紙の本
CGで見たいようなヴィジュアルシーン
2003/03/04 06:44
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投稿者:Okawa@風の十二方位 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすがにこの表紙を手に取るのは、30代の私にはかなり恥ずかしかったですが(笑)、読んでみて大正解。人間を時空間的に幾百万のピースに分解してしまう「シュレッディング(混断)」! かっこ良すぎです。
ストーリーは、崩壊後の世界を統治する世界組織、フォースと呼ばれる時空間を操るESP能力者とサードと呼ばれる通常者との争いとオーソドックスなのですが、時空間を幾百万のピースに分割できる能力者達の争いは、ビジュアル的にすごく映えます。正直CGが見えてきそうな感じです。キャラもヒーロー・パットが「サー! イエッスサー!」的なミリタリーナイスガイを演じてますし、彼の絡むプロットも実に良く練られています。
強いて言うと、これで、ヒロイン・ラファエルのキャラがもう少し立っていれば、ずっと評価は高かったと思うのですが。できれば、このコンビの活躍がまた見たいですね。
紙の本
内容紹介
2003/05/14 22:28
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投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
■内容説明
捜査官パットに下った任務は、超次元的能力をもつ『感応者』絡みの怪事件だった。かつて『感応者』たちとの大戦で、家族を殺されたパット——その相棒として派遣されてきたのは、地上最強の能力者である美少女、ラファエルだった!! 【イラスト/伊藤真美】
■著者紹介
1977年、岐阜県生まれ。1996年「黒い季節」で第1回スニーカー大賞金賞を受賞。他の著書に「ばいばい、アース」「カオスレギオン」「ストーム・ブリング・ワールド」など、また漫画原作に「ピルグリム・イェーガー」がある。
■著者・出版社コメント
2003年、各社から続々新刊の刊行が予定されている注目の作家・冲方 丁が書き下ろしたSF中篇! 昨年、多くのSF書評家たちが、ベスト10に入れていたのが、本作品。 是非、御一読ください!
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この設定、この世界で結構な長編が書けそうなのにこの短さ。人間が次の段階に進化するのか、他の種の進化によって滅ぼされるのか、SFのメインテーマの一つですねぇ。
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超能力+SF要素を加味した未来もの。幻想的な雰囲気と、ハードボイルドの雰囲気が綺麗にかみ合っている。だが、作品全体設定が分かる様な分からない様なところが、ちと微妙。最後の方で設定資料があるのでそれをまず目を通した方がいい。さらに話の盛り上がるところが中途半端で、なんだか味気ない。サクサク読めるけど、敵のキャラクター性とか、インパクトがなんだか薄い。主人公などメインキャラクターは魅力的なんだけど、話が彼らを活かしきれる舞台ではなかった。半端さしか残らない。
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読み終わったあと興奮してぜひハリウッドで映画化…!とか思ったんだけどよく考えたらこんな小難しくて感覚の話に偏った設定映像にするの無理でした。中盤にあるカタルシスが圧倒的。
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近未来、『感覚者』『感応者』と呼ばれる二つの人種の間でパット・ラシャヴォフスキーは世界政府準備委員会の捜査官として戦いの日々を送っていた……
心的外傷を抱えたまま戦うパットと少女ラファエルが凄く良い感じです。物語終盤に二回どんでん返しがあるのですが、二回目の方に泣きそうになりました。ただし話自体はかなり難解、と言いますか『専門用語』が多いです。言葉を共有できなければ全く面白くも何ともないかも知れません。キャラクターが魅力的なだけに惜しい。
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「マルドゥックスクランブル」の人の読切。多胞体とかのイメージがきれい。混断は(幸いにも)想像できなかったですが。
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超能力者と人との間に勃発した凄惨な戦争の後のギクシャクした社会を舞台に、家族を超兵器によってゲル状にされてしまった元兵士パットが、超能力少女ラファエルと協力して、超能力犯罪に立ち向かう、という物語。壮大な世界観であるが、主にパットの内的葛藤が描かれているので、いわゆるセカイ系ではない。だからなのか、未消化な感じもある。特に「戦争」に関するエピソードをまとめたら面白いのではないかと思う。
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たった今まで「ほほえみの」だと思ってたら「まどろみの」でした……彼の文体が変わる前の中編。叛旗を翻した能力者たちとの戦いで世界が大きな打撃を受けた黒い月のもとにある世界。再編が進む世界で起きたひとつの要人の襲撃事件。能力者に妻子を殺された捜査官のもとに、複数の高い能力を持つ一人の女の子が支援として派遣されてくる……という共闘の話なのですが、この捜査官パット、あるいはあり得たボイルドかも。せっかく創った世界なのに、これ一冊で終わりなのかなぁ。
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作中の「混断(シュレッディング)」の描写がすごかったです。文字だけでこれだけ想像できるんだと感心しました。
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まず、香りの表現が好きになった。次元の歪みからくる、独特の香り。ラファエルの花の香りを胸一杯に吸い込んでみたい。
書き下ろしの中編らしい(煽り文的には)のですが、冲方さんは長編の方が似合う気がする。世界観の作りがしっかりしているから、あまり短いと物足りない感じがしてしまうと思う。
ラファエルとパットの関係は、バロットとウフコックに似ているような感じもした。でも、少し違うかも。冲方さんらしい“信頼関係”というかなんというか……。
好きとかそんな俗っぽい感情じゃなくて、それさえも超越してみせるくらいの相手を信じる気持ち。相手を認めて、相手に認めてもらう。その為なら何でも出来るぐらいの、そんな潔すぎるほどの関係。
一度、崩壊してそこから作り直させれた、綺麗すぎる幻想的な未来。感覚者と感応者という、持たないものと持つものはいつでも対立してしまうけれど、でも失敗しているからこそ、共存しようという姿勢が感じられてよかった。
最後の伏線回収は、わかりやすい故に簡潔でよかった。
冲方さんは、ドイツ語がお好きなのでしょうかねぇ?
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マルドゥック・スクランブルの著者の一冊読み切り。マルドゥック読んでみようかと思って、先にこちらを試してみた。
凝った世界観とそれを表現する技量がある。しかしこの本に関して言えば、それが空回りしている。広がりのありそうな予感を裏切るしかないページ数。例えば近未来なプロファイリングが出てくるが、ばっちりすぎる的中。
また登場人物に面白みがない。深みを感じないうちに終わってしまうせいかもしれないが、元の着想が弱いかもしれない。感情をロックされた過去を抱える巨漢。スペシャルな能力の優等生ヒロイン。患者を手足に罪を犯す精神科医。
あとがきにひかわ玲子さんのディスカッションに行ったと出てきて、うーん、この作家の長編に手を出すべきなのか余計迷ってきた・・・
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面白かった。恥ずかしながら、ラスト近くで泣きそうになりました。
この作者の文体はライトノベルのものではない気がする。リズムや構文はラノベのものながら、比喩やボキャブラリはむしろSFや純文学寄り。それが独特のリズム感を呼んでいる。
エヴァンゲリオンやブギーポップからの借用と思われるガジェットが見られるのは、戦略的なものだろうと思う。この作者はそこに自分のものを持ち込んでいる。