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商品説明
何ということだろう、四百年前の画家の絵がこれほど生々しい輝きをもって迫ってくるとは! そう、カラヴァッジョはある意味でデレク・ジャーマンよりもメイプルソープよりも新しい。その永遠の新しさを多面的に照らし出す。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
カラヴァッジョ復活 | 岡田温司 著 | 9-43 |
---|---|---|
扉を押し開くもの | 徐京植 著 | 44-54 |
ロンバルディアのプレ・カラヴァッジェスキ | 水野千依 著 | 55-93 |
著者紹介
岡田 温司
- 略歴
- 〈岡田温司〉1954年生まれ。京都大学大学大学院博士課程修了。京都大学総合人間学部助教授。西洋美術史。著書に「もうひとつのルネサンス」「ルネサンスの美人論」など。
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紙の本
バロック絵画全般に多大な影響を及ぼしたカラヴァッジョ
2001/12/08 03:15
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投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
麗々しく『カラヴァッジョ展』とあったので、先日、目黒の東京都庭園美術館まで足を運んだが、この展覧会、日本の国公立美術館がしばしばやる「詐欺」だった。つまり『カラヴァッジョ展』とは大嘘で、彼の絵は全38点中、わずかに「7点」(もう1点「特別出品」)しかなかったからだ。むろん、見ないより見た方がいいとはいえ、これは『カラヴァッジョとその時代の画家たち』とすべきだろうが。国公立の美術館の話をする度に書いているが、税金で運営しているのだから、ワシントン・ナショナル・ギャラリーのように、断固無料にすべきだろう。また、こうした「詐欺」は止めて欲しい。ちなみに入場料は1200円、図録は2300円だった。また、東京都庭園美術館はあまりに狭く、こうした展覧会にはまったく不向き、照明も暗過ぎた。平日だったが妙に混み合っており、人の頭越しに見ている内にうんざりしてしまい、碌に見もせずに出てきた。あとで友人に聞いたところ、65歳以上は無料ゆえ、高齢者が押しかけるようだ。高齢者は年金生活者が多く銭がないだろうとの、いかにも木端役人の考えそうな馬鹿発想だが、銭のない点では中高校生の方が、さらにないのではないか。しかも彼らには未来がある。一枚の絵を見て「画家」を志す人間が出るやもしれぬからだ。無料の高齢者が有料の客を邪魔をしているなど、とんでもないことだろう。その話は措くとして、ミケランジェロ・メリジ・ダ・カラヴァッジョ(1573〜1610。38歳で他界)は、ミラノ近郊のカラヴァッジョに生まれる。20歳の頃、ローマに出て風俗画や静物画を描き、『聖マタイ伝』で認められ、その後、『聖母の死』(1606年。ルーヴル美術館)などの祭壇画の連作を描く。1606年5月29日、知人を殺めたことでローマからナポリへ逃亡、この地で「ナポリ派」のテネブロージ(テネブリズム)の基礎を築く。テネブリズムとは、イタリア語のtenebra=「闇」を語源とする言葉で、明暗の強烈なコントラストによる劇的表現を生み出す手法を言い、代表的な画家に、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、レンブラントらがいる。一般的には、カラヴァッジョ、後期マニエリスムからバロックへの転機を開いた画家として知られ、集中照明効果によって人物らの内面描写を表現する手法で、バロック絵画全般に多大な影響を及ぼしもした。カラヴァッジョの伝記はデズモンド・スアード/石鍋真澄・真理子訳『カラヴァッジョ 灼熱の生涯』(白水社)を薦めたいが、さらに詳細かつ学術的な研究書を読みたい向きには、17人の著者が多面的に照射した『カラヴァッジョ鑑』を推薦しておきたい。デズモンドはカラヴァッジョ「ホモ説」だが、『カラヴァッジョ鑑』には、そのような下世話な話、ほとんど出てこない。図書館向きの本ゆえ、是非1冊購入して欲しい。