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商品説明
デジタルやアナログという言葉が発生する以前から、著者が全国各地を歩き取材してきた街の文字たちを集めた1冊。百度石、のれん、大漁旗、看板など、人間の息づいた生活を彷彿とさせる数々の文字をモノクロ写真で紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
伊藤 紘
- 略歴
- 〈伊藤紘〉1944年横浜市生まれ。デザイナー、版画家。県展で神奈川県知事賞受賞以来、文字デザインコンペでの受賞多数。日本タイポグラフィ協会会員。著書に「版画作品集・染め文字」がある。
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紙の本
年賀状が活字で送られてくる時代に手書き文字を味わう。書き文字は下手でもすでにデザイン域。
2002/04/19 22:15
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投稿者:片岡直子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を読むと、手書きというのは、すでにデザインの域に達しているのだなということを、しみじみ感じる。
まだまだ手書きの世界にも十分生きていると思っている私のような者にとっては、特に素晴らしいものではなくても、というか、かなり怪しげなものでも、活字ばかりの生活に慣れている人の目には、新鮮に映るかもしれない。それは、海外の人が日本語を見る感覚に近いだろう。
「三木露風の筆塚」「清酒 飛騨自慢」「奉納 川越大師」「塩釜馬具店」「木曽名産 お六櫛」。
そう考えながら、本書を読むと、ただ古いとだけ思っていたものに対しても、微笑ましささえ、感じられるようになってくる。
それは言い間違いをする、小さな子供をいとおしがるのにも似ている。
本書では、それらを、「願かけを見つめる文字」「大漁に湧く文字」「書き込まれた文字」「存在を残したい文字」「清めの場での文字」などに分類し、それぞれに鑑賞を加えている。
なかでも、「集合する文字」では、日ごろ思わず目をそらしてしまいそうなほどに、びっしりと集合した文字が、これまた一か所に集められ、鑑賞に値するものとして提示されている。
お寺に寄付をした人々の名前、子供たちの教室での習字、倉庫に積み重ねられたすのこ、そして、堤燈などなど。呑気に眺めていると、書き込んだ人の怨念や執念のようなものに、飲み込まれそうになる。
手書きの文字は、極限まで消えてゆく運命にあるかもしれない。
そういう時、真っ先に資料になりそうな文字が、本書にはびっしりと並んでいる。
普段歩いている道では、例によって不注意により見逃しているかもしれない。
きょろきょろ辺りを見回して、歩いてみることにしよう。 (bk1ブックナビゲーター:片岡直子/詩人 2002.04.20)