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商品説明
楽園と言う共同体の実現を目指す為に作られたクラブ。そこに集う人々が語るグロテスクな現代の生々しい物語。「おとぎ話と言うには現実味が苦すぎる。」【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
現代に対する警鐘
2001/10/07 14:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:国際人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、第1章は、法律を職業としない一般の人が読んでも、裁判の本質とは何かと言うことを考えさせられる本である。元来、刑事裁判は個人の報復に代わって国の機関である裁判所が被告人に応報的な裁判を下す、というのが本来の姿である。しかし、この書を読んでも目には目を歯に歯をという、タリオの精神のみでは被害者はその裁判に決して満足することがないことを教えてくれる。被害者の父親は恐らく犯人に対して極刑を望み、それが実現し「断端の刑」によって、執行されたとしても、とても、それに満足することはないだろう。なぜなら、犯人がどのような処分を受けようと被害者が生き返るわけではないし、あるいは、元の健康な身体に戻るわけではないからである。そこで、最近の刑事裁判に対する考えは、犯人を教育して社会適応性を付与し、社会復帰を促すという方向に変わりつつあり、そのことを読者に実感させる。好個の読み物である。
第2章の「爬虫類」は、小説的創造に基づくものであるが、知的レベルが高級であり、各人が社会で円満な共同生活を営むには、知性により、本能を抑制していくことが必須の条件であることを示唆するものである。
第3章は全くノンフィクションとも言うべき読み物であるが、生殖科学の社会的、法律的問題点を掘り下げて示唆するところが多い。いずれにしても、学生や、若者が一読して面白く、有意義に感じる書物である。
紙の本
著者からのメッセージ
2001/09/19 00:15
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投稿者:作家 マクラン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「こうであったら良いのに」私達が隣人と語るときの、こうした気持ちを実現しているような「共同体」、それは、いつの時代にも人々が望み、それを創り出すために、心ある多くの人々の努力が積み重ねられてきたはず。そして、積み上げられたものの、その最上段にいるのが、私達であり、現代人、現代社会であるだろう。しかし、科学技術の発展に伴って、一人の人間が有する力は、他の人々やその共同体に、とてつもない、結果を生み出すことになった。どんなに美しい人々が美しい社会を築いても、そこに生じる「悪意」を、コントロールできなければ、その社会は、忽ち崩壊してしまう危険性を孕んでいるのだ。「クラブ・ユートピア・オートマトン」に集う人々は、私達が、心の中で辿っては迷う道筋を、言葉によって率直に表現する人々だ。クラブ員の一人が言う、「人間が、もし、攻撃的で互いに殺しあうような党争本能の源が爬虫類時代の先祖から受け継いだものであるなら…その遺伝子を抱えて苦悩するよりも、自ら変える決断をすることも、また、人間らしい一つの選択となるのではないか」と。本当に、私達にできる選択は、こうでしかないのか。本書は、「自由への道」「爬虫類」「グロテスクな時代」という、3つの独立した物語からなり、その中に、現代を生々しく語る人々の姿を写し出す。物語の中には、強烈な映像や、おぞましい姿、あるいは、クラブの彼等の中には、奇妙な者もいるかも知れぬ。しかし、読者の皆さんも、是非、このクラブの人々の中に、入り込んでみて下さい。「善意ある人々」が幸せを維持できる、そんな社会を見つめるために…。(マクラン)