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神様(中公文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.2 234件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2001.10
  • 出版社: 中央公論新社
  • レーベル: 中公文庫
  • サイズ:16cm/203p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-12-203905-3
  • 国内送料無料
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紙の本

神様 (中公文庫)

著者 川上 弘美 (著)

神様 (中公文庫)

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みんなのレビュー234件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

『神様』 のおかげか、今日も悪くない一日、でした

2009/03/15 17:38

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

読書の大波小波があるとすれば、
間違いなく、昨日から大波『神様』状態です。
川上弘美さんの生まれて初めて活字になった小説。

「くまにさそわれて散歩に出る。」
この一文から始まります。

幾度となく手にして、幾度となく読んでいるこの一冊。
今回の大波は、はたして何回目でしょうか?

初めて読んだときの気持ちが忘れられません。
ほんの数ページの小説なのですが、これほど引き込まれた小説はかつてないのです。

この思いのたけを伝えようにも、
どこがどれだけいいと伝えようにも、
言葉にすればするほど、その思いが遠くなるといういうか、なんと言うか、おろおろ泣き出してしまうかもしれないほど、私にとってはたまらない小説です。

大波の今は、しばらくこの一冊を鞄に入れて持ち歩きます。『神様』のおかげか、今日も悪くない一日、でした。

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紙の本

魂が浮き上がるような不思議な読後感、川上弘美「神様」。

2011/02/17 18:50

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 かなり前、たぶんこの本が単行本で出た頃、評論家の小谷野敦が「理
性がまひする面白さ」とこの小説のことを誉めていた。ふ〜〜〜〜ん、
と思ったが、なぜか読めないままでいたのだが、文庫化された時に読ん
でみたら、ぶっ飛んだ。実はこの小説が僕にとっての初川上だった。

 9つの短編。物語はくまにさそわれて散歩に出たり、梨畑で見つけた
変な生き物を部屋で飼ったり、死んだ叔父さんが遊びに来たり、河童に
恋の相談を受けたり、壺をこすると若い女が出てきたり、えび男くんと
焚き火を見たり、カナエさんが愛した物の怪?の話を聞いたり、エノモ
トさんが拾ってきた人魚に取り憑かれたり、またまたくまにさそわれて
散歩に出たり、そんなこんなの話だ。といっても綺譚集とか、そういう
類いの話ではない。くまも河童も壺の女も、ただただある感情、せつな
いとか寂しいとか愛しいとか、そういうことを表現するための大切な道
具だてなのだ。人間と散歩に行くよりくまと行った方がそこに醸し出さ
れる気分が違うからそうするわけだ。だから、これを読むと、なんだか
魂がふわ〜っと浮き上がっていくような不思議な読後感があるのだ。

 文体もよく、これ誰かの何かを読んだ時に感じたのと同じだ、としば
らく考えて浮かんだのが高野文子の漫画だった。高野さんもすごい人だ
が、川上弘美も何だかすごい。初川上で思い知らされた私なのでした。

ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より

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紙の本

じんわり沁みる小品集

2009/06/22 00:31

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:森パーティ - この投稿者のレビュー一覧を見る

9つの短編が収められている。
それぞれページ数は少ないのに(表題作は10P)、読み手を惹きこむふしぎな世界がゆったりと広がっていて、気づけば登場人物に心を添わせている。人魚や梨の精、亡くなった人など「異質」なものが多く登場するが、ちょっと浮世離れしたような川上さんの文体に、それらはとてもよくなじんでいる。

「くまにさそわれて散歩に出る。」で始まる表題作は、「わたし」の近所に越してきたくまと川原へ行く話だ。
昔気質で礼儀正しいくまのキャラクターが良い。慇懃なしゃべり方、周囲への気遣い、鷹揚な態度。二人で弁当を食べたり昼寝をしたり、穏やかな時間が心地良い。
その分、最後の「草上の昼食」でのくまの変化が寂しい。どうにもならないことの寂しさだ。

読んでから何年か経った今でも、陽だまりのようなあたたかさと切なさが余韻となって、心に留まっている。

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紙の本

コミュニケーションを、ちゃんと、ふかく、考える

2008/03/19 15:11

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る


高校の「国語」教材とも成っている「神様」は、「美神(ミューズ)」とまで讃えられた川上弘美のデビュー作だが、いわゆる(作者の)意図や主題のような「解」を求める読み方にはおよそ不向きな小説である。しかしそれは「神様」の評価を貶めるものでは全くなく、むしろその短さとそれゆえの凝縮度と相まって、「現代文学」としての魅力に他ならない。こうした「神様」のポジティヴな諸々は、端的にその「文体」によって決定されている。それは、すでに述べたように意味に収斂していくのではなく、小説総体としても個々の細部としても、輪郭をあらわにすることなく曖昧な描法ながら、それでいて確かなリアリティをあっけらかんと達成していく、実に奥行きのある「文体」である。従ってこの「文体」が指し示すのは、何かしらの「解」とは対極にある、「問い」である。

「神様」における「問い」とは、もちろんコミュニケーションに関わるものである。ただしそれは、このくまと人との交流や抱擁を、単に異類同士のコミュニケーションとみなすだけでは、「文体」の奥行きをとりこぼしてしまう。そもそも、主人公格の「わたし」は性別未詳のままであるし、くまにしても、優しいのか凶暴なのか、実際の所はよくわからない暗部を抱えたままストーリーは続いていく。しかも、一見親和的な二人の「散歩」は、それでいて「わたし」はくまを確かに異類とみているし、くまも自らの名を明かすことなく、心の底からほぼのぼとした心の交流が描かれているわけでは全くなく、事態はむしろ逆である。一見、穏やかに楽しい「散歩」が展開されていくのだが、それを氷山の一角だと思わせる「奥行き」が、「神様」の「文体」にはあるのだ。そうした「文体」が差し出す「問い」とは、端的に、「コミュニケーションとは、他者とコミュニケイトするとは、そもそもどのようなことなのか?」といったものである。そうした「問い」を浮上させるのが、独自の「文体」で描き出されていく、「わたし」とくまの関係の諸相であり、それは「文体」ゆえの多面性を保持しながら、それでいて、ごくごくシンプルな1つのストーリーに収められている。まさに「美神」の仕事といえるだろう。ライト・ノベルズがひたすらに長く(薄く)なっていく現代を思うにつけ、この短編の秀逸さは顕著である。

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紙の本

私も妖怪や幽霊に会いたい

2004/09/03 17:28

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:パティロ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ふわっと気持ちのいい読後感を味わった。川上弘美という作家は、霊媒体質なのかもしれない。素晴らしい想像力で異界を描いたというんじゃなくて、体験したことをさらっと語っている感じが、自然で、とても心地いい。

「わたし」は一人暮らしの女性、その彼女が妖怪や幽霊と出くわすのだけど、「わたし」は大騒ぎなどしない、だからといって、まったくの平ちゃらというわけでもなく、ちょっととまどったり、少しこわがったりするので、親しみを感じる。それに、たとえば、「離さない」で「わたし」がエノモトさんと人魚について話すところ、

人魚と言いかけたがやめにして、このひと、とわたしは言いなおした。人魚が人語を解するかどうかはわからなかったが、自分が人間以外のものに「人間」と呼び捨てにされたら気分が悪かろうと思ったからである。「このひと」という指示が適切であるかどうかは難しいところだが。

「わたし」はこうやって、でくわした妖怪や幽霊の気分をいつも思いやるのだった。何もきめつけようとしないソフトさと、ぴぴっと感じたものを大切にする素直さ、川上弘美さんの描く「わたし」は、かわいらしくてやさしくて、とてもいい。こういう風だから、不思議な生き物たちに慕われるのだろう、と、ものすごく納得がいく。そして、いいなあ…と、そんな「わたし」に、私はちょっとヤキモチを抱いたりしてしまう。

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紙の本

不思議に温かい作品たち。

2002/04/01 18:03

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ChikaM - この投稿者のレビュー一覧を見る

 川上弘美のことは1996年芥川賞受賞の「蛇を踏む」以来気にかけてはいたのだけど、当時はそれを味わうには想像力が乏しく、なんとなく苦手意識を持ってきていた。頭のよい人や非常に感性の鋭い人のための小説を書く人だと思い込んでいたのだ。

 2001年のある月の「文學界」に川上弘美の短篇が載っていた。あ、わたし、この人の作品、嫌いじゃない、と気がついた。それでとりあえず、彼女のデビュー作の収録されている文庫本「神様」(表題作がパスカル文学賞を受賞したデビュー作)を立ち読みしに行きました。驚きました。

 「くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである。歩いて二十分ほどのところにある川原である」。

 最初の一文だけでもう、惹きつけられてしまいました。うまいとか、テーマがどうとか、小説についてそのような評価の仕方もあるわけで、その辺を考えながら読んでいると「こういうネタに肉薄できることは素晴らしいはずなのだから」「この技法は今の流行だから」と次第にお勉強になって辛くなってくることが少なくない。けれども、この書き出し。新鮮な圧倒的な世界がそこにあって、しかもそれは魅力的で。ひらがなが多くて、くまという非現実的なモチーフがありながら、童話とは別の種類の温かさで。誰かが岩館真理子の漫画のようだと評していたけど、たしかにそういう部分はある。どろどろの情念は描かれず、といってドライにうそぶく痛さもなく。軽やかに、嘘はなく。あらゆる種類の退屈から逃れて、きちんと収拾をつけて物語が終わる。深読みにも耐える。

 神話的な構造。品のよい作品。穢い行動は書かれず、彼女の手にかかると全ての感情が浄化される。

 彼女が人気あることに納得できた一冊でした。

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いいんだよ、と神様は言う

2017/02/18 16:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る

くまと猫屋とえび男くんがとてもいい。くまの古風な人づきあい、猫屋カナエさんのやわらかいおせっかい、そして長年あたためてきた昔話、えび男くんの張りつめて、突き抜けている感受性。どれもきっと生きにくいんだ。現実社会だったらね、生きにくくて、排除されてしまいがちなんだろうと思う。でもさ、この本の中ではキラキラ輝いていて、そしてぼーっと仄かにあかるい幸福感が醸し出されている。いいんだよ、変わっていても。と、くまの大きな手で背中を撫でられている気持ちになれる。神様はいろんなカタチで現れて応援してくれているんだね。

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最初の1行を読んでみて下さい

2002/03/07 10:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かずね - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本には「くま」やら「河童」やら「梨を食べる白い小さなもの」やらちょっと不思議なもの達がたくさん登場します。でも、それらを自然に受け入れてしまうそんな文章です。最初の1行、「くまにさそわれて散歩にでる」もう次が気になってしまいます。このくまは、3つ隣に引っ越してきたそうで律儀に引っ越し蕎麦を振る舞ったりするのです。読んでいて、なんだかほのぼのと そして、頬に少し笑みがやってきました。
 淡々としたお話のようですが、所々にきらりと光るコトバがあり、印象的です。とてもきれいな言葉、 そして、きれいな文章のお話だと思います。

収録作品…「神様」・「夏休み」・「花野」・「河童玉」・「クリスマス」・「星の光は昔の光」・「春立つ」・ 「離さない」・「草上の昼食」

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なんともいえない読後感の独自の小説

2010/08/03 14:29

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る

初めて読んだ川上弘美作品。
もちろん川上弘美という作家の存在は知っていたのだが、作品は読んだことがなかった。
短編集で、最初の短編の題名が「神様」。
その書き出しはこう。
「くまにさそわれて散歩に出る」
そう、くまと散歩に行くのである。
「くま」といっても、「くま」というあだ名の人間ではなく、そのまま、「くま」である。
この短編には色々な生き物が出てくる。
くま、白い毛が生えている生き物、河童、人魚など。
最初の短編と最後の短編が、「くま」に関する短編で、
最後まで読むと、そこはかとない切なさが胸に残る。
こういう小説を日本語で初めて書いたのは、
おそらく川上弘美だったのだろう。
今でこそひらがなが多く、改行も多い小説は多いが、
それを先取りしている感じもある。
ただ、リアリズムの小説ではなく、
なんともいえない感じが読後、心に残る。
これは川上弘美でないと書けないものだろう。

大江健三郎は作家として生き残っていくには
2つの道がある、とコラムに書いていた。
1つは、独自の文体があること。
2つめは、物語れること。

川上弘美は確実に1つめの条件を満たしているだろう。
だから、デビュー作から今まで一線で書けているのだ。
そのデビュー作が含まれた『神様』。

マッチョな小説に疲れた人に読んでほしい。

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言葉無き生き物に、言葉を。

2003/12/08 11:58

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 母校の司書に勧められて手にしてみた。読んでいて、一番最初に驚いたのは動物が言葉を発していたことだ。それでもすぐに馴染み、ああ、そういう作品なんだと認識しました。

 印象的だったのは人魚の話。人魚にすっかり魅了され、手放せなくなってしまい、自分が廃れていってしまう危険性に恐れる。ちょっとぞっとしましたね。人魚と言えば、谷崎潤一郎が描いた人魚を思い出すが、その艶かしい容姿の描写に脱帽だった。最後は意を決して手放せて本当に良かった。
 河童の話も心に残りました。河童という生き物は、私の中でツチノコくらいにあり得ない生き物となっています。だから、小説だしと割り切って読んでしまえた自分が少し寂しいですね。もう少し熱くなれればね。
 ツボを擦ると出てくるコスミスミコ。本当に回文みたいな名前です。コスミスミコがツボで生活するようになってしまった経緯は、なんだかこってりと重たいことなのに、ストーリー自体は童話のように軽やかだった。

 幼い頃、トトロに会いたくて近所の林に遊びに行った。ピーターパンを信じて夜更かしした。そんな純粋な時代を思い出し、なんだかこそばゆい。そしてそういう気分になったという事実が、不思議だ。川上弘美さんが想像上の生き物(あくまで私の中の)に命を与え、いかにも日常で起こっているんだと表現しているので非現実だとは思わなかった。心のどこかでひっそりと存在しているストーリーのように思えた。

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紙の本

ああ。

2016/10/15 14:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者: - この投稿者のレビュー一覧を見る

これが川上さんか、と。
センセイの鞄しか知らなかった私は驚いて、それからこの人が好きになった。

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紙の本

貴方さまもどうぞお元気で。

2003/09/13 22:28

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 表題作神様は三つ隣の305号室に引っ越したくまとの交歓記である。子育て中の主婦ならではの感性を感じるのは、背景のデテールが具体的で、特に呑んだり、喰ったりする場面はオレンジの皮ひとつ疎かにしない描写で、食欲を刺激し、一杯やりたくなったりする…、川上流手料理を饗応されている気がするからであろうか。
 「うそばなし」であろうと、わけのわからないヘンなものが出てこようが、善き哉、善き哉でズボラに時々、目を閉じて読み進む。だけど、登場人物のみならず、人に在らざるものたちも、可愛く、善良で、意地汚く癒されることに後ろめたさを感じてしまった。
 全く、かような世界に縁なきオヤジなのに不思議な話で、何故、ここまで、この本の連作短編集に感情移入出来たのか、読了した今も解明出来ないでいる。単に年取って気弱になったのか、恥ずかしいながら、癒されたのは事実である。

 ここに登場する「くま」「人魚」「アラジンのランプ風、壺娘」「宮崎駿のアニメに出そうなちっちゃな梨おばけ」「河童」「幽霊おじさん」「えび男くん」「猫屋のおばあさん」たちは、何処かで会ったような既視感がある。全然、荒唐無稽でなく、すんなりと、作者の磁場に入れたのは、どうも、計算された筆力というより、淡々と語られる天性な天然何とかとしか、言い様がない。
 第一、この本を開くと、導入部がーくまにさそわれて散歩に出る。ーで、普通なら、え! と頓挫するのだが、あまりに敷居の低い、むしろゼロに近いこちらと、あちらなので、そのまま、異空間にトリップしてしまった。違和感なく、作者の世界に入れたのです。入ることが出来れば、無為に楽しむ事が出来る。

 ある人がこの世界は泉鏡花の世界ですよと言ったが、鏡花独特の擬古文体でなく、あっけらかんの文体で、あちらの人を呼び戻したり、くま、河童、であろうと交歓してしまう川上弘美は都会に住むシャーマンなのであろうか。ただ、作者の神通力は鏡花の如き鍛えられた職人芸でなく、推敲によって生まれるものでない様な気がする。巫女は常に処女性(アマチャリズム)を維持していかなければ破綻する。
 某書評氏が『ゆっくりさよならをとなえる』に関して武田百合子さんと比べていたが、百合子さんは、まさに武田泰淳の傍らにありながら、巫女性を保持した人で、そんな目で作者をつかまえると、何となく腑に落ちるところがある。

 ただ、今後、プロとして、かような世界を食い破って予定調和でない新たな海へ船出するのか、川上弘美ファンの方にとっても、要らぬお節介かもしれぬが、気になるところである。束の間、癒されて気分が良くなったにも拘わらず、衒いもあって、作者にフェイントをかけてしまうオヤジは、やはり素直になれないのですね、勘弁して下さい。

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心優しき主人公は異質なものを引き寄せる

2002/06/03 12:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もぐらもち - この投稿者のレビュー一覧を見る

 誰もが知っていてもめったにお目にかからないもの、くま、梨生物(梨の精?)、霊、河童、人魚などが主人公の周辺に現れます。
「神様」は確かに面白かった。でも、同じような調子の物語が連続すると正直言って疲れます。1日1話ずつ読んでました。

「ぼくはね、熱いっていうのは、手を天に向かって差し上げている太ったおじいさんみたいなかたちだと思う」
…(中略)…
「ぼくの寒いはね、小さくて青い色の空き瓶だよ」

 6話目の「星の光は昔の光」のこの表現でパッとこの物語の波長
と合い、後は一気に読みました。最後のくまからの手紙は、泣けました。

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紙の本

川上弘美はやっぱりこのテイスト

2001/12/12 13:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「センセイの鞄」や「おめでとう」はもちろん素晴らしい小説だったけど、この本に納められている奇妙なファンタジーこそが川上弘美の真髄だよなーと思った。江国香織がどんどんブランド化されている今、きちんと注目されるべきは川上弘美なのではないかと、切に思う。彼女のすっとんきょうな顔も、何かしでかしそうで大好き。

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くまに誘われて散歩に出てみません?

2001/10/30 13:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うし - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「くまに誘われて散歩に出る」と始まるこの短編集を読み始めた時から、私もこの短編集の世界での散歩を始めてしまった。その世界では、3つ隣にくまが住んでいても、河童に相談を持ちかけられても、壺の中からなれなれしい女が出てきても、不思議にも恐ろしくも思わず、素直に彼らの言葉に耳を傾けてしまう。その言葉は優しく、そして悲しい。ベッドで読み耽っていた私がふと隣を見ると、長年のつきあいになる牛のぬいぐるみがこちらを見ている。彼の目線で見てきた世界を、今なら話してくれそうな気がする。

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