紙の本
「目からウロコ」でした。
2002/07/13 11:28
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投稿者:たーさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウンコに対する嫌悪感というのは、人間に自然に備わっているものと思っていた。そんな私にこの本は、強烈なパンチを食らわしてくれた。
ウンコは古くから優秀な肥料として用いられ(実際に金銭での取り引きまで行われていたという。)、環境における「循環」に人間を極めて健全な形で位置付けていた。その中でウンコに対する信仰めいた感覚まであったという。
こんなウンコまみれの社会は「不潔」な気がするが、例えば伝染病が流行するのは人間がウンコの処理を誤ることによる病原菌の増殖が原因であって、決してウンコそのもののせいではない。環境の中に適切に位置付けられれば、決して不潔なものでないばかりか、人間に、そして環境に多大な恩恵をもたらすものなのだ。
トイレの水洗化が進行し、ウンコを目の前からできるだけ早く抹消したいという感覚が当然になってきているわれわれにとって、まさに「目からウロコ」の内容である。
ただ一つ残念だったのは、最終章の環境教育云々の箇所。著者の持論としてどうしても入れたかったのだろうが、それまでの内容とのつながりがどうも不明瞭である。「郷土芸能を学ぶ子供たち」がなぜ突然に飛び出してくるのか、理解に苦しむ。この章までのところで既に本書は誠に素晴らしい思考材料を提供しており、後は読者が色々と思索をめぐらせばよいと思う。
紙の本
ウンコと鈴木宗男
2002/08/06 10:34
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投稿者:ランドリィ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この書にふれ、昨今の日本人に植え付けられた清潔無臭最上観念はもう限界に来ているのだろう、という思いにかられた。ある意味、自然な行為であり創造物であるウンコを汚れているものとし悪の親玉に仕立て上げ、汚いものはすべて水に流してしまえーなどと、自然の連環に反してきた積み重ねが、今の日本の様々な歪みに繋がっているのだろうと思う。臭いものには蓋をする、という考え方が制度疲労を起こしているのだ。だからといってみんなで頭を(尻か…)揃えてその辺にウンコをされても困るのだが、それでもウンコとの自然な付き合いかたを真剣に模索する時代なのであろうと思う。悪名高き代議士の手法・考え方も時代の波に押し流されたことを思うにつけ、学校でウンコをしても「やーいやーいウンコたれー」なーんていじめられない時代が早く来て欲しいものだ(ウンコ出現回数5!)。
紙の本
ウンコと太陽
2002/04/16 04:19
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投稿者:鳥居くろーん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウンコ。その嫌われ者をあえて取り上げる一冊。鼻つまみモノのそれらの処理や利用に関する現在と、その歴史を取り上げ、また世界を循環系とみなした場合のウンコの位置づけや意義、果ては環境倫理まで手を伸ばそうという意欲作。
性質の違う二人の著者が、ウンコひとつをとってもいろんな角度から眺められるのだ、ということに気づかせてくれる。
惜しむらくはその論旨の不明瞭さ。手持ちのネタを強引に詰め込んだため、本としての一貫性を欠き、その流れのない構成に乱雑な印象を受ける。もし、循環の担い手としてのウンコを強調したいのなら、まずその文体を持ってウンコを表現するべきであった。
それは命のひとつのかたちであるにすぎぬ。流れるように。やがては土となりて。そしてまたどこぞへと。
人間は、ウンコと太陽でできている。
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普段何も考えることもなくトイレの奥に流れている自分の分身
そんなウンコについて現代科学から環境・経済、あげくのはては倫理まで語っています。
いや面白かった。明日からは流れいくウンコが神々しくみえそう(w
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最強に面白い。新書で爆笑できるってのはレア。
今まで、「科学」によって秩序付け納得してきた世の中。
その全てを「うんこ」によって秩序付けようとするなんて、新鮮すぎるし、すばらしい。
社会科学、自然科学に次ぎ、世界の秩序として存在しうる「ウンコ学」かもしれない。
私もそんな信念がほしいw。
有田氏すごー。多方面に多識でなければムリな文才。
超おススメ。
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[ 内容 ]
環境問題がさかんに叫ばれている。
だが近代人は、ウンコからは遠ざかろうとしてきたのではなかろうか。
そして目をそむけ、鼻をつまむように、語ることが忌避されている。
しかし、それは身近なものであるがゆえ、やはりその行方が気になる。
本書では、誰もが正面から見据えようとしないウンコを通して、現代科学から倫理までを語る。
ヒステリックなエコロジーの書ではなく、抱腹絶倒なのに役に立つ、おもしろ科学読本。
[ 目次 ]
第1章 あなたのウンコはどこへ行くのか(海に捨てられるウンコ カウボーイも英国紳士も海まで運ばず川に捨てた 下水処理の手品の真相)
第2章 水田-土と水とウンコのバラード(ペリーが驚いた世界一清潔な国 生きるとはウンコを食べることである)
第3章 ウンコの黄金時代と糞まみれの経済(日本のウンコの大河ドラマ ウンコ処理と財政問題)
第4章 ウンコをしない自立とする連帯(エコノミーからエコロジーへ 陰翳礼賛 ウンコをひらない身体 学校でウンコができない子どもたち)
第5章 ウンコに学ぶ環境倫理(みんなのおかげでウンコができる ウンコとは死ぬことと見つけたり ウンコに親しむ環境教育)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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なんだこの良書は。奇をてらったタイトルに感じるが、その内容はウンコと同様に「実用的」である。無意識に忌避される「声なき肥え」に光をあて斬新な切り口で平易に科学し、手広く歴史する、新書の鏡。
さらに嬉しいことに書き手にそこはかとない余裕があって、それが軽妙な筆致に表れていて「読ませる」文章になっている。
そして特筆すべきはその充実した参考文献目録。こういったキワモノ書籍につけられた目録ほど多くを学びうるものはない。
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ふざけたタイトルだが、環境、歴史、哲学、経済、心理、文学、ファッション、あらゆる分野がまとまった真面目な一冊。中々面白く納得できる。
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いろいろな面からウンコの価値が語られている。ウンコは必要。
性感帯の変遷、唇、肛門、性器の順に移る。
下水道は都市の価値観の押し付け
昔はウンコは神だった。
芥川龍之介の「好色」
女性の立ちションは一人前の証
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牛若丸の「まる」は、「おまる」の「まる」。そんな「うん」ちくも満載だが、トイレに纏わる歴史、環境問題、教育など、「くそ」マジメに語られており、面白い。
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いや、なんというか・・・w すごい本に出会ってしまったなと。
下水処理のしくみや、水洗便所の歴史、古代の人々の糞尿観、はたまたウンコにまつわる「ウン」ちくをおりまぜながら、現代の経済社会と環境倫理に対する警鐘を鳴らす、という荒技を(かなり強引にw)やってのけている。
インドでは薬として、牛の大便を食べたり小便を飲んだり、また、身体を清めるために、牝牛の小便で身を洗い、大便を身体に塗りこんで化粧したというエピソードにはぶっ飛んだわー(今もそのような風習があるのかはわかりませんが)。インド人すごいな、と。
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10年ほど前に購入して、放置していた。
たまたま手にとって読んだら、止まらなくなるほど、おもしろくて、中身の濃い本だった。
「糞」に関する古語、うんことうんち、ウンコの始まりは日本書紀、教育の目的、社会環境の多様性は、参考になった。
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よく考えると、
今まで何がそんなに恥ずかしかったのか。
でも恥ずかしがるのも人間らしさか、
など答えの出ない問いがまだ頭に残っています。
東京オリンピックであの清い湾を泳ぐ
選手の姿を画面越しに見て、文明とは、
と考えるきっかけもいただけました。
どんな肩書きを持った人とでも、
アラレちゃんみたいにこの本について
話ができる世界ならいいのに。
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面白い
今の浄化槽の仕組み
うんこの歴史
うんこの文化史
分断されたうんことの関係性
20年前の本で、著者のギャグが臭いが、それも20年経てばよく醸されて面白みに昇華している。
冗談はもとより内容は学びが多い
日常と記憶から消され隠されたウンコを見つめる良い機会になる