの
さて、この歌集は、突然舞い込んできたまみという女の子との手紙のやりとりを短歌という形式で表現しているが、書き方が現実離れしているように見えて、ある意味、とてもリアルで・・・。
ドアの前で目があったときこの部屋に入りたそうにしてたゴキブリ
眼ってのは外に出てきた脳なんですってね。感心しました、脳か。
若い女の子はある時期、とても繊細で、どうにもこうにも手を付けられないところがある。この歌集は、そんな一時期の女の子の心象風景を描き出していて、危ういけれど、妙に新鮮で魅力的なのだ。
のぞきこむだけで誰もが引き返すまみの心のみずうみのこと
なめとって応急処置をしておこう、うなずきあって舌を準備す
それにもう一つ、この本は表紙の絵と挿画がいい。タカノ綾の描くまみや妹のゆゆ、黒ウサギのにんには中性的だが、それでいて、ときにまみは、紛れもないエロティックな女に見えたりする。タカノ綾がこっそり魔法をかけたみたいに。
紙の本
著者コメント
2001/08/01 12:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
●著者、穂村弘さんのコメント
ある日、私のもとに一通の手紙が届いた。「朝、目が覚めたら、息がまっしろなの。これは、もう、ほんかくてきよ、ほんかくてき」。差出人の「まみ」に心当たりはない。封筒には切手が貼ってなくて、替わりに鳥の絵が描いてある。ぞくっとする。何故これで届くのだ?
「わたしと恋人は、二人で車輪になって永遠の紅葉の中を駆け回る。わたしたちは木の車輪、金の車輪、石の車輪、ガラスの車輪、水の車輪……」。私はその不思議な手紙を何度も読み返して、返事を出した。やがて「まみ」の住む北の町から、次々に煌めく手紙たちが届き始める。「まみ」には「ゆゆ」という妹がいて「にんに」という黒ウサギと三人で暮らしているらしい。本書は「まみ」からの手紙をもとに、その詩的でほわほわで乱れていてストイックな生活と、残酷な愛、震える心、永遠の祈りを描いた短歌集である。
やがて「夏休みに東京に遊びに来ませんか」という私の誘いに、「行く」と云って、いきなり「まみ」「ゆゆ」「にんに」の三匹は引越してきた。歌舞伎町でウエイトレスをやる、と云って……
●画家、タカノ綾さんのコメント
穂村さんの言葉にはすごくすごくおどろいた。
ひとめぼれのような衝撃だった、というかひとめぼれだった。
言葉のくみあわせがすごく変(素晴らしい!)で、タラコとアボガド(食べたことないけど)のサラダみたいというか……。
すごくおいしそうで食べたい一品なのだけど…。
それでいて、時空や性別や全てを超越している。
日常の細部と、宇宙の無限の高みを自在に行き来している。
涙が出そうになる。
美しくて壮大で恐ろしい音楽を聞いたあとみたいに身震いして、鳥肌が立ってしまう。
あざやかに立ちあらわれる日常の一場面に、ものすごく凝縮されたかがやく情報。大好き。
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