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商品説明
静寂が辺りを包み、人々は息を呑むように2人の男を見つめている。立ち合っているのは、後の「新選組」の2人、土方歳三と藤堂平助だ−。鮮烈なり土方歳三! 冷酷と情熱の男を清しく描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
秋山 香乃
- 略歴
- 〈秋山香乃〉1968年生まれ。活水女子短大で司馬遼太郎を研究。卒業後、歴史サークルを主宰。会誌を発行。「歳三往きてまた」がデビュー作。
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紙の本
土方歳三と藤堂平助
2002/06/23 14:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真田 樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
徳川慶喜による大政奉還から五稜郭までの土方ら新撰組の生き様・死に様。
冒頭は、京に残った近藤勇・土方歳三たち新撰組が京都守護職松平容保の前で試合をするシーンから始まります。この時の描写は竹刀のうなりが聞こえてくるような描写でした。
その後、場面は大政奉還以降の新撰組・歳三の足跡をたどるのですが、節々で藤堂平助を思う歳三の姿があります。
このあたりの歳三の心のゆれや、藤堂平助の描写については、筆名こそ違うものの、著者の前作である「裏切者 Samurai」を一読されることをお薦めしたいと思います(ちなみに書評を書かせていただきました)。
また、捕縛された近藤勇の刑死のシーンでは、隊士相馬主計の視点で描かれる近藤勇の姿に心を打たれました。
以後、戊辰戦争を駆け抜け、五稜郭で没するまでの歳三の姿が鮮烈に描かれています。
紙の本
『燃えよ剣』を越えたか、それは正直いって疑問。史観といった部分が欠落しているからだ。でも、ここに描かれる土方は、司馬の筆になる剛直な土方とは異なるものの、魅力的であることは間違いない
2004/07/29 21:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「新撰組が結成されて4年、王政復古の大号令がかかり、幕府と新撰組の勢いも完全になくなった慶応三年から、明治六年五稜郭で亡くなるまでの土方歳三の短い生涯」歴史小説。
幕末、新撰組を扱った小説には、司馬遼太郎『燃えよ剣』『新撰組血風録』子母澤寛『新撰組始末記』『親子鷹』などの名作がでて、殆ど後続の書き手がいないといってもいい。むしろ、これらの作品から触発され、沖田総司の人生を描く作品などがあらわれるなど、いかに司馬、子母澤の存在が大きいかよくわかる。
この本で描かれるのは、新撰組のその後である。いや、土方歳三と近藤勇、沖田総司のその後でもあるが、ではそれだけかというと、実に魅力的な人物達が登場するので、簡単には言い切れない。多彩な人間達が、滅びるということの美しさを見せる作品とでも言ったらいいのだろうか。
鳥羽伏見の戦い、宇都宮・会津の戦い、函館の戦いを通じて、幕府・新撰組は解体し、滅んでいくが、そのなかで土方歳三は人間の真の姿を見ることで、大きく成長していく。規律をたてに、仲間であろうと容赦なく剣を振るってきた歳三が見せる沖田への愛情、近藤への敬愛。
彼が出会わなければならなかった友の死。それは有名な話なので、書かない。印象的なのは、苦難を乗り越え会津に入った歳三が、怪我をした足の療養のために出かけた温泉で出会った家老の娘との語らいである。彼女達を襲う悲劇を知ると、なぜこの2人がと想わない人はいないだろう。
いや、近藤の死を見つめることで人間的に成長した相馬、近藤を、次には土方を慕い死んでいく玉置。戦闘に巻き込まれ死んでいく少年や少女。そこに沖田の死をみる歳三の胸に去来するもの。その優しさに人間の理想をみると言ったら、大げさだろうか。
明治以降の歴史は、全て勝者の側、薩長土肥と皇室の歴史である。それが第二次大戦を生み、現在の日本の腐敗を生んだ。そろそろ徳川幕府の意味を見つめなおす時期が来ているのだろう。勝海舟のような幕府の人間でありながら明治を作った人々ではなく、滅んでいった人々の声に耳を傾ける時が、やっと来たという思いである。
作家は1968年生まれ。高校入学と同時に小説を書き始めたという。期待をしたいところだが、油断は禁物、このあとで読んだ『柳生十兵衛神妙剣』は、体制におもねる、少しも魅力のない本だった。誰の言葉かは忘れたけれど、やはり男の値打ちは、権力に歯向かってなんぼ、である。
紙の本
土方歳三の魅力
2004/07/09 00:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のなぺんた - この投稿者のレビュー一覧を見る
新撰組というと池田屋事件など京都での活躍を中心に描かれることが多い。だが、この小説は違う。鳥羽・伏見に始まり、果ては函館五稜郭に至るまでのいわば新撰組にとっては“滅び”の過程が中心なのだ。そう、滅びの中にあっても最期まで戦い抜く土方歳三の姿が生き生きと描かれている。そこにはかつて鬼の副長と呼ばれた恐ろしいイメージの土方さんは陰を潜め、残った隊士達に情を見せ、少年隊士には細やかな気遣いを示す優しい土方像がある。勿論、鬼の副長としての気迫が消えてしまったわけではなく……人間としての深みが出てきたと表現したらいいのだろうか。或いは、土方歳三の魅力全開と言った方がいいだろうか(笑)。そんなわけで、隊士達からは非常に慕わている。「この男にどこまでもついていく!」ととことん惚れこまれているのである。 確かにこの小説の土方さんは非常に魅力的だ! 京都時代よりも戊辰戦争を駆け抜けた姿にこそ、私は土方歳三の生き様があったのではないかと思う。