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商品説明
ある人気ロッカーの謎の死、高級老人ホームで次々と発生する奇怪な自殺、そしてこれらの事件の陰に存在するフゲンβ(ベータ)という媚薬。漢方薬店主人で鍼灸と気功の達人・嵯峨野市朗次と、愛弟子・守安創司が謎に挑む。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
鐸木 能光
- 略歴
- 〈鐸木能光〉1955年福島県生まれ。「マリアの父親」で第4回小説すばる新人賞受賞。「G線上の悪魔」「カムナの調合」などの小説のほか、「デジタルストレス」など、電脳社会をテーマにした著作も多い。
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紙の本
志の高い娯楽性
2001/10/13 19:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:唖蝉坊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はこの作品が文藝ネット(http://bungei.net)に全面無料公開されたときに読み、その後、プレリリース版が出たときも真っ先に購入して読んだ。また、現在http://kuroiringo.com で公開されている「立ち読み版」も読んでいる。「立ち読み版」は出だし部分から細かいところで書き直しがされており、この作家の作品に対する飽くなき向上心や気概を感じることができる。
この作家の名前は、かなり前に雑誌『鳩よ!』の特集で初めて知った。「抜群に面白いのに、なぜか売れていない作家」特集というような奇妙な企画で、文芸評論家二人の対談形式だったと思うが、そのうちのひとりが真っ先に「鐸木能光」の名前を挙げていた。興味を持って、その時点で入手できる本を試しに購入したが、たちまち虜になった。
『黒い林檎』は鐸木能光作品の中では最も娯楽色が強いと思われる。しかし、その「娯楽性」は、この本のカバーデザインに見られるようなけばけばしさとは違って、あくまでも読者の好奇心や感性に正面から訴えかけてくる上質なものだ。最先端医療や遺伝子工学がもつ問題というテーマだけでなく、テロ事件に揺れる今、アジア的な精神資質とでも呼べるテイストも感じる。間違いなく今年度のベスト作品であろうが、この作品には「ベスト○○」的な評価はかえって安っぽく、ふさわしくないようにも思える。恐らく、この時期、鐸木能光を再び世に問い直そうとした出版社も同じ気持ちだろう。
紙の本
内容紹介
2002/03/20 00:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
遺伝子工学の闇を描いたホラーサスペンス。新宿に店を構える漢方薬店「六砂堂」。そこに務める青年・創司が「フゲンβ」と呼ばれる回春+性的快楽の効用+依存性のある錠剤を巡り奮闘する。少女売春・警察公安・暴力団etc.。複雑に絡み合う利権問題、そして明かされる驚愕の事実!! 純粋なエンターテインメントとしてのクオリティは抜群に高い作品。
●鐸木能光(たくきよしみつ)〜『マリアの父親』(集英社)で第四回「小説すばる新人賞」受賞。著書は他に『アンガジェ』(読売新聞社)、『狸と五線譜』(三交社)など。『インターネット時代の文章術』『インターネット時代の英語術』(SCC)、『テキストファイル何か? 〜知らぬでは済まぬ電脳社会の常識』(地人書館)など、電脳執筆環境論の分野でも精力的に執筆活動。
→ホームページはこちらです
紙の本
媚薬「フゲンβ」をめぐる陰謀、手に汗握るエンターテインメントノベル
2001/12/20 22:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:氷川友美子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
鐸木能光は『マリアの父親』(「たくき よしみつ」名義)で第4回「小説すばる新人賞」を受賞しデビュー。「活字文化の復権のためにインターネットというデジタル空間を活用する」という志から立ち上げられた「文藝ネット」の発起人の一人でもある。多数の著作を持つ著者だが、出版不況の現在、この作品が出版されるまでの経緯は簡単なものではなかった。「文藝ネット」で『黒い林檎』の無料公開を行い、100部の特別限定本を作成、それが読者の評判を呼び、今回の出版に結びついた。読者側が作品を本という形で所有することを選択した結果といえよう。
一般には売られていない、劇的な回春効果を持つ「フゲンβ」という薬が存在するという噂が、まことしやかに流れていた。暴力団が買い占め、裏ルートで出回っているという。
人気ロッカーの謎の死、高級老人ホームで次々と発生する奇怪な自殺。理由無き自殺者が増える中、事件の周りでは失踪事件が相次ぐ。その陰には、媚薬「フゲンβ」の存在が関係しているようであった。
夜の街、新宿歌舞伎町に店を構える漢方薬店「六砂堂」。そこの主人であり針灸・気孔の達人・嵯峨野市郎次と、愛弟子・安守創司は暴力団に呼び出される。店番の宇川が「フゲンβ」の売買に関わっていた疑惑があるらしい。
謎の少女売春組織、警察公安も絡んで、ふたりは媚薬をめぐる陰謀に巻き込まれていく。「フゲンβ」とは、そして「黒い林檎」とは一体何なのか——。
事件をめぐるいくつもの謎、登場人物一人ひとりの一筋縄では行かない人生の背景、東洋医学の思想と効用、東洋医学と西洋医学の対決。様々な要素を盛り込んであるにも関わらず、よどみない展開と軽快な筆致で、力強く読者を作品の中に引き込んでいく。読み始めたら、ラストまで一気に読みきってしまう「エンターテインメントノベル」と呼ぶに相応しい作品。 (bk1ブックナビゲーター:氷川友美子/ライター)