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アラビアの夜の種族
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.5 67件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2001.12
  • 出版社: 角川書店
  • サイズ:20cm/659p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-04-873334-2

紙の本

アラビアの夜の種族

著者 古川 日出男 (著)

【日本推理作家協会賞(第55回)】【日本SF大賞(第23回)】聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫りくるナポレオン艦隊。読むも...

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商品説明

【日本推理作家協会賞(第55回)】【日本SF大賞(第23回)】聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫りくるナポレオン艦隊。読むものを狂気に導き、歴史さえも覆す1冊の書。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

古川 日出男

略歴
〈古川日出男〉1966年福島県生まれ。早稲田大学第一文学部中退。著書に「砂の王」「13」「沈黙」など。

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みんなのレビュー67件

みんなの評価4.5

評価内訳

紙の本

地下迷宮で青春を送った全ての人へ

2005/10/09 03:13

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:虹釜太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

かつて『ウィザードリィ』で、青春を送った全ての人に読んでほしい一冊。ルールが複雑になり過ぎた現在リリースされ続ける無数のゲームにもついて行けず、かといってネットゲームにはまる時間も余裕もない、ふだん幻想文学もSFも読まない人にこそ、毎晩読んで読んで読み倒してほしい垂涎の一冊。
かつての『ウィザードリィ』初期4部作に熱中した世代や、現在のRPGからそのルーツを遡行する一部のフリークだけでなく、『ウィザードリィ』や『ウルティマ』といったRPG黎明期の作品のさわりしか触れてない人、その名には興味をもっていたがそのまま体験できなかった人にも、この『アラビアの夜の種族』の圧倒的な災厄のディテールはかつてのディスプレイの中の「冒険」の数々を想起させまくるに違いない。
地下で実験を繰り返すワードナや、大魔術師が地上を目指して脱出する『ウィザードリィ4』、そしてありえなかった外伝の数々を、永遠に自動生成するかのような『アラビアの夜の種族』。古川氏が『アビシニアン』でみせた、視覚が弾ね、聴覚が弾ねる世界、無数のハーブが目眩をもって乱舞する世界を現出させる文章の膂力の凄まじさが可能にした、ゲーム小説ではない、読むゲーム。無数に飛び交った初心者近寄るべからずな書評で足をすくませるにはあまりにもったいない、異界でのめくるめく彷徨を日々体験し続けることができる、ゲームも幻想文学もリタイアしてしまった人にぴったりの魔書。10年ぶりにゲームを買ってみる気になった人ならこれも一冊!

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紙の本

夜と物語に生きる全ての人のための悦楽

2005/04/12 01:15

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のーとみ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本には、特に小説には、その物語が求める速度というのがあると思う。例えば京極夏彦の京極堂シリーズなんかは、とにかく速く読まれることが想定されているせいで、今まで全部一晩で読了しているのだが、それは、その速度で読む方が面白いはずだから。栗本薫とか平井和正、大塚英志、西尾維新あたりも、スピード派か。逆に、岡本綺堂とか津原泰水、久生十蘭などのような、ゆっくり読むほど面白い作品を書く作家もいる。
この作家がどうかは他を読んだことがないので知らないけれど、この「アラビアの夜の種族」は、ゆっくりと舐めるように、流れる時間を感じながら読むべき物語だったと思う。で、そうやって、1日50ページ〜80ページづつ、ほぼ1週間かけて読んだ。その時間が本当に楽しかった。
面白い。相当面白い。しかも、盛り上がる。メチャクチャ盛り上がる。物語について、本について、アラビアについて、夜について、化物について、男と女について、魔法について、砂について、全てがしっかり描かれて、それが混ざり合って、だから、それが「物語」。アラビアの一日は夜に始まる、というのが泣けるなあ。「夜が朝に代わり、朝が夜に代わる」というのは、本当に、何て良い言葉だろうと思う。全てのナイトブリード感涙の物語だと思う。今の世界も、日が暮れて日付が変わると良いのに。

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紙の本

物語とは何なのか、話の誕生の秘密、そして内容の不思議。現在と過去が溶け合い、歴史は一つに収斂していく、古川って本当に神話が好きなんですねえ

2006/03/08 20:26

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「聖遷暦1213年のカイロ、若者アイユーヴが考えた、迫り来るフランク族を滅ぼすために用意した道具。それは書物だった」ファンタジー、ですが正直、これを読みこなせる人は少ないんじゃあないでしょうか。
巻頭に、この本には底本があり、それを元に粉飾的な日本語化を意図したと、古川のただし書きがあります。???と思いますが、巻末の「仕事場にて」を読むと、納得します。ただし、この作家のこと、どこまでが真実か、正直疑っているのが本当のところです。
カイロに迫るナポレオン率いる軍隊。エジプト防衛軍を率いるムラード・ベイは祖国を救おうと秘策を練る。それに答えたのが天下の英才、アイユーヴ。若者が思いついたのが書物の献上。古今東西における稀代の魔術的な本。それを手にしたものは心を閉ざし、頁を繰ることしか出来なくなるという伝説の書物。名前を「災厄の書」という。
蛇神ジンニーアに魅入られ、ゾハルの地下宝物殿に自らを封じ込めた妖術師アーダム。生贄を求め、自らの解放を願う蛇神が、自分の子孫を造るために選んだ男アーダム。千年のときを隔てて現れた二人の拾い子ファラーとサフィアーン。色の無い肌をした麗容の少年、「左利き族」に迎え入れられた唯一の外部の人間であり、人類最高の魔術師になることを夢見るファラー。王家の正当な後継者でありながら、父を殺され国を追われた剣士サフィアーン。
人類を憎み、その上に君臨しようとする魔術師と、王女に恋焦がれ、その心を得んものと立ち上がる剣士が地下の迷宮で出会ったとき、先年という時間は消え、対立が新た世界の様相を見せる。物語が立ち現れ、カイロにせまるナポレオン軍に立ちはだかる。
三人の話、そしてカイロで行われる会戦。瀬名秀明「八月の博物館」、山田正紀「ミステリ・オペラ」などに繋がる、物語そのものの創生の秘密に迫りながら、物語そのものの面白さを追求したメタ小説です。
語り口のですます調が、本当に心地よく、こうして古の話は語られるということが実感させられる小説です。作者は、この本にはThe Arabian Naightbreedsという、現在でも作者不詳の有名な書物が底本としてあるといいます。ムハマンド・アリー朝のエジプトで流布した有名な本で、その英訳本にであった古川が日本語に移し変えたというのですが、勉強不足の私は、勝手にそのエピソード事態も壮大なフィクションではないかと思っている次第。
面白いことに、2002年の推理作家協会賞には、似たような手法で物語の本質に迫った「ミステリ・オペラ」とこの本が選ばれました。日本の小説も面白くなったものです。
私は最近の古川作品を殆ど読んでいますが、手ごわさではこの本がピカ一と言う気がします。その点『13』はストレートに面白かった。複雑さをとるか、それともシンプルを採るか。いや、最近の壮大な神話を選ぶか。こんな作家は滅多にいるものじゃあありません。寡作な人だけに、全作を読む気になれば、本だけは簡単手にすることができるのがありがたいです。でも、簡単には読めませんよ。

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紙の本

「物語」を愛する全ての人に

2006/10/15 22:16

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つな - この投稿者のレビュー一覧を見る

 物語はそれを聞くことを望む者の前に姿を現し、物語は語られることで不滅の存在となる。そして、物語を識り終えた者は、今度はその者自身が一冊の本となり、またその者自身の物語をも含んで、物語は続いていく。これは、そんな物語。きっと永遠の物語。
 ナポレオン・ボナパルトに侵攻される直前のカイロ。イスマーイール・ベイに仕える、一人のマムルークの若者、アイユーブが夜毎暗躍していた。イスマーイール・ベイは、二十三人いるベイ(知事)たちの間で、現在三番手のベイ。一番手、二番手の、ムラード・ベイとイブラーヒーム・ベイは、煌びやかで美々しいマムルーク騎馬隊の能力を、露ほども疑わないが、しかし、イスマーイール・ベイただ一人は、「騎士道」が廃れた近代戦をおぼろげながらも知る。美が即ち強さそのものである、騎士道の世界は、西洋では既に終焉を迎
えた?
 命ぜられる前に、常にイスマーイール・ベイに先んじて策をとるアイユーブが、近づくフランク族の脅威に対してとったのは、一冊の稀書。それは類稀なる書であるという。読み始めた者は、その本と『特別な関係』に落ち入り、うつし世のことを全て忘れ去る、別名『災厄の書』。これをあのフランク人に、献上しようというのだ。そう、公式の歴史には決して残らず、非公式の歴史にのみ、語られるこの書を・・・。それは誰も知らぬ刺客となる・・・。
 『災厄の書』を語るのは、夜(ライラ)とも呼ばれる、夜の種族、ズームルッド。その声は甘い蜜の舌で語られ、夜毎語られるその言葉を、流麗な書体を操る書家と、助手のヌビア人の奴隷が余さず写しとる。そして、物語を聞く、アイユーブと書家、ヌビア人の奴隷もまた、夜の人間となった・・・。
 語られるのは砂の年代記。砂漠の歴史。『もっとも忌まわしい妖術師アーダムと蛇のジンニーアの契約の物語』と呼ばれるその物語には、複数の挿話が織り込まれ、その一遍一遍は主人公を異にする独立した物語である。しかし、語りが進むにつれ、それは巨きな物語に収斂する。別名、『美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーンの物語』、『呪われたゾハルの地下宝物殿』としても知られるこの物語の運び手は、わずか少数の選ばれた語り部、聖なる血を秘めた夜の人間のみ。そう、まさにズームルッドのみが、この物語の運び手である。
 語られる物語は、二十数夜にも及ぶ。夜の物語にとっぷり漬かった後、夜が明ければ、待つのはカイロの危機的状況。ズームルッドの語りが佳境を迎えるにつれ、カイロの状況はますます悪くなる。すっかり夜の人間となった書家とヌビア人の助手は、カイロの危機的状況も知らずに、美食と美しい物語に耽溺し、充実した時を過ごすのだが・・・。アイユーブの計略は、さて、実を結ぶのか?
 夜の間に語られる、長い長い物語をとっぷりと楽しんだ。純粋な人間としては、完璧の極みに辿り着いた、呪わしく醜い呪術師、アーダム。無色(いろなし)の皮膚(はだ)を持つ麗容の魔術師、ファラー。無双の剣士、美丈夫のサフィアーン。彼ら三人の物語が混じり合い、撚り合わされる様は圧巻。
 魔法や妖術が入り乱れるこの物語は、実は彼ら三人の愛の物語でもある。
常に疎外されるものであった、ファラーの受容、美が善である世界において、醜く生まれ付いてしまったアーダムの純情、見事な珠の如きサフィアーンの純真さ。
三者三様の世界が、色鮮やかに立ち上がる。
 彼ら三人の物語が終わっても、物語は続く。
 なぜなら、語り手と聴き手がある限り、物語は存在するのだから。物語は不滅なのだから。

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紙の本

幻想文学の新たな傑作

2003/01/03 03:58

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:榎本秋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 2002年のSF大賞を受賞し、推理作家協会賞とともに二冠に輝いた作品である。
 私が、この作品と出会ったのは2001年の末のことであった。
 この作者のことは、雑誌「ログアウト」で連載されていた『砂の王』という作品で知っていたからだ。ログアウトと休刊と共に、連載中止になっていたこの作者と再び出会ったのは、一般小説の世界でであった。
 そんな作者の本格的幻想文学作品が本書であった。
 一般書からすると大変高価な作品であったので購入に躊躇をあったものの、キャプションに惹かれて購入してしまった。そして、読んでみて驚いた。そこには、あの『砂の王』の世界が広がっていたのだ。そう、本書の劇中劇として展開される物語こそ『砂の王』であったのだ。その後、春過ぎから各媒体で傑作として取り上げられ2002年を代表する傑作と言われるまでになった。
 だが、私としては、貪るように読み、その重厚な世界観の虜になった『砂の王』があるていど趣を変えてとはいえ作品として閉じこめられ得たことこそが満足であった。

 是非、氏には濃密な幻想文学を書き継いでもらいたいと思う。

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紙の本

夜の種族に、なる

2003/05/16 04:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:木こり - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読後に体中を支配するのは満足感や達成感、ではなく、解放感だ。憑物がとれたような感じ。実際、霊などに憑かれたことはない(と自分では認識している)のであくまでも“感じ”なのだが。でもやはり憑かれていのだと思う、この物語に。

 本書の価格は2700円(税別)。これは結構なお値段である。少なくとも私に購入を逡巡させるには充分だった。文庫になるまで気長に待とうかなどと考えている間にも、世間の評判は高まり、帯には賞の名前がふたつばかり並んでいた。決して大げさではなく、清水の舞台から云々という気分でついに、ようやく、買ってしまった。さて、それでは値段分の価値があったのか、といえば————やめておきましょう、そんな野暮な話は。
 描かれているのは『災厄の書』とよばれる物語と、その物語をめぐる物語である。『災厄の書』とは、読み出したが最後、“その内容に魅入られて余所目にはほとんど茫然自失の態となって、書物の世界に没入してしまう”という危険な書物。平たくいえば、「もうとにかくむちゃくちゃ面白くて、仕事なんかやってらんない!!」という状態になってしまう、とんでもない本なのだ。でも、読書好きならこんな経験、一度はしてみたいもの。というわけで、さっそく経験させていただきました。
 時に美しく、時に勇ましく、時に禍々しく、時に滑稽に、物語は語られる。変幻自在の魅惑的な文章と、これでもかと並ぶ“それらしすぎる嘘”。あっという間に虜だ。真夜中(もしくは明け方)になっても本を閉じるのが惜くて、開いたまま眠ってしまったこともしばしば…まさに『災厄の書』。睡眠時間と体力をすっかり削られてしまった。

 無事に読み終えることができて、ほっとしている。これでしばらくはゆっくり眠ることができる。でもきっと、またこの本を開くことになるだろう。再び憑かれるのは覚悟の上だ。“夜の種族”よろしく、昼間の倦怠感と引き換えに夜の興奮を求めて(決して2700円の元を取ってやる、というせこい考えからではない。既に十分、十二分に元は取った)。

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紙の本

現代のアラビアンナイト

2003/01/04 00:08

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紙魚太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

物語は進む。果てしなく。ページが尽きることを恐れてはならない。なぜなら、物語はこの本の中で完結し、転成し、輪廻するのだから。
 「アラビアの夜の種族」。圧倒的な物語。文字通り物語は語られるものであって、読むものではない。この書を読みながら、読者は読者ではなくなる。ページをめくっているのではなく、「夜のズームルッド」の語る譚に耳を澄ませている自分に気づく。第一部とも言うべき「アーダム」の物語の美しさはどうだろう。神話といっても良い、自由さと奔放さのうちにゆったりと進む物語は「譚」の文字が似つかわしい。全てを忘れ、のめり込み、最後のページにたどり着いたとき、読者は自分が新しい物語の入り口にいることを悟る。ここからは、あなたが物語を紡ぐのだ。「糸杉」にかわって「アイユーブ」の物語を。正に、現代の千一夜物語。これだけの物語が日本で書かれたことに素直に喜びたい。「単行本は高いからなあ」と考えているあなた。600ページ以上の2段組である。文庫になっても、各巻800円の全3巻ぐらいにはなる。なにより、この本は1冊になっていることに意味がある。決して高くはない値段だ。小さい頃、物語に夢中になった時の幸福感にどっぷりと浸かることのできる1冊である。
 疑問点が無いわけではない。注文だってつけたくなる。「アーダム」から続く物語を、「ファーン」の子供達がどのようにして知り得たのだろうか。しかし、野暮な質問はせずに自分で物語を作って行こう。「サフィアーン」からに違いない。「サフィアーン」の中に眠る「アーダム」の記憶が何年か後「サフィアーン」に語らせたのだ。話を聞くのは「ファーン」の子供達。ひょっとすると、またどこかで2人の拾い子は、会っているのかもしれないぞ。それとも大魔術師の血がすべてを悟らせるのかも。「サフィアーン」の子孫と「ファーン」の子孫はやがて夜の種族として闇の世界に生きる。物語を作るものと語るものに分かれて。「ファーン」の血が「サフィアーン」の血を語ることにより、2人は永遠に生きてゆくのだ。書物はやがて著者の手を放れ、それぞれの聞き手の中に独り立ちして行くのである。

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紙の本

これだから読書は止められない。

2002/04/25 13:33

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:AMT - この投稿者のレビュー一覧を見る

ながいこと日本人作家の新刊小説には失望していて、外国人作家や日本の古典ばかり読んでいました。
でも、たまたま見つけた『13』を読んで「お、この人は」と古川日出男氏に興味を持ち、読んでみました。
すごい。
「秘密の書」という設定といい、時代設定、地下迷宮の描写、登場人物のキャラクター、そしてぐいぐい持っていかれるストーリー展開、すべてに圧倒されました。
こんな本に会えるのは年に数回だと思うけど、これがあるから読書はやめられない。
「物語を読む楽しみ」を再確認させていただきました。

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紙の本

全首肯

2002/08/20 04:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 刊行してからさほど時間がたっていないのにもかかわらず、この本については、すでにさまざまな風聞があるようだ。
 いわく、アラブ的な風俗・ディテールをよく再現している。
 いわく、「物語」に翻弄される快感がある。
 いわく、ルビを多用した、装飾過剰な文章の面白さ。
 いわく、ナポレオンのエジプト遠征などの「史実」と虚構が交差する、という「仕立て」への興味。
 いわく、「ファンタジー」としてよくできている。
 云々。

 その上、いまさらなにをつけくわえる事がありましょうか。
 ただただ、そのすべてを首肯するだけでございます。

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紙の本

没頭して読みました

2002/06/27 23:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:える - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み始めは退屈な物語かと思ってしまったのですが、「災厄の書」という単語が登場した時から俄然面白くなりました。もう止められない。
実は事前に知り合いが酷評していたので、期待せずにいたのですが、とんでもない。ファンタジーとも言えるその内容。同時進行する話と物語。登場人物の描かれ方、その厚み。全てに引き込まれました。
最後のどんでん返し、その結末には思わず唸ってしまったほどです。
読まずにはいられない、その物語に惹きつけられずにはいられない「災厄の書」を私も手にしてしまった気分でした。

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紙の本

内容は文句なしにすばらしいです。

2004/05/01 01:51

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:青白いくじら - この投稿者のレビュー一覧を見る

キャラクターは個性にあふれ、食べ物や暮らしも生き生きと描かれています。災厄の書、地下迷宮、生きた剣、魔術、蛇神…とくれば、読者を引きつける引力も十分。そういうテーマは全編で無数に散りばめられ、あたかも幾多の宝玉で装飾されたかのようです。とても魅力的な本でした。
しかし、この本の読者はおそらく、とても気に入る人と、とても気に入らない人の集合に二分されると思います(それはどの本もそうかもしれませんが)。内容はすばらしいのですが、僕の場合、とにかく読むのに時間がかかりました。なぜ時間がかかったかというと、歴史的な事柄を読むのに手こずった、などということではありません。最後まで特徴的な文体になじめなかったたのです。この本を好きになれるかなれないかの分かれ目は、著者の文体になじめるかなじめないかにかかっているのではないかと思います。文体の特徴を挙げると、まずは特徴的なルビ。これは、創意工夫がなされていて、物語に彩を加える道具としてうまく機能していたと思います。少なくとも、僕は好印象を覚えました。では、何になじめなかったかというと、あまりうまくはいえないのですが、文の切れ目や倒置的な配置です。詳しくいうと、一行だけ改行されてぽんと置いてある文章や、長い主部や装飾部が倒置用法で後に書かれている「…で」「…として」「…に」などという書き方をどうしても好きななれなかったのです(これでも要を得てないかもしれません)。この文体が、最後まで気にならないようにしても、どうしても気になり続け、読書の流れに乗ることができませんでした。
悪口を書いてしまったように見えるかもしれませんが、そうではありません。文体が気に入った方、またはまったく読んでいて抵抗がない方、さらにいえば物語がおもしろすぎて文体などまったく気にならない方にはこれほど魅惑的な本はないと思います。すばらしい物語なので、冒険を求めている方、読書家でこの本が未読な方はぜひ一度読んでみてほしい、とオススメしたくなる本です。

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紙の本

きらびやかな闇の幻想譚

2017/07/14 13:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

華やかな毒が散りばめられた作品です。読み進めていく度にほとんど悪酔いのような酩酊感を覚えます。これだけの大風呂敷をきちんと畳む手腕は見事でした。

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紙の本

剣と魔法と知恵と書物の幻想小説『アラビアの夜の種族』

2002/02/24 10:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BP - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ナポレオンによるカイロ進行の緊迫感と、狂気を呼ぶ物語が誕生していく夜の語りの静謐感、そして語られた物語『災厄の書』の持つ幻惑感、これらの重層的な織物が『アラビアの夜の種族』である。

 まず冒頭わくわくさせるのは、読むものを狂気に導き歴史さえも覆す一冊『災厄の書』の紹介のくだり。そしてその物語が今、作中作として語られるのである。
 ここで思い出したのが、川又千秋の『幻詩狩り』(中公文庫)。これも人を狂気に導く「時の黄金」と題されたテキストをめぐる物語だった。しかしテキスト自体の全貌は描かれていない。
 古川日出男はその狂気の一冊をまるごと小説の中で描ききろうというのである。冒険的試み。読者に宣言した上で、小説家として挑戦を挑んだ覚悟は凄いと思う。そしてその結果は、重層的な読後感とともに我々読者の前に現出する。

 幻想小説として一般的な剣と魔法と知恵の対決。この部分の描きこみも素晴らしいが、『アラビアの夜の種族』では書物の対決という魅惑的なもうひとつの要素が重要な位置を占めている。小説家の挑戦、その当然の帰結として。

 まずいくつかの図書館が登場する。『13』(角川文庫)で、主人公橋本響一の幼児期を図書館を舞台にして印象的に描き出した古川日出男は、ここでも魅力的に図書館を描写している。アーダムが赴いたゾハルの「書物の建築」、イスマイール・ベイが『災厄の書』に耽溺するカイロの図書館、ファラーが訪れる地下迷宮の奇人都市で本男が管理する図書館。
 物語において魔術と同等にキーとなるのがこの図書館の書物である。地下迷宮の対決の中で、「誤読」「著者」「筆致」という言葉がたんなるメタフィクションのたわ言としてだけでなく有機的に物語を紡ぐ言葉となる瞬間。小説読みの醍醐味が味わえる幸福な一瞬がここにある。

 そして語られる後日談。『災厄の書』を作り出したもう一人の主人公アイユーブの真実。ここでも書物が登場する。

 言葉にこだわる異能作家の挑戦の成果は、剣と魔法と知恵と書物の重層的な幻想小説として我々の前に結実した。

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紙の本

シャフリヤール王の心を癒したのが「アラビアンナイト」。ナポレオンを夢中にさせたかった「災厄の書」。私にはただ眠たかった「アラビアの夜の種族」

2005/08/12 00:31

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

2001年12月に刊行された本著を積読していました。先般、著者の『ベルカ吠えないのか?』が直木賞の候補にあがったことから、当時大変評価の高かったことを思い出して読んでみました。日本推理作家協会賞、日本SF大賞を受賞しています。
1798年オスマン帝国の統治力が衰え、非アラブ系の奴隷軍人(マムルート)たちが実質的に支配していたエジプト一帯をナポレオン軍が侵攻する史実を背景にして書かれています。これを迎え撃つカイロのマムルートの一部にとんでもない奇策が用意されています。それはナポレオンに「災厄の書」というあまりにもおもしろくて読む人の心を虜にし、腑抜けにさせてしまう幻の書籍を献上し、戦意喪失、撤退を促そうというものです。この奇想天外の発想は光っていました。
事実としてナポレオンは現地人の抵抗とペストに悩まされ、イギリス・オスマン帝国に降伏、帰国を余儀なくされるのですから、この「災厄の書」が奇跡的に功を奏する一大伝奇小説であろうと読み始めの期待はふくらみました。
ナポレオンのカイロ占領というヨーロッパの圧倒的力を前にした、イスラムの宗教思想、文化、市民の生活、国家体制などの混乱や再生が触れられているものと思っていました。特に現在、イスラム文化対欧米文化のコンフリクトで地球規模の悲惨が拡散しているところですからね。
それよりなにより、小学生の時に胸躍らされたあの『千夜一夜物語』です。美しい乙女と一夜を共にしては殺す暴虐のシャフリヤール王が美姫シエラザードの語る不思議な物語に魅了される。佳境に入ると「つづきは明日」とされ、千夜にわたり、ついに殺すのを止めたという、夢と冒険の世界が豪華絢爛に展開するものと思いこんでいたのです。
ところが、二段組み六百数十ページの重量級にもかかわらず、著者が研鑽したであろう政治・経済・外交・文化についての地域性、時代性は全く描かれておりません。まして歴史観など片鱗もなく、ただただ「災厄の書」をながながと叙述するのです。
ナポレオンに撤退を決意させるほど読者を夢中にさせるという作者が創った「災厄の書」ですが、文体は日本の現代若者が使う俗な口調でしかも広辞苑にしかでてこないような難しい熟語を妙ちきりんに混入させ、異国の古典らしい風格はまるでない。内容はこれがなんとも平板な妖術合戦の繰り返しで、夢中になるよりも眠くなってしまうのでした。
これはテレビゲームのジャンルにあるロールプレイングゲームの発想ではないのだろうか。やってみたことがあります。プログラミングは一貫した理屈で構築されている。モンスターと戦闘を繰り返す。だんだん強いモンスターがでてくる。最強の相手をやっつけて架空世界の危機を救う。はじめはおもしろいと思ったけれど、こちらのキャラクターも経験値を積んでどんどん強くなって、しかもメモリー機能で再スタートする。最終の敵との交戦はクライマックスであるはずなのですがその緊張度は最初の敵とまったく同じレベルですから、達成感がなく、あれれと、終わってしまう。それをつまらないと感じる、私などはそんな世代にある。
寝食を忘れ勉強を忘れ友達づきあいも忘れてテレビゲームに没頭する子どもが多いらしい。ナポレオンにテレビゲームを献上していたらカイロも救われたかもしれませんがこの「災厄の書」は見向きもされなかったのでしょう。小説ではさすがに触れていませんがナポレオン軍は3年にわたって占領していたわけですから。
小説の手法にメタフィクションという型があるらしい。単純な作中作もそういうのか小説の成立をテーマにした小説を指すのかよくわかりませんがこの作品は作者の「まえがき」「あとがき」を含めて二重三重のパズル構成になっていたようです。安直さが目立つだけのこの構造も感心できません。
私にとっては「最悪の書」だったわけです。

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紙の本

担当編集者からのメッセージ〜物語にまどろむような、本の姿が見えてきた

2002/04/16 22:24

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:郡司珠子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 完成したのは、多層的で無限に広がる物語世界だった。
 圧倒される思いで、制作は進んだ。

 イメージは、「燃え立つような表紙」。物語が、もっとも立つ絵柄。
 官能的で、且つ広がりのある世界をと選んだ装丁画だが、実は当初の候補はまったく別のものであった。

 名前は秘すが、現存するアメリカ人画家のタブローをどうしても使用したかった。あらゆる策を弄し、かなり近いところまでは辿り着いたのだが、ついに画家本人とはコンタクトがとれなかった。
 絶望的な思いで資料を繰っていたとき、突如として現在の表紙、FLAMING JUNEの絵が現れた。物語にまどろむような、本の姿が見えてきた。小説が絵を引きよせてくるような瞬間だった。

 使われなかった絵柄を、想像しながら読んでみてほしい。
 物語の裏に潜む、また別の物語を想像しながら。
(郡司珠子/角川書店書籍事業部)

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