- カテゴリ:一般
- 発売日:2002/05/01
- 出版社: 麗沢大学出版会
- サイズ:20cm/220p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-89205-448-8
紙の本
経済学の再生 道徳哲学への回帰
著者 アマルティア・セン (著),徳永 澄憲 (訳),松本 保美 (訳),青山 治城 (訳)
経済学に倫理学の視点を導入し、人間の行動と判断を形成する倫理学的思考による注意が経済学をさらに生産的にするという見方を提示。アジアで最初のノーベル経済学賞受賞者・セン教授...
経済学の再生 道徳哲学への回帰
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商品説明
経済学に倫理学の視点を導入し、人間の行動と判断を形成する倫理学的思考による注意が経済学をさらに生産的にするという見方を提示。アジアで最初のノーベル経済学賞受賞者・セン教授による根源的問題提起の書。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
アマルティア・セン
- 略歴
- 〈アマルティア・セン〉1933年インド生まれ。ケンブリッジ大学で経済学博士号取得。ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ学長。98年ノーベル経済学賞受賞。著書に「自由と経済開発」など多数。
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紙の本
1986年のカリフォルニア大学での講義録がついに翻訳された
2002/06/19 19:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:小林浩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
カネがものを言う経済至上主義は、人間の顔ではなくむしろもっと野蛮な顔を持っている。「経済」はそれ自体を目的として肥大化する野獣の如くであって、それは人間を食い尽くす凶暴な自動機械と化す。インドに生まれ、イギリスの名門ケンブリッジ大学で活躍する経済学者のセン(1998年度ノーベル経済学賞受賞)が、1986年4月にカリフォルニア大学バークレー校で行った連続講義の記録である本書は、《経済学に倫理学の視点を導入》し、《「道徳哲学としての経済学の樹立を目指す古典的名著》(オビ文より)である。現代経済学には「いかに生きるべきか」という倫理学的問いが欠けている、とセンは指摘する。人間行動を実証可能な単純な動機に還元しようとする経済学の「工学的アプローチ」に対し、単純化し得ない「善」の問題を導入する「倫理的アプローチ」を提唱したのが、本書の重要な戦略だ。経済学は倫理学から離れることによって貧困化し、この貧困化は多くの実証主義経済学の基礎をも危うくする。そう著者は警告しつつ、倫理学が経済学になし得ることとは何かを懇切に説いていく。パレートやアローら経済学者の名前だけでなく、パーフィットやノージック、ヌスバウムやデイヴィドソンといった哲学者が登場するのは、そうした「倫理的アプローチ」の参照項であるからだ。講演がもとになっているためか、語り口は難解ではなく、内容もコンパクトにまとまっている。センの主張する厚生経済学への絶好の入門書としても最適だろう。
※参考書はこちら→桂木隆夫『市場経済の哲学』、川本隆史『現代倫理学の冒険』、鈴村興太郎+後藤玲子『アマルティア・セン:経済学と倫理学』
人文・社会・ノンフィクションレジ前コーナー5月20日分より
(小林浩/人文書コーディネーター・「本」のメルマガ編集同人)