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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.2
- 出版社: NTT出版
- サイズ:18cm/221p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7571-4034-7
紙の本
この時代に想うテロへの眼差し
2001年9月の同時多発テロ以降に書かれた3つのテクスト、1993年に発表された「サラエヴォでゴドーを待ちながら」、1999年の大江健三郎との往復書簡、2001年2月の講...
この時代に想うテロへの眼差し
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商品説明
2001年9月の同時多発テロ以降に書かれた3つのテクスト、1993年に発表された「サラエヴォでゴドーを待ちながら」、1999年の大江健三郎との往復書簡、2001年2月の講演「戦争と写真」などを収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
二日後・於ベルリン | 13-18 | |
---|---|---|
一週間後・於パリ | 19-26 | |
数週間後・於ニューヨーク | 27-48 |
著者紹介
スーザン・ソンタグ
- 略歴
- 〈ソンタグ〉1933年ニューヨーク生まれ。シカゴ大学、パリ大学などで学ぶ。批評家・作家。米国で最も精力的な知的営為を続ける批評家のひとり。著書に「反解釈」「火山に恋して」など。
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著者/著名人のレビュー
「混濁した声」と、...
ジュンク堂
「混濁した声」と、本書の著述をソンタグ自身は性格づけている。これという現実に向かって、ときには立場や秩序、理性を鞄に詰めて背負い、体を、または魂を、知性を運んで、ともかくそこへ馳せ参じる。(中略)
だが最近だけでも、湾岸戦争時、セルビア空爆時、そして今回の世界貿易センタービル攻撃に際しても、通信を交わしたり、たまたま同じ都市に滞在していたりで、ソンタグの講演やテクストを私が訳すという巡り合わせになった。
そのたびに強烈な触発を受ける。ここは正直に言おう。ソンタグの発言が正しいか否か――もっと卑劣な次元で言えば、受け売りするのに役立つものか否か――という次元ではなく、その徹底した思考にである。真摯な一個人として屹立し、なお、そういう存在に不可避的なものとしての、他者への共感や「もうひとつの現実」への洞察。そのうえで、絶え間なく、みずからの思考を点検し修正する姿勢。「同意見」であることよりも、「同姿勢」でありたいと思わせるのはそこだ。(後略)(「訳者後記」より)
出版ダイジェスト:2003年8月
テーマ『テロ、イラク戦争、有事法制…平和への道につなげたい』より
紙の本
「911」の前と後。ソンタグの胸中で揺れ動くものと不動のもの。
2002/02/15 01:32
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投稿者:小林浩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家の仕事とは、「つねに複合的で曖昧な現実をまっとうに扱う」ことであり、「常套的な言辞や単純化と闘う」ことだ、とソンタグは序文で述べている。その気概が、「911」前後の時事的なテクストをまとめた日本独自のエッセイ集である本書には、あふれている。第一部では、「911」以後にニューヨーク、ドイツ、イタリアの各新聞に寄稿したテクストが集められており、第二部では、有名なボスニア内戦論(1993年)、大江健三郎との往復書簡(1999年)、戦争と写真をめぐるアムネスティ講演(2001年)、エルサレム賞受賞講演(2001年)が収録されている。もともとは数年前から編集企画が進められていたが、「911」を境に作業を急いだとのこと。時宜を得た出版であり、テロ事件関連の類書と比べてもソンタグの批評の特異な位置は、必読に値する。
特記すべきことのひとつは、彼女自身が言うように「911」以後の発言には「変わらない印象」と「何段階か揺れた悲嘆」が見られるという点である。事件から二日後の第一のテクストには、アメリカの世論や政治家の発言に対する明らかな不快感が読み取れる。ソンタグはこの一文によって国内で激しい非難に晒されるわけだが、一週間後の発言では、直裁的な反政府色よりも反テロの意識が前面に出始める。数週間後の発言においては、国内の画一的な世論や政府の対応を鋭く批評しつつ、報復や全面戦争は馬鹿げているが、軍事的な反テロ作戦は必要である、と説く。本書におけるその都度の彼女の立場はともすると複雑に見えるが、基本的に明快であり、一貫してもいる。現実に向き合うその真摯さには学ぶべきことが多い。本書は時系列に添って第二部から読み始めるのがいいだろう。
※併読をお奨めします→サイード『戦争とプロパガンダ』、チョムスキー『9.11』『「ならず者国家」と新たな戦争』
※ここ十年間の様々な戦争と世界情勢を振り返るために→毎日ムック『新たな戦争』
人文・社会・ノンフィクションレジ前コーナー2月12日分より
(小林浩/人文書コーディネーター・「本」のメルマガ編集同人)