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商品説明
40〜50代の男性のうち約半数が悩んでいるとも言われるED(勃起不全)は、ペニスの病であると同時に「心の病」「関係性の病」でもある。その原因と治療法にメンタルな面から鋭く迫る医療ルポルタージュ。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
豊田 正義
- 略歴
- 〈豊田正義〉1966年東京都生まれ。現代社会の心の病理を主要テーマに活動するノンフィクション・ライター。「メンズリブ東京」主宰。著書に「オトコが「男らしさ」を棄てるとき」など。
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紙の本
目次
2001/11/13 10:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:西川大亮 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はしがき 5
プロローグ 15
第一部 人それぞれのED事情 31
ケース1 一六歳のトラウマ……田島さんの場合 32
初体験の失敗が尾を引いて/挿入直前の悪夢/EDからアル中へ/「自分の
全てをさらけ出せるようになりたい」/運命の女性と出会う/初めてのED
告白/「ほんとに好きだったら、それで別れることなんてしないよ」/回復
への追い風/「失敗してもいいからね」
解説1◎キーワード[予後不安、歪んだ認知] 55
ケース2 プレッシャーはペニスを襲う……田口さんの場合 61
借金と離婚の果てに/妻のセックス拒否宣言/男らしさの落とし穴/初めて
のED体験/出張先の天国と地獄/そしてセックスの新境地へ
解説2◎キーワード[ストレス] 78
ケース3 快楽は修羅場の果てに……船本夫妻の場合 84
「バイアグラ・セックス」って?/セックスなんて苦痛なだけ!/ついに離
婚を切り出す/男のプライドの末路/不倫で芽生えた性への意欲/妻の日記
帳/不倫の果てに/「私は惨めになることはないのだ」
解説3◎キーワード[男根主義] 108
ケース4 セックスは汚いってイメージがどこかにあって……岡崎さんの場
合 115
恋愛不全と恋愛依存の狭間で/恋人に見た「母の面影」/最初で最後の欲情
/「僕は何かに呪われているのかな」/母の不幸な記憶/近親姦への願望と
不安
解説4◎キーワード[性嫌悪症、性的欲求低下症] 135
ケース5 授乳シーンじゃないとだめなんです……新井さんの場合 143
性的嗜好は人それぞれ/病弱な少年と母の愛/十六歳で性嗜好に目覚める/
「私はマッチョな男性が嫌いなの」/勃起不全から射精不全へ/「わからな
いまま抱えていくしかないんです」
解説5◎キーワード[パラフィリア(性嗜好障害)] 160
ケース6 セックスなんてぜんぜん必要ない……けんちゃんとうらんちゃん
の場合 167
ラッキーな出会い/生身の裸なんて興奮しない/一日十五本のアダルトビデ
オ/右手の力に勝るものなし/「セックスしてくれないと納得できない」/
カッコつけない本当の自分/「犬ごっこ」の記憶/初恋と性の目覚め/風俗
嬢としての「自分の価値」/「勃起しないなんて、気持ちの確認ができない」
/セックスなしの深い関係/「自分のエッチな感覚に素直になれた」
解説6◎キーワード[二次元コンプレックス] 193
第二部 ED治療最前線 201
1◆わが診療体験 202
2◆診断法について 208
3◆バイアグラについて 213
4◆バイアグラ以外の薬剤について 223
5◆薬物療法以外の治療法 227
6◆サイコセラピー(心理療法)について 235
7◆心因性EDを克服するために 244
エピローグ 249
あとがき 256
本書に登場する治療施設/性機能診療を行っている主な施設 260
紙の本
読みやすいルポルタージュでわかる「心因性EDは誰にでも起こりうる」という事実
2001/11/12 22:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:西川大亮 - この投稿者のレビュー一覧を見る
bk1の内容説明は「40〜50代の男性のうち…」で始まる。いかにもED(勃起不全)が中年期以降の病であるように感じられるが、そうではない。本書で取り上げている心因性のEDは、10代にその原因が求められ、20代に発症している例が大半なのだ。仕事や人間関係のストレスによるEDは、それがなくなれば回復しやすい。だがトラウマによるEDは、決して容易ではない。
本書は二部からなる心因性EDのルポルタージュだ。第一部ではEDになった人たちへのインタビューと解説を、第二部ではED治療の現状を綴っている。他者の性の深い霧を冷静に覗く機会はあまりない。一般科学書ではないが評者は楽しく読めた。
第一部で語られる6つの症例はどれも興味深い(恋人の強姦体験を聞かされるうちにEDになった話を深く掘り下げていないのは残念)。ケース5など、なぜ授乳シーンで興奮できるのか評者には全く理解できない。だがそのわからなさも含めてとても面白い。原因も本人の性格や、精神バランスの崩れ、マザーコンプレックス、性の希薄化などさまざまだ。男性も傷つきやすく脆い存在なのだと実感できる。
第二部は著者によるED治療体験記から始まり、現在の治療体制について簡単に概説。日本はとても遅れている。大学病院での予約は1〜3ヶ月待ち、保険は使えず自己負担、極端に少ない専門医…。バイアグラの個人輸入に手を出す気持ちも理解できるが(心因性のEDにも有効)、模造品も多くあまり勧められないそうだ。正に八方塞がり、どうにかならんのか。
『悩み多きペニスの生涯と仕事』を読んだときにも感じたが、性の問題を解決するためには、パートナーの理解と協力が必須だ。性がコミュニケーションの一形態である以上、当然といえば当然だが、悩んでいる当人たちはあまり意識していないように感じる。性教育の問題なのかもしれない。(西川大亮/北海道大学大学院工学研究科博士後期課程)