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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.3
- 出版社: ダイヤモンド社
- サイズ:19cm/239p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-478-90006-X
紙の本
3日でわかる哲学 (知性のBasicシリーズ)
著者 坂本 百大 (監修)
哲学は神の存在を証明できるか? アリストテレスは256種類の三段論法を考えた、「無意味」の一言で結婚が破綻した論理実証主義者、科学技術が生み出した新たな生命倫理の問題点、...
3日でわかる哲学 (知性のBasicシリーズ)
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商品説明
哲学は神の存在を証明できるか? アリストテレスは256種類の三段論法を考えた、「無意味」の一言で結婚が破綻した論理実証主義者、科学技術が生み出した新たな生命倫理の問題点、など、哲学の基本と常識を解説する。【「TRC MARC」の商品解説】
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現代のトラクタート?
2002/04/24 20:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学は鉄棒の逆上がりと似たところがあって、わかってしまうとなぜわからなかったのかが皆目わからなくなるし、いったんわからなくなると何がわからないのかがそもそもわからない。
養老孟司氏は芸術作品が鑑賞者の脳に引き起こす活動が作者の脳活動に近いほど鑑賞者にはその作品が「よくわかる」はずだと書いている(『人間科学』)。私は哲学の問題が問題であるためにはそこに「哲覚」とでも名づけるしかない言語化不可能な感覚(養老氏によれば言語とは本来そういった主観性=「クオリア」を排除することで情報の基本的性質としての不変性や共通了解可能性を確保してきたものなのだから「言語化不可能な感覚」とは畳語にすぎない)が関与しているに違いないと考えているのだが、そうだとすると感覚には脳内過程が随伴しているのだから哲学にも養老氏がいう芸術作品と同様の事態がなりたつことになって、わかるかどうかは哲学の問題をかかえている人(かかえてしまった人)の脳活動の様態いかんによることになる。
だからわかる人は3時間でもわかるだろうしわからない人は3年かけてもわからないだろう。そこには「わかる」から偉いとか立派だといった問題はそもそも発生しない。
それにしても本書は随分とバイアスのかかった哲学入門書だ。監修者はまえがきで、科学は再び「諸学の学」すなわち「科学哲学」であろうとしている、と書いている。この編集方針をバイアスというのではない。扱われる科学がかなり生物学に偏向していることをいうのでもない。それはそれでひとつの見識だと思う。執筆陣(江川晃、金森修、河本英夫、高橋昌一郎、田中裕、樽井正義、西脇与作、成田毅)がいったいどのような読者層を想しているのか疑ってしまうほど唐突に概念や自説を提示し、しかも信じられないほどに圧縮された字数の中で語っていてろくに参考文献も示さない、そのおよそサービス精神の欠けた徹底的な利己的な姿勢をバイアスと表現したのだ。
実をいうと私は本書をくさしているのではない。結構面白く読んだし(書かれていない部分に)刺激も受けた。3日で分かる? こんな分量で何が書けるのか! そんな憤りを覚えながらしかも手抜きをしない潔さ。ベンヤミン流にいえば、本書はモザイクのように思考細片がつめこまれた現代のトラクタートなのだ。