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実在論と科学の目的 W・W・バートリー三世編『科学的発見の論理へのポストスクリプト』より 下
著者 カール・R.ポパー (著),小河原 誠 (訳),蔭山 泰之 (訳),篠崎 研二 (訳)
ポパー哲学集大成の書として、1980年代に刊行された「科学的発見の論理へのポストスクリプト」(全3巻)中、第1巻の待望久しい邦訳。下巻では、験証の理論を詳細に定式化した章...
実在論と科学の目的 W・W・バートリー三世編『科学的発見の論理へのポストスクリプト』より 下
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商品説明
ポパー哲学集大成の書として、1980年代に刊行された「科学的発見の論理へのポストスクリプト」(全3巻)中、第1巻の待望久しい邦訳。下巻では、験証の理論を詳細に定式化した章および確率論を収める。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
カール・R.ポパー
- 略歴
- 〈ポパー〉1902〜94年。ウィーン生まれ。哲学者。第二次大戦後イギリスに移住し、ロンドン大学教授をつとめた。批判的合理主義の提唱者。著書に「科学的発見の論理」など。
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本書目次
2002/04/11 21:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
【目次】
第1部——批判的アプローチ
第4章:験証 1
27. 験証——確実性,不確実性,確率 1
28. 「験証」か「確率」か 9
29. 験証か確証か 15
30. 験証度の問題 19
31. 験証 23
32. 験証度の定義についての若干の補足 40
33. ヒューマニズム,科学,帰納の偏見 55
補遺——意味分析についての批判的考察 63
第2部——確率の傾向性解釈
第1章:客観的確率と主観的確率 85
1. 確率の意味 86
2. 相対的確率と絶対的確率 87
3. 傾向性解釈——客観的解釈と主観的解釈 91
4. 実験的テストとその反復——独立性 94
5. 論理的解釈 99
6. 客観的解釈と主観的解釈との比較を通じて 104
7. ‘p(a,b)’における‘b’の客観主義的解釈と主観主義的解釈 106
第2章:確率的帰納の批判 115
8. 単純な帰納規則 115
9. 単純な帰納規則がうまく機能ことをどのように解釈すべきか 121
10. ‘p(a,b)’における‘b’の身分についてのまとめ 124
11. 帰納による学習の収穫逓減 134
12. 帰納的学習のパラドックス 137
13. 帰納機械 142
14. 帰納論理の不可能性 146
15. 確率論理 対 帰納論理 149
16. 帰納主義者の確率解釈 153
17. 余計なものとしての理論 159
18. 無意味となる理論のテスト 162
19. 批判のまとめ 170
補遺(一九八一年一月)確率的帰納批判の簡潔な要約 172
第3章:確率の客観的理論についての考察 181
20. 傾向性のために 182
21. 頻度理論が成功する場合 199
22. 頻度理論が失敗する場合 206
23. 失敗の重大さ 213
24. 新古典理論と頻度理論の対比 215
25. 新古典理論の構造 228
26. 単称確率言明 231
27. 主観的理論と論理的理論への追加的批判 236
28. 単独事象の確率の傾向性解釈 241
締めくくりとしての要約,一九八二年 247
原注および訳注 251
下巻訳者あとがき 289
索引 [1-33]
【原書】
Popper, K. R. (Ed. W. W. Bartley, III) 1983.
Realism and the Aim of Science. Routledge, London.
書評: 三中信宏 / 「『ポストスクリプト』における確率論——験証度と確率の傾向性解釈」
紙の本
『ポストスクリプト』における確率論——験証度と確率の傾向性解釈
2002/04/09 22:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書上巻の主題である、仮説のテストに関わる帰納や反証可能性の論議はポパー哲学の中ではよく知られている部分である。それにひきかえ、本書の下巻で論じられているテーマ——仮説の験証度(裏付けの度合)に関わる確率論的論議、ならびに第2部を構成する確率の傾向性解釈の理論は、一般にはほとんど知られていない。
下巻第1部第4章「験証」で、ポパーは、ある背景的知識のもとで証拠が仮説に与える確率の関数として験証度を定義し、その解釈について詳細に論じる。験証度とは「理論がテストに耐えた度合」(下巻,p.19)であり、正当化主義に連なる危険性をもつ帰納論理学の確証度とは異なる点が強調されている。
下巻後半の第2部「確率の傾向性解釈」は、一般の読者にとってはいささかハードルが高いかもしれない。ここでは事象の確率そのものの解釈が中心テーマである。通常の頻度的解釈や主観的解釈を排して、ポパーは確率の傾向性解釈——ある事象が生じる確率はそれを「ひき起こす物理的趨勢ないし傾向性」(p.92)とみなす解釈——を支持する。確率論や統計学の世界では彼の傾向性解釈は必ずしも認知されてはいないが、ポパーは『ポストスクリプト』全体にわたって、彼の解釈をさまざまな方向からテストしている。
昨今のポストモダン科学論の弊害は、多くの科学者が(たとえ言葉に出さなくても)すでに感じ取っている。ポパーの批判的合理主義は、科学とそのあり方について多くを教えていると私は思う。本書の伝えるメッセージを深く汲み取りたい。
今回の翻訳によって、『ポストスクリプト』の前半を占める主要部分が日本語で読めるようになったことは歓迎される。『ポストスクリプト』第2巻『開かれた宇宙』は同じ訳者によってすでに翻訳されており、残るは第3巻『量子論と物理学の分裂』のみとなった。全巻が訳されたときには、ぜひ「ポパー著書・関連書案内」を付けてほしい。
(三中信宏/農業環境技術研究所主任研究官)
【本書目次】