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紙の本
すべてはネーミング (光文社新書)
著者 岩永 嘉弘 (著)
「買わせる」ネーミングをする、いわゆる「名付けビジネス」の第一人者が、10字にも満たない言葉の中に、商品の魅力、言葉自体の楽しさ、そして時代をぎっしりと詰める極意を明かす...
すべてはネーミング (光文社新書)
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商品説明
「買わせる」ネーミングをする、いわゆる「名付けビジネス」の第一人者が、10字にも満たない言葉の中に、商品の魅力、言葉自体の楽しさ、そして時代をぎっしりと詰める極意を明かす。【「TRC MARC」の商品解説】
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ネーミングも世につられる
2002/03/07 10:59
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投稿者:青月にじむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
コピーライターの仕事の中でも「ネーミング」というジャンルに特化した仕事をしている方のネーミングに関するあれこれ。広告につけるコピーというのも限られた長さの中で、どれだけイマジネーションを膨らまして製品の特長と顧客(つまり売り手)の意図をターゲット(つまり買い手)へ訴求するか、ということを、その時代時代に即した、有効な方法を模索しながらつくっていくものなのだと思うけれど、何しろ「ネーミング」はそれらをひとつの言葉に集約させなければならぬという宿命を持つ。大体、長い名前なんか覚えてくれる訳無いからね。どれだけ目を惹いて印象に残るか。そして、好もしいと思ってもらえるかが一般的には勝負なのだろう。
ネーミングの基本から、今まで数多出てきた中でも秀逸なネーミングの数々を解説とともに紹介し、「ネーミング」というものがいかに時代に即した(場合によっては半歩先取りした)存在であるかを思い知らされる。製品であればパッケージ、モノという形で見えないものでも視覚に聴覚に訴えていく。そういう仕事の効果的な「方法」を知っているのが、こういったネーミングを主な仕事にされる人たちなのだろう。言葉の職人ともいうべきか。
実際に話があって調査・候補確定・プレゼンテーション・採用という流れの中でどのようなことを考慮するのか、とか、それを応用しての雑誌のネーミングシミュレーション、なんてものも紹介している。それらを見ると、もっともこの商品に合っていると思われるひとつの言葉を選ぶために、一体どれだけの言葉をひねり出しているのか、そして、どれだけの言葉が(採用の裏で)捨てられていくのかを思うと、「言葉供養」なんてものがあってもいいような気がしてきた。そして、これだけ「言葉」に真摯な態度を見るにつけ、「言葉」というものの大切さ、そのものの力というものに改めて気付いたように思う。
帯にもあるが、著者は小淵沢駅の駅弁「元気甲斐」や女性雑誌「Saita」、六本木の高級スーパー「FOO:D magazine」、JR東日本のプリペイドカード「iOカード」などなどのネーミングをしてきた方の話で、今も第一線で活躍されているようだ。こういう、現場の、それも優れた仕事をしている人の話は本当に面白い。最後の方に、雑誌記者時代やコピーライターに転身した頃の話などが綴られているのだけれど、広告のコピーという存在をひとつの「仕事」としてここまでのものにしてきた道筋がそのまま日本の高度成長期以降の日本の姿をあらわしていて非常に興味深い。それ以前は、モノ自体があれば売れたのだ。高度成長期以降、技術が進歩し、人々の要求が多岐に渡ってきたことで製品の存在そのものが拡散し、他製品との差別化のためにはじめて「ネーミング」というインパクトとイマジネーションの効果を欲したということだろうか。
そんな訳で、私自身、自分が生きてきた道を振り返りながらとても楽しんで読んだのでした。そう考えると生まれたときから消費生活にどっぷり漬かってきたのだなあと思う。