紙の本
2001/08/18夕刊
2001/08/24 22:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「今ほどこころの専門家が注目を集める時代はないのでは」と心理カウンセラーの著者はつぶやく。学級崩壊や少年犯罪、円滑なコミュニケーションがとれず残念な結果を招く大人たち、その一因ともいえる「感情のコントロール」の欠如を指摘する。本書は研修会などのデータを基に、いかに自分の気持ちを知り処理するか、相手の気持ちをどう聞き共感するかの実践的訓練法を紹介。車内で目の前に立つ老人に「ルール」ではなく「思いやり」から席を譲れる「気持ち」の重要性を説く。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
紙の本
ネガティブな感情とどうつき合うか。
2003/03/20 11:16
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Helena - この投稿者のレビュー一覧を見る
「怒り、落ち込み、不安といった“ネガティブな気持ち”を持つことは、いけないことではない。
この本では、全体として、“ネガティブな気持ち”を持つことはいけないことではないんだということが書かれていて、そのような気持ちを含めた気持ち、感情全体とうまく付き合っていくことが大切なんだなあと思いました。
では、“ネガティブな気持ち”とうまくつきあえないとはどういうことか?
個人の中では、「ネクラ」よりは「ネアカ」の方がよく、ポジティブ・シンキングという前向き思考が流行る中で、“ネガティブな気持ち”は居場所を失っている、と著者は主張しています。
そうなると、“ネガティブな気持ち”を気づきたくない、感じることを認めたくない、というように、抑圧して封印したくなると著者は書いています。私自身は、そこまで自己コントロールをしているとは思わないですが、抑圧して、封印していくということは、ありうるだろうなあと思います。そうやってストレスがたまっていって、ちょっとしたきっかけで爆発することってあると思います。
「悲しみは無理やり乗り越える必要はないし、悲しさを封じ込める必要もない」[159]、「「いつも充実していて、楽しそうにしていなくてはいけない」という呪縛から解き放たれる必要がある」[191]と著者は書いています。そうですよね。「悲しみ」という感情は、努力したって簡単には変えられるものではないのだから、無理やり変えようとするよりも、その感情にうまく付き合いながら、現実の行動を考えていくことの方が、より「ポジティブ」なのかもしれませんね。
“ネガティブな気持ち”とうまくつきあえないということが、他者とのコミュニケーション場面にも現れ、コミュニケーションがスムーズにいかないことになっていくのも最もなことだと思います。
面白かったのは、“ネガティブな気持ち”を相談された場合の相談を受けた側の対応の分析です。
“ネガティブな気持ち”とうまくつきあえないということは、自分自身の内面と関わってだけでなく、他者がそのような気持ちを持つことにもつきあうのが難しいことになる。“ネガティブな気持ち”を相談されると、それに自分が絶えられないから、「それだったら、やめれば」「気分転換に飲みに行こうよ!」というような、“ネガティブな気持ち”に寄り添うというのではなく、すっきりとした対応をしがちになるという。それは、相談をもちかけた側のためにではなく、自分が“ネガティブな気持ち”を受け入れられなくて、すっきりしたいから!
こういう対応って、すごく共感します。私自身、そういうふうに対応されて、ああ、この人には相談しても無駄だな、と何度も思ったことがありますから!
他者とコミュニケーションを取る際、著者は、感情や実感に基づくことが大事だとしています。
本著では、子どもとのコミュニケーションの具体例がいくつか掲載されていました。知識や道徳レベルの対応ではなく、まず感情に基づいた対応をした方がいいと書かれています。著者は、「感情→道徳→知識」といった流れで捉えています。
大枠では私は、「感情→道徳→知識」という流れを認めつつ、感情は感情固有に発達しないだろうし、豊かな知性を持つことが豊かな感性を支えているっていうようなこともあるんじゃない? とも思います。また逆に、豊かな知識を自分の実感で支えることが大事だと思うんです。ですから、「感情→道徳→知識」という一方向の流れではなく、相互に支えあうような枠組みって、どうなんでしょう? 私の中で、考え続けていこうと思います。
それから、著者の夫が、「相手の気持ちというのは、自分の感情を手がかりにして理解するもの」[202]と言ってそうです。そうだなあと思います。私も、自分の感情を磨いておきたいと思います。共感能力を高めたいし!
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勉強にもなったし、心も楽になる一冊だった。
内容はよく分かったが、実践するには心のゆとりが必要だ。
再読したい本
集英社新書は、結構読みやすい。
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割と読みやすく、なかなかに勉強になりました。
これを読んだら、なんだか今のこどもって、かわいそうだなぁと思ってしまう。
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分かりやすくていい感じです。受け答えをイメトレするだけでも、ちょっと成長した気になれます。もの凄い余談ですが「大阪は東京に比べてマナーが悪いというのは本当か」というテーマをテレビ番組が扱った時に、「東京の人はそうするとスムーズに事が運ぶと知っているのだ。ルールに従っているにすぎない」という意見がありました。その真偽はさておき、中々面白いテーマですね。
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研究会に参加した際に、話が出た本です。
興味があったので、読んでみたらこれは目から鱗。
自分にも当てはまる節があったので、とてもためになりました。
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実際的な会話のやりとりが例示されているので、説得力を持つ。うまく会話が成立しないのは、応答の仕方がちぐはぐで、相手の気持ちに沿えないから、というのはわかっていたつもりだが、そのまた背後には、普段からネガティブな感情を抑圧して、意識化や言語化を避けているというのは、これまた説得力がある。
新書で、平易な文体で書かれているので、手に取りやすい。
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子どもも大人も感情を上手に扱えない人が増えている。
そんな人たちのための心の扱い方読本。
著者の視点がとても面白いなぁと感じた。
読んでいてハッとさせられることがたくさん書いてあって、
いい刺激をたくさん受けることができた。
ちょっとモヤモヤが募ったときなんかにオススメしたい一冊です。
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非常にわかりやすい新書。カウンセリングの現場や、学校、親子間といった、
大人と子どもを主な対象として書かれてはいるけれど、内省するにもいい本だと思う。
姜尚中氏の『悩む力』とセットで読んでもいいんじゃないかしら?
カウンセリングの基本の傾聴では、相手の気持ちを受け入れましょうとあるけれど、
実際にネガティブな心境や感情に向き合った時、一筋縄でいかないと思うことも多く、
とまどうこともあった。
もちろん、本書で紹介されていることが100%OKではないとも思うけれど、
物事の考え方として、私はとても共感できたし、ふだんの人間関係においても
ベターでないやりとりもしているなぁと気づかされた。
最後の章で、子どもにこんな質問をされたら、どう答えますか?というのがあった。
1)「どうせ私なんて、、」
2)「どうして学校に行かなきゃいけないの?」
3)「どうして、援助交際はいけないの?」
4)「エッチって、気持ちいいの?」
5)「なんだか、毎日つまらない」
質問を見た時は、思春期の子どもをもつ親や、教師は大変だな、と他人事に思ってしまった。
でも、難しい質問・答えにくい質問って、普段の場面でもないわけじゃない。
むしろ、そういうことの方が多い気もするし。非常に、考え方のヒントになる。
とはいえ、適切に感情を表現し、行動していく、というのは、難しいともあらためて実感した。
「悩む力」でも感じたけれど、筆者の人としての温かさが感じられる点が私が好きな点かも。
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自分の心の扱い方を知らない大人は当然、心をどう扱ったらいいのか子供になんて教えられるわけがない。とはいえ、イマドキ、誰も心の扱い方を教えてくれない。だからこそカウンセラーや精神科医がいるのかもしれないが、著者も言っている通り、心を扱うように、子供の感受性を大切にするように、と言っているにもかかわらず、自分の子供にはそれが出来ないときもある。やっぱり大変なんだねぇ・・・(2007.12.12)
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答えにくい子どもからの質問について、その子どもの真意をとらえ、正しく受容する答え方を学びました。
今まで心理学で“受容″“共感”などと学んできましたが、一歩ステップアップした感じ。
うまくレビューできませんが、子ども理解のため、教育関係者は一度読んでおくことをおすすめします。
お互いに気持ちのいい会話のポイントや、道徳教育のとても大切な観点も学びました。
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子育てに悩んでいるパパ、ママにお勧めです。あと、小学校で子供の扱いに困っている先生方等にもお勧めです。たいていの人は相手の対場にたって共感をしているけれども、それはいけないです。テリケートな子供たちに適切な問題解決を促すように大人を育てる本です。大人も子どもも「感情」を上手く扱えなくなっていることは何となく感じていたことだがそれに目を向けないで放っておくと、自分の気持ちがわからなくなり。
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この本は心理学の先生が書いた本。
現代の問題を抱えた子供はどうしてそうなってしまったのかや
その子供たちをどのように扱うかなどを綴っている。
現代の問題を抱えてしまっている子供というのは
基本家庭に問題があるということがこの本を読んでわかった。
子供は自分で「苦しい」という信号を言葉で表現できないから
体で、表すのであって、それを「だめ」「いけない」と頭から
叱ってはいけないのだなと思った。
まだまだ結婚して子供を育てるというのは先の話かもしれないけれども
子育てをしていく上で参考になる本ではないかと思う。
今の子供はとってもデリケートだから
それを大人が理解してあげるために読んでみるといいと思う。
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カウンセリングルームの代表をされている方が書かれた書籍です。
「感情」というものが、いかに思考の外に放られているかがわかります。もうワタクシびっくり致しました! ほんとねえ、知らず知らずのうちに「感情」や「気持ち」を無視して活動していました><! 目からウロコがぼろぼろですよ、まったく。
よく言われることですが、コミュニケーションをとる上で「共感」は大切です。この本にも、きっちり書かれていることです。では「共感」とはどうすることでしょうか? 本文にもある例ですが「最近つまらなくてさー」に対して「へぇ、つまらないんだねー」では「共感」とはいえないのです。「はて、そういえば『共感』ってどうすることだろう?」と思った人は本書を読むと色々学ぶことができると思いますぞい。
あと、子どもとの接し方、子どもの質問への答え方などの具体例がたくさん載っています。子どもとの付き合いのなかで困った経験を持っている or 持ちそうだという人も読むべし。
まあ、本書の内容は、作業する上での合理化や合理的な思考なんかとは対立するものなのかもしれません。「「仕事に感情を持ち込むな」」と言われる「感情」に着目するわけですからね、無視されているものに注目しているのでし。
それにしても、日本人というのはつくづく仕事にまじめなんだなあとも思ったりして。仕事に打ち込むあまり、家庭や会話・コミュニケーションという存在が変質している、なんて側面もありそうです。
さてさて、そんなわけで、子育てママ・パパや教員など子どもに関わる方はもちろん、合理的思考が身につきすぎた方なんかに読んでもらいたい一冊です。そこのお堅いビジネスマンさん、一冊どうスか?(゜ー゜)
【目次】
はじめに
第一章 「気持ち」についての研修会
1 もやもや気分の正体がつかめない
2 “ネガティブな気持ち”を扱う
第二章 ジャマモノ扱いされる感情
1 感情をあとまわしにしてきた大人たち
2 カウンセリングの現場から
3 感情が混乱のもと
第三章 今、こころはどんな感じ?
1 困ったコミュニケーションがおきる仕組み
2 「気持ち」に気づき、それを認めるには?
第四章 「気持ちの言葉」で話してみよう
1 大人が“自分の気持ち”に気づくための練習問題
2 大人が子どもと話すための練習問題
おわりに
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子どもにどうのこうの教える前に、まず自分の感情(ネガティブなことも含む)に注目しないといけないんだなと思った。自分がどう感じているか敏感じゃないと、なぜイライラしているかとか、他人とうまくコミュニケーションとれないな、と。