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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.1
- 出版社: 産業図書
- サイズ:22cm/343p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7828-0139-4
- 国内送料無料
紙の本
メロドラマ的想像力
著者 ピーター・ブルックス (著),四方田 犬彦 (訳),木村 慧子 (訳)
メロドラマとは何か。ユゴー、バルザック、ジェイムズといった19世紀の偉大な劇作家、小説家の作品を中心にして、そこにいわゆる「メロドラマ的想像力」がいかに働いているかを分析...
メロドラマ的想像力
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商品説明
メロドラマとは何か。ユゴー、バルザック、ジェイムズといった19世紀の偉大な劇作家、小説家の作品を中心にして、そこにいわゆる「メロドラマ的想像力」がいかに働いているかを分析し、この想像力の系譜を辿る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ピーター・ブルックス
- 略歴
- 〈ブルックス〉1938年生まれ。イェール大学教授として比較文学とフランス文学を講じている。
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紙の本
人生は浪花節であり、メロドラマだ!
2002/03/06 22:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:海野弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はたまたま二本の映画『ムーラン・ルージュ』『耳に残るは君の歌声』と劇団四季の舞台『異国の丘』のプログラムをつづけて書いたのだが、三つの作品がいずれもミュージカルの形式をとっているのが気になった。
ミュージカルは一九五〇年代にはやったのだが、その後すっかり時代おくれになったと見られていた。なぜ今、ミュージカルなのか。
ところで〈メロドラマ〉ということばがある。メロドラマだ、というと安っぽいお涙ちょうだいの話だということになる。〈昼メロ〉ということばもある。昼すぎに流される主婦むけのテレビ・ドラマであり、これも軽蔑的ないい方だ。
しかしメロドラマはもともとメロディ・ドラマ(音楽劇)の意味で、ミュージカルのことなのだ。十九世紀初頭のヨーロッパでメロドラマがはやった。派手な舞台装置のスペクタクルで、嵐にもまれ、苦難の人生を行くヒロインといった、ドキドキハラハラ、そして泣かせる芝居だった。
『メロドラマ的想像力』は、馬鹿にされているメロドラマの中に現代の想像力があるのではないかという。ところで私はこの本を、シェイクスピアを現代化してみせた演出家ピーター・ブルックのものと思って手にしたのだが、よく見るとブルックスで、別人で、文芸批評家であった。
ブルックスによると、メロドラマは、神の正義、聖なる秩序がなくなってしまった近代において、善悪のわかりやすい対立によって、なんとかモラルを表現し、理解させようという試みなのだという。それなら昼メロにも、田中真紀子・鈴木宗男を善玉悪玉として演出するワイドショーにも意味があるわけだ。
そしてニューヨーク・テロに対する正義の戦争を掲げ、オリンピックの開会式でも、強きアメリカを演出するアメリカも、巨大で、わかりやすいメロドラマを私たちに見せようとしているのだ、といってるかもしれない。 (bk1ブックナビゲーター:海野弘/評論家 2002.03.07)