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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2002.4
  • 出版社: 講談社
  • レーベル: 講談社ノベルス
  • サイズ:18cm/211p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-182246-2
新書

紙の本

世界は密室でできている (講談社ノベルス)

著者 舞城 王太郎 (著)

煙になれなかった「涼ちゃん」が死んで2年。15歳になった「僕」と14歳の名探偵「ルンババ」が行く東京への修学旅行は、僕たちの「世界と密室」をめぐる冒険の始まりだった…。本...

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世界は密室でできている (講談社ノベルス)

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商品説明

煙になれなかった「涼ちゃん」が死んで2年。15歳になった「僕」と14歳の名探偵「ルンババ」が行く東京への修学旅行は、僕たちの「世界と密室」をめぐる冒険の始まりだった…。本編が封印された「密室本」。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

舞城 王太郎

略歴
〈舞城王太郎〉1973年福井県生まれ。2001年「煙か土か食い物」で第19回メフィスト賞を受賞し、デビュー。

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みんなのレビュー84件

みんなの評価4.1

評価内訳

紙の本

いろいろなところに密室がある話

2002/04/30 15:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:やすし - この投稿者のレビュー一覧を見る

舞城王太郎にしか書きようのない強烈な個性ぶりに、今作は舞城本人のイラスト、マンガまで加わり、勢い増すかと思いきや、意外にもマンネリを感じる作品だった。
文体が変わらないのはいいとして、話のテーマ、プロット、ミステリーとしての事件・解決パターンが細々とした違いはあっても、全体として前2作と変り映えない印象しか受けず、あまりはまれない。
なぜ作者がここまでのこだわり方をするのか不可解な読後感だった。

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紙の本

ルンババって、ナニモノ?

2003/04/18 01:57

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:山村まひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 あいかわらずの切れ目のない、段落の少ない文章(ものすごく字が詰まってるような気がする)だけど、それでいてサクサク読ませるのはやっぱりスゴイ。

 メインの登場人物は、福井で暮らすの「僕」(西村友紀夫)とルンババ(馬場潤二郎)の2人。
 自宅の屋根から飛び降りて、2日間苦しんだ末に無くなった涼ちゃん(ルンババのお姉さんだ)の死の真相にいたる第1話では、2人は坊主頭の中学生、13歳と12歳。
 続く第2話で15歳と14歳になった2人は、修学旅行で東京へ。そこで思わぬことから知り合いになったツバキとエノキの爆裂姉妹キャラクターが加わり、第3話に突入。
 第4話では、その爆裂姉妹が、ストーカーに付きまとわれて東京に居られなくなった、と言って東京から福井にやってくることに…。ところが…。

 ここからあとが、大量殺人事件になっちゃって、ちょっとびっくりする。
 おまけになんだかすごいトリックだ! なんかバカミスっぽい(^^;)。いや、本当にスゴイって、このトリック、マジで。

 けど、基本は「青春ミステリー」なんだよね。
 友紀夫が19歳、ルンババももうすぐ19歳を迎える、というところで、物語は終わっていて、ラストはなかなか泣ける。
 全編通して、ルンババの推理力とかもすごいんだけど、友紀夫くんのとぼけた魅力というか、そういうのがとっても良かった。こういう友だち、欲しいよね〜〜っ。


   『うたたね通信社』に遊びに来てね♪♪♪

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紙の本

なぜか心暖まる

2002/04/30 01:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Hy - この投稿者のレビュー一覧を見る

 舞城王太郎はこれまでの二作からもわかるように、なかなかにグロさを伴う作品を書いてきている。もちろん読者を戸惑わせる、独特の濁流のような文体は今回も健在。
 本作は、グロさこそ控えめだが、いつも通り舞城節が炸裂。それに、一つが解決したと思ったらまた一つ謎が出てくるように、訳のわからないような事件が連発される。その解決も、ものすごい流れの中で自然に入ってくるので、読んだ後でもあまり記憶に残ってない。これは自分の頭の問題かもしれないが。
 そんなことより、何よりも言いたいのは、そういう文体、事件のラストに待ち受けているのが、爽やかさだからだ。いかにも青春物語のラストらしいラスト。それまでの流れの中から、どうやったらこのラストが生まれるのか、全く予測不可能。でもちょっと感動。いい話でした。

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紙の本

世界は広いはずなのに、たまに窮屈に感じたり、息苦しかったり、という人に贈りたい

2006/03/06 00:53

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けい - この投稿者のレビュー一覧を見る

 普段、テレビ欄以外は寝ぼけ眼で新聞を読む私ですが、紙面の片隅に「密室」の二文字を見つけると、両目全開で記事に食いつきます。そのたびに「密室で行われた談合」といった記事に対して「そんなもの密室でもなんでもないじゃないか!」と突っ込みます。そんな私は毒されているといっていいほど、間違いなくミステリ好き。同じような想いをされたミステリファンのかたも少なくないのでは。
 ちなみにミステリファンの思う密室とは「カギのかかった部屋(の中にある死体)」のこと。どこからも出入りできない部屋から脱出という不可能をどうやって可能にしたか、という謎のこと。
 新聞に小説のようなことが載るわけがない、現実と空想を混同するな、とお叱りの声が飛んできそうです。ご安心を。ミステリファンは本当はきちんと認識しています。現実の世界にはミステリでいう密室はありません。現実の世界で密室も事件も起こらないほうがいいに決まっています。誰かが傷ついたり、誰かを傷つけなくていられなかったり、というのは小説という嘘のなかだけに閉じ込めておかなければならないのですから、それこそ密室のように完璧に。
 この『世界は密室でできている。』は、余白がないほどぎっしりと字で埋め尽くされるほどの「文圧」で、これでもかというくらい密室が登場。しかも、舞城先生は旧来のミステリとは異なるスタンスで密室に向かい合います。結果、ミステリの型を奔放に壊している、といってよいほどの仕上がりに。この作品がすぐれたミステリかと問われれば、長くミステリのファン、特に海外古典を愛してきた私としては、首を縦にふることはできません。ミステリを馬鹿にしているとすら感じてしまいそうになります。正直にいえば、あまり評価をしたくない気持ちもあるのですが、読後、押し寄せてきたものはまぎれもなく感動でした。とてつもない迫力を持った前衛的な青春文学として評価します。
 著者自身もこれを世間でいうミステリとして書いたのではないのでは、と感じてしまいます。この作品での密室の扱われ方はやはり従来のミステリと異なっていますし、なによりこの作品における密室とは「カギのかかった部屋」ではないからです。海外作品では密室は普通、英語では”locked room”と表記されます。本書の副題は”THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS”。著者は”locked(カギのかかった)”ではなく”closed(閉ざされた)”という表記を密室という言葉に用いているのです。
 外のより広い場所へと出て行こうとする生きる意志、新幹線の通過する騒音にかきけされるホームの人の泣き声、作品に散りばめられる挿話にはたえず「閉ざされた」場所のイメージがつきまといます。閉じ込めたり、閉じ込められたり、カギをかけたり、かけられたり、出たかったり、出たくなかったり……。世界は密室でできている。そういっていいほどに私たちのまわりには多くの密室があることに気づかせてくれる一冊です。

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紙の本

誰もが密室を抱えて生きている…舞城ファン必読!!!

2004/09/08 00:01

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:柊ショコラ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 舞城王太郎の三冊目の講談社ノベルス作品。舞城ワールドの出発点たる奈津川家サーガの番外編にして、著者唯一の本格的青春小説。デビュー作『煙か土か食い物』ではあっけなく殺されてしまった名探偵ルンババ12の青春時代の活躍と葛藤が幼馴染みの親友、西村友紀夫の視点から語られるとともに、東京への修学旅行中に運命的に出会うヒロイン井上エノキと友紀夫との、とびきりキュートなボーイミーツガール・ストーリーでもある。その語り口のナイーヴさにサリンジャーを思い出す人も少なくない(例えば仲俣暁生や豊崎由美)。
 しかし、それだけではない。二つの理由からこの小説は舞城作品の中でも極めて重要な一冊である。
 一つは、舞城自らが執筆の舞台裏を明かしていること。基本的に小説とイラストしか発表しないこの覆面作家にあっては極めて例外的と言える。問題の文章は「群像」(二〇〇三年十二月号)の現代小説・演習という企画に掲載された愛媛川十三「いーから皆密室本とかJDCとか書いてみろって。」。奈津川家サーガの読者ならすぐにピンとくるだろう、愛媛川十三=舞城である。この現代小説・演習は、毎回評論家が「こんな小説を読みたい!」とオーダーし、それを踏まえて小説家が短編小説を書くというコラボレーション企画なのだが、この号では奇妙なことに、小説家愛媛川十三が自らの執筆経験を紹介しつつ、他ならぬ舞城王太郎に「完璧な小説」を注文するという自作自演になっている。
 さて、愛媛川十三は『世界は密室でできている。』の舞台裏を次のように語る。密室本の執筆依頼を受けた後のこと。

 アホらしい!と思って断ろうと思ったけど、ちょっと待てよ、(中略)「密室」って必ずしも中に死体があって犯人がどうやって出入りしたんか判らーん!ってことなんか? ホントはほんだけじゃねえやろ?(中略)「密室」って言葉を「閉じ込めること、閉じ込められること」に解体したとき、俺はこの世にいろいろ散らばるたくさんの書くべき事柄を得た。そうなのだ。「密室」って言葉もまたいろんな意味を持ちうる。

 本書へ戻ろう。上の引用と『世界は密室でできている。』という標題からは、舞城が「密室」の意味を空間的に拡張した上で、いわゆる「事件の謎を解く=世界の謎を解く」型のミステリーを企図したように見えるかもしれない。だが、実際に舞城が本書で試みたのは「密室」を一種の特殊な時間を表す概念として描くことなのだと思う。ルンババとエノキは、二人とも尋常ならざる形で姉を失った経験を抱えて生きており、それが少なからずトラウマになってしまっている。姉の死という過去に閉じ込められている。それは年齢を重ねても燻り続ける、人生における「密室的時間」であり、それを乗り越えなければ大人にはなれない。そして、これを解体してやるのが主人公友紀夫の役割なのだ。どんなに密室殺人事件を解決しても壊せない、名探偵ルンババが抱える密室的時間という呪縛、友紀夫はそれを鮮やかに解き放つ。そしてエノキにも約束する。彼女が人生の密室を解かねばならない時がきたら、そばにいてあげることを。こんな優しさもあっていい。
 さて、この小説が重要であるもう一つの理由は、先述の現代小説・演習に愛媛川十三の注文に応える形で書かれた短編「私たちは素晴らしい愛の愛の愛の愛の愛の愛の愛の中にいる。」に求められる。こちらにも西村友紀夫という人物が登場するが、なんと彼は「舞城王太郎」名義で小説を書いている! 登場人物名を別の作品の異なるキャラクターに使い回すのは舞城の常套手段だから鵜呑みにはできないが、こちらの友紀夫のそばにもやっぱりルンババとエノキがいる。それに、思い入れのない登場人物に舞城王太郎を名乗らせるだろうか? 『世界は密室でできている。』とその主人公への作者の深い愛着を感じずにはいられない。 

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紙の本

とりあえず謎解きの部分は、ヨークは分からないのだけれど、会話の楽しさと、そこから浮かび上がる若者のエネルギーって点だけでも、凄いやね。なんたって王太郎さんの密室モンですもの

2003/09/18 21:25

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

講談社ノベルズ創刊20周年記念の密室本の一冊。勿論袋とじ。

舞城王太郎の待望の新作が出る。タイトルを『山ん中の獅見朋成雄』という。福井県西暁の中学生、獅見朋成雄の数奇な運命から立ち上がる神話的世界を描くというのだが、福井県、中学生、舞城王太郎とくると、とりあえず私の頭は、このルンババの冒険ともいうべき『世界は密室でできている』を思い出し、「あれ、ルンババの本名は獅見朋成雄だったかしらん」などと暴走し、長女に「あんたのノートに、僕でもウンババでもいいから、本名書いてなかった?」などと手抜き気味の検索をかけてしまった。

探偵を自認するルンババは、12歳の時、姉の涼子を事故で亡くしている。家出が好きで、ふらっと一人で出かけては、乞食同然の姿になって発見されることを繰り返す少女。両親は、ついに彼女を自宅に軟禁状態に。窓には鉄格子が設けられ、一階では両親が監視する。その眼を潜って屋根に現れた涼ちゃんを見舞った悲劇。運び去られた彼女を、両親は罵倒する。

それから2年、14歳のルンババと15歳の僕は、福井から東京へ修学旅行に出た。クラスの皆からはぐれた僕は、都庁の前で繰り広げられる男と女の壮絶な喧嘩に巻き込まれて負傷する。それが井上椿との出会いだった。なぜか彼女は、怪我をした僕を病院ではなく埼玉県の浦和の井上家に連れて行く。都庁の観光課に勤め、上司の谷口徹との不倫をしている椿の奇妙な言動。そして麻布高校に通う妹の榎との出会い。

どさくさにまぎれて、彼女に抱きつく僕がエノキとのことをルンババに伝えたことから、エノキの電話攻勢が始まり、ストーカーに追われる椿が妹と福井に来る羽目に。死体移動を巡るルンババの珍妙な推理から、意外な結末が。その結果として、エノキは僕の家の養子になってしまう。

そして時は過ぎ、僕は高校三年生となり、エノキは福井文化大学へ入学。探偵ルンババと僕等が出遭った4つの密室と14の死体。そして4つの建物に囲まれた一つの死体。そして、大学受験を目指すルンババは、国立志望の父親の手で家に閉じ込められた。涼子の死に懲りない親たちの身勝手さに、僕の怒りが爆発する。

大きくは三つの密室事件からできている小説だが、連作という形ではなく、あくまで八章からなる長編推理小説。ま、分類に拘らず少年達の性への幻想をあざ笑うかのような痛快な語りと、ハチャメチャな推理が、徐々に現実味を帯びていくのを楽しむのが一番。それにしても、出版社が舞城の文章につけた謳い文句「文圧」というのが実にしっくりする強烈な言葉の羅列は、京極夏彦を除けば、匹敵するものがないほどに面白い。

しかも、各章の扉には舞城自身の手になる漫画が出ているのだが、これが実に達者で、筒井康隆の漫画を彷彿とさせる。しかし、圧倒的に面白いのは、僕の独白と登場人物たちの会話だろうだろう。「パンツ丸見え天国に連れてって」「すげー本物だ。ナマ不倫だ。」「ねえ、君、お姉ちゃんとやったの?」「君の心はマダガスカル島の洞窟みたいに広いって訳ね」こんな珍妙な噴飯ものの会話がてんこ盛りである。

今までの青春推理小説は、青春を謳い文句に、言葉使いだけは流行のものを拝借したものの、其の実、意識だけはオヤジといったものが多かった。しかし、舞城は完全に若者にシンクロしている。それが何とも小気味いい。我が家の中学生娘の共感がよく分る一冊。メフィスト出身でなければ推理作家にあらず、といった感すらある今日この頃。その最右翼がこの人だろう。

で、結論として、この本と『山ん中の獅見朋成雄』は関係があるのやらないのやらは、一方が未読の状態では全く分からず、ただ、多分カンケーナイダローナと思うのである。

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紙の本

世界は彼らのためにある。

2003/07/23 16:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る

  「番場君も嬉しくて泣いてたよー。私はこれ、貰い泣き。
  あはは。『あいつなんであんなこと言ってくれるんやー』って
  言ってたよ番場君。私もホント、友紀夫は凄いと思う。
  あんなことなかなか言えないよ。ありがとう、ありがとうって
  言ってたよ番場君」(P.187より引用)

「僕(友紀夫)」はまだ彼らを守る力はない。
でも、共にカベに挑む友だちがいて、
気が済むまで泣かせてあげられる女の子がいる。

本書は彼が少年になった日から、少年を終えた日までの物語。
裏表紙に書かれた「極上の青春エンタ」の文字に偽りはありません。

青春小説は、瑞々しい生命力を吹き込んでくれるから好き。
だから手に取る機会は多いし、幾つか気に入った作品も
あるはずなのに、今、何も思い出せません。

全て消し飛びました。

舞城さんでさえこの時にしか書けない、
書かれるべくして生まれた作品が備えた
この迫力に吹き飛ばされました。


世界は彼らのためにある。


密室も喪失も暴力の嵐も殺戮も、
少年と少女の成長物語の、ほんの彩り。

過酷な状況に放り込まれても、彼らのまわりは、
いっそ残酷なほど穏やか。

それはまるで、夕暮れ時の誰もいない校舎に
踏み込んでしまったかのように、心ざわつく静けさ。

少年は、命から遠のくような静けさと、
淡々とした残酷さにとらわれがちな生き物だから、
少年を描くのに、この世界観はとてもふさわしい。


本書は、男の子が少年になった日から、
少年を終えた日までの物語。彼の役割は名探偵の助手。

普通はミスリードのための「さくら」か、物語の
「記録者」が主な役目ですが、「僕(友紀夫)」は貪欲です。
名シーンをすべて食い尽くす、非常に例外的な助手。

転がる死体も悔恨も降り注ぐ理不尽も
彼の成長のための養分に過ぎない世界では、
名探偵も例外ではいられません。

次々と襲いかかる危機、毎回「僕」は迷いに迷います。
彼に与えられた力は、少しバカでほのかにHで情けなくて、
これといった特別なものではありません。

しかし、彼は絶対に、ここ一番で間違いません。

飄々とした少年が一瞬だけ英雄になり、
また素朴な少年に戻る。このギアの切り替えが快感。

こんなに「間違えない」少年がいるわけがありません。
それでも、「僕(友紀夫)」は正しい選択肢を選び続けます。

その姿がもたらす爽快感は、やがて、あわく寂しい気配を招き寄せます。

ふり返れば、いびつでみっともないけれど、
間違いなく「芯」はあの場所で作られた。
そして、「今」と地続きなのに、同時に失ってもいる。

そんな、郷愁と切り離せない少年時代を刺激して、
否応なく「中学生」のままの部分をしめつける一冊。

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紙の本

ジェットコースターと回転木馬

2003/04/12 04:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いわし - この投稿者のレビュー一覧を見る

青春ものが好きだ。
ミステリが好きだ。
猟奇的殺人事件ものが好きだ。
独創的なものが読みたい。
こ難しいのは嫌いだ。
読むのに時間のかかる本は嫌いだ。
活字を読むのが嫌いだ。
映画のほうが小説より好きだ。
漫画が大好きだ。
村上春樹の本が好きだ。

以上のどれか一つでも当てはまる方。
是非読んでみてください。

第一作「煙か土か食い物」で衝撃的(まさに衝撃です)デビューを飾った筆者の第三作目。
既に舞城氏の作品を楽しんだ方はもちろん、まだ体験してない方も問題なく楽しめるでしょう。この作品が数作ある彼の作品の中で最も受け入れやすい作品であると思います。長くない割には、舞城作品の醍醐味が全て詰まっています。
そして驚くことに“さわやか”でさえあるのです。
これは彼の作品の中でも本作にしかないテイストではないでしょうか。
基本的にこれはミステリで、人がバッタバッタと死んでいきます。
しかも普通には死んでくれません。はっきり言えば異常です。
それなのにそこに“さわやかさ”が同居しているのです。

その“さわやかさ”はどこからくるのか。
青春ものであるということも一つの要因でしょう。
しかし、実は舞城氏を語る上で欠かせない破壊的な文体、そこに主たる要因があると思われます。
その文体は破壊的で、スピード感があり、とにかく独特で、初めて目にする読者を驚かせることは間違いないでしょう。しかしそこには“静けさ”のようなものも感じられるのです。
まるで村上春樹の作品のような“静けさ”。
これはほんとに読むたびにそう実感します。
私は村上春樹の本も好きでよく読むのですが、舞城氏もきっと影響を受けているだろうなと勘繰りたくなります。
彼のフォロワ—はたくさんいたと思いますが、ここまで見事に消化して、全く別物にしてしまった人はいないでしょう。
そういった意味で、村上春樹のあの独特の印象が好きな人は、きっと好きになれると思います。
物語の内容はジェットコースターと回転木馬くらい全く違いますが…。

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紙の本

新刊が待ち遠しい…

2002/07/31 02:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る

ああ、とうとう最新刊を読了してしまった…。新刊が待ち遠しい!
今回は奈津川血族サーガの番外編?微妙に本編とリンクしているよ
うな、していないような…。

主人公は15歳の西村友紀夫と、名探偵ルンババこと番場潤二郎。
福井の中学生の二人が、修学旅行で東京に出てきたときに、都庁前
で不倫のトラブルから、男をボコボコにしていた綺麗なお姉さん井
上椿と、その妹エノキと知りあったことから事件に巻き込まれて…。

というのがオープニングだけど、舞城節には、ストーリー関係なし!
(誉め言葉です♪)次から次へと起こる事件と、その解決に読者は、
ただ身をまかせるべし!例によって、ショッキングな事件もてんこ
盛りだし、満足度は120%!一応(じゃないよな(^ ^;)、講談社ノ
ベルス20周年企画の「密室本」なので、もちろん密室が何回も出
てきます。が、どの密室もストーリの中でさらっと語られてしまっ
ているのが、もったいないほどの純正密室! とくに後半の4コマ
マンガ密室(!)なんて、某巨匠のある作品では(自主的に伏せま
す(笑))ものすごい厚さで、ひっぱって「このオチ?!」と違う意
味でショックを受けた密室…。

依然正体不明の舞城王太郎ですが、作品中で触れられる音楽、映画
本の幅広さから、かなりの趣味人だと思われます。でもまだ20代
…。あなどれないなあ…。

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紙の本

スピード感

2002/05/23 23:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しをん - この投稿者のレビュー一覧を見る

舞城王太郎は本当に凄い。文体もすごいし、構成もすごいけれど、何よりも読者を物語りに引っ張りこむ力が凄いと思う。
ストーリーは紹介されているので割愛するけれど、これは謎解きだけ追って読めばいいという作品ではないと思う。本格ミステリと言われている作品には、仕掛けとキャラだけはしっかりしているが、それ以外の部分が甘い場合がある。これは決してそんなことない。むしろ謎解きはひとつのアイテムであり、深いテーマがその向うに見えてくる。
ところで、これは舞城王太郎の3冊目のノベルス。前作の奈津川家のシリーズ「煙か土か食い物」「暗闇の中で子供」の、おどろおどろしいかんじや、アナーキーでヴァイオレンスな感じは、この作品ではあんまりしない。謎自体もわかりやすく、「ほほう」と素直にすごいと思える。…というか実は凄いしょうがない謎が舞っているのだけれど、ルンババ12が直感だけで(?)あっという間に(推理してゆく展開は確かに快い! しかも、奈津川家がちょっと登場して、こっちのシリーズの続きも気になる!!!
そう、スピードが凄い!

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紙の本

青春+死体=僕らの成長記録

2002/04/16 20:52

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投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る

 姉の死をきっかけに鋭い推理力を発揮するようになった友人「ルンババ」とまるでお笑い芸人のような「僕」が、数々の難事件の真相を解き明かしていく。カバーに新青春エンタとあるように、多感な思春期が気持ちよく描かれている。
 著者は2001年度の『このミス』や『ミスチャン』等で話題になったメフィスト賞受賞作家。受賞作にしてデビュー作でもある『煙か土か食い物』同様、本作もかなりのスピード感を伴って展開される。ノベルスサイズ(新書版)でありながら上から下までぎっしりと書き込まれた文章は、時として全く段落のないページを出現させ、少しでも気を抜くと文字の荒海に溺れそうになる。読み始めは戸惑うかもしれないが、第一章が終わる頃にはすっかり慣れていることだろう。
 名人の漫才を聞いているかのような耳に楽しい二人の会話と、豊富な知識と鋭い観察力によってなされる「ルンババ」の名推理。福井県のとある町が舞台のノンビリ青春ドラマと本格推理がこうも上手く噛み合うとは全然知らなかった。
「彼らの活躍をもっと楽しみたい!」というのが、読後すぐの感想。講談社ノベルス20周年記念の書き下ろし作品だし、著者も一言も触れていないが、シリーズ化を願わずにはいられない作品だ。

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2005/09/14 12:09

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2004/09/26 21:32

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2004/10/07 05:49

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2004/10/10 21:37

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