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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.10
- 出版社: 角川書店
- サイズ:22cm/175p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-04-883710-9
紙の本
森の本 Forest story
深く、深く、息を吸う。身の回りの自然のもう一歩奥へ…。森に息づく小さな物語たちが一冊の本になりました。こころとからだの栄養読本。【「TRC MARC」の商品解説】
森の本 Forest story
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紙の本
森の美しさ厳しさが存分に表現された写真集
2001/12/04 00:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青木みや - この投稿者のレビュー一覧を見る
樺 栂 桂 樫 槲 榧 樅 檜 楓 柿 欅 杉 橡 松 桜 椎
すべて森の木々の名前である。たくさんの木々があり、たくさんの緑が森にはある。ページを繰っていて今更ながら思い知らされた。『色の名前』や『自然のことのは』など自然風景写真集には定評のあるネイチャー・プロ編集室による、丸ごと一冊「森」で埋め尽くされた写真集である。森の巨木の落葉の乾いた音やしめった土の匂いが感じ取れそうな鮮明な写真の数々が掲載されている。
森は生命の宝庫である。雨が降りしとしとと木々を伝わって地面に滴りおちる。そうして森の土は水をたっぷりとしみこませ、木々から落ちたたねを育む。
だが、たねが育つには適切な温度、水、光などさまざまな条件がある。そして森で暮らす鳥や動物たちはたねをエサにする。落ちたたねが大きな木になるのは、百万分の一以下だそうだ。小動物や木も死ねば土に還り、森の土にすむ土壌生物に分解される。無機物となり新たな草や木のごちそうとなる。そうやってそこを豊かな土地へ変えていくのだ。
いいなと思うのは、木の全身像を写しているところ。広く、深く、枝や幹を支えるために土中に広がる根。高く、強く、成長する木。森の中で上を見上げると、緑の葉の間から光が振ってくる。下から見上げている人間は木から見るととてもちっぽけだ。
木の大きさとは対照的に一枚一枚の葉っぱは手のひらサイズでしかないのだが、この緑の力が地中の酸素を増やしてくれている。深呼吸をして、森の中に充満する鮮烈な空気を吸いたくなった。その緑がまた季節に応じて色を変えていく瞬間に息をのむ。
森の美しさ厳しさが存分に表現されたフォト&エッセイ。
紙の本
何度も味わいたい【森】の本
2001/12/10 06:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昆虫写真と同様,植物写真についても,日本の自然写真撮影技術の高さは世界的にもすぐれていると聞く.本書は【森】に特化した写真集である.「ことば」はミニマムに抑えられており,写真に語らせるという方針でまとめられた本だ.この点で,前後して出版された『花とみどりのことのは』(幻冬舎,2001年)とは雰囲気が一味ちがう.
もちろん,本書には,ネイチャー・プロ編集室の編んだ過去の本と同様,草花や樹木そして動物たちの美しいカラー写真が満載されているのだが,ひとつひとつの風景点描ではなく,【森】そのものをひとつの「世界」として撮ろうという姿勢が感じられる.カエデの樹液(メープル・シロップ)の氷柱を舐めに来たエナガの写真(p.70)に目が留まる.こういう鳥の習性もたいしたものなら,それを撮影した人間もすごい.
もちろん,1枚1枚のシーンをそのまま味わうもよし,森林の生態の諸要素−発芽,摂食,枯死,分解,植生遷移,生存競争−について,本書であらためて見直すもよし,いろいろな読み方と楽しみ方がある本だ.
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【目次】
木のあるところ 12
動物たち 62
静もる森 100
うつろい 142
参考資料 174
写真クレジット 175