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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2002.6
  • 出版社: 草思社
  • サイズ:20cm/285p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-7942-1136-8

紙の本

からくり民主主義

著者 高橋 秀実 (著)

原発・沖縄・宗教・環境などの社会問題を、実際の現場を歩いてレポートする。マスコミが伝える単純化された図式ではなく、戦後民主主義の生み出した歪みを浮き彫りにした異色作。【「...

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からくり民主主義

税込 1,980 18pt

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商品説明

原発・沖縄・宗教・環境などの社会問題を、実際の現場を歩いてレポートする。マスコミが伝える単純化された図式ではなく、戦後民主主義の生み出した歪みを浮き彫りにした異色作。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

高橋 秀実

略歴
〈高橋秀実〉1961年横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。ノンフィクション作家。著書に「TOKYO外国人裁判」「ゴングまであと30秒」などがある。

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著者/著名人のレビュー

 沖縄の米軍基地、若...

ジュンク堂

 沖縄の米軍基地、若狭の原発、諌早の干拓地、カルト教団にセクハラ事件に障害者問題……。日本のいたるところで、国家ないし権力を持つ「強者」が、「弱者」である無辜の民を苦しめている。いつの時代も泣きをみるのは善良な一般大衆ばかり――という「図式」を忠実になぞる形でメディアは現状を憂い、権力と鋭く対立しつつ報道活動を続けているが、さて、本当のところはどうなのだろう。

 ということで、実際に問題の現場に確かめに行ってみたのが本書。するとどうも様子が微妙に違っている。たとえば沖縄では、報道陣が現地住民をなんとか「被害者」にしたがっているし、対立しているはずの住民同士が平穏な日常生活を営んでいたりする。

 善悪・正邪二元論に嵌めてしまえば話は単純だが、現実はまことにややこしく絡み合っていた。

 本質がねじれた「戦後民主主義」の名の下で、「国民の声」の主体が、じつは誰でもないという奇妙な事態が起こっている。混迷の度合いを増す日本社会の「実態」を否応なしに認識させられる話題の本。解説は村上春樹さん。

出版ダイジェスト:2005年3月
テーマ『今、この時代をどう読むか 身近なナショナリズム』より

みんなのレビュー35件

みんなの評価3.9

評価内訳

紙の本

きっと答えなんか、簡単にでないよ。

2003/11/17 20:42

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ポカ - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本を読む前の日に、藤田まことが出ている『はぐれ刑事純情派』をみていて、
「やっさん(藤田まこと)はこんなに仕事が出来るのに出世しないねェ」
と、オットとハナシをしていたところ、
翌日、この本を読み出したら、
「はぐれ刑事純情派のやっさんが巡査部長にもなっていないのはおかしい、というクレームがある」
とあり、あまりのタイミングの良さに大笑いをしてしまった。

とにかく、この本は面白い。
そして、とても鋭くて、深い。

わたしたちが目にする、新聞、テレビ、ラジオ、本。
それらの報道は、本当に真実を報道しているのだろうか。
万人の声を反映しているように見せかけて、実はなにかに偏ってはいないのだろうか。
わたしたちは、大衆の声、とくに「国民の声」というものに惑わされてはいないだろうか。
そういうことを、もう考えさせられるものだった。
この世の中で、わたしたちが見せられている映像や、与えられている情報は、本当に真実を語っているのかと。

いつでも、興味本位の噂話は、「みんなが云ってるよ」の声で広がっていく。
けれども、その「みんな」がなにを指して云うのか、誰もわからない。
実体のない「みんな」が、一人歩きし、みんなを支配してしまう。
「みんなが云っていること」はだれも責任をとらない。
だから、みんな安心して、噂をする。
噂話は、いつでもそうだった。

実は、世の中で報道されるようなことでさえ、実は実体のない「みんな」に支配されているのではないか。

なにかにつけて、人は白黒はっきりさせたがる。
善人と悪人を明確にしたがる。
そうと決まれば、悪人を徹底的に悪く言うことができるからだ。
どちらが良くて、どちらが悪い。
それが決まると、それで安心する。安定するのである。
しかし、現実は、そんなに簡単に白黒つくようなことは少ないのではないか。
それでも、見る側は、白黒はっきりしないことをそのままに報道することを許さない。
そんなのは、不安定で仕方ないからだ。

そこででてくるのが、実体のない「みんな」だ。

みんながわかりやすいように、とにかく単純に、白黒つけてしまうのだ。
それが「世論の意見」「国民の声」等ともっともらしく語られることになる。
「世論の意見」「国民の声」から「悪」とみなされたものは、一方的に責められる。
そして「世論の意見」「国民の声」はどんどん増長されていく。
結局、誰も自分の言葉に責任を持ちたがらず、外側から傍観者としてわぁわぁ云っていたいだけなのかもしれない。
噂話のように。

でも、実際は、どの方向から見るかで、善悪さえ逆転してしまうようなことがざらにあって、だかこそ、答えなんか簡単にでるわけがないのだ。

この本を読むとそれがよくわかる。
諫早湾干拓問題も、沖縄基地問題も、宗教の問題、障害者の問題、一筋縄ではいかないことがよくわかる。
これらの問題は、一気に答えが出るものではない極めて複雑な問題だというのに、大きく報道されることばかりを見て、一面的な判断で良し悪しの感情を持っていたことに気づかされる。

最近、日本人は、簡単に答えを出しすぎるのではないだろうか。
答えが出ないという不安定な状態に耐えられないのではないだろうか。
クイズや試験の問題のように、問題があれば答えがある、という状況に慣れすぎているのではないか。

でも、答えなんかないものの方が、世の中には多いのだ。
そういうものの答えは、自分で出さなくてはならない。
それは、気楽な傍観者ではなく、当事者になる、ということだ。
自分の話に責任を持つということだ。
実体のない「みんな」が云っている噂話からの脱却だ。

そういう意味で、とても面白く、考えさせられる1冊であった。

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紙の本

「なんじゃそら」という癒し

2003/04/11 00:15

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹さんが解説を書いてるんだから、と読み始めて、なるほど評判どおりの読後感を得ました。おもしろく読めるのは保証できるし、考えさせられるテーマばかりであることも間違いないです。それに加えて、癒されます。

著者は綿密な取材を行い、関連文献などを広範に当たり、いわゆる「しっかりした」仕事をしています。そして村上さんも書いているように「正当な弱りかた」をしたうえで文章化しています。感心し、納得しながら読み進められます。総じて結論のようなものがないからといって、だれも簡単に非難できる立場にありません。

私たちの日常というのは、そんなことどっちでもいいんだけど立場上仕方なく片方についたり、「こうするべきでしょう」なんてことを立場上言ってみたりと、やりきれぬ矛盾で溢れていますよね。私たちは物事にウラがあってもさしてびっくりもしないし、たいていのことはお金で解決するしかないことも知っています。「世の中なんて結構身もフタもなくて、いい加減なもんなんだ」ってことをちゃんと心得ていないと、恥をかいたりすることもしばしばです。
だからこうしてきちっと検証された「弱ったなあ」を、みんなで共有することで、矛盾にも慣れてしまった自分を、少し楽にしてやれるのではないでしょうか。

誰もが自分の立場というか役割を演じているだけです。それを伝えるメディアの側もそうです。「アメリカを支持する」と言わざるを得なかった某国の首相に心の底では同情する人も多いことでしょう。本書を読んでいて、どうせ演じるなら思いっきり演じることかな? と思ってしまいました。中途半端はきっと余計に矛盾を深めるだけです。思いっきりやることでふっ切れる何かもあると思います。
幸いマスメディアの普及により、私たちの演技力は磨かれてきたと言えます。私たちはふだん何気なくTVを見ながら、知らず知らずのうちにイメージトレーニングをしてしまっていますよね。

それでも例えば「諫早湾干拓問題」なんて、当時TVのニュースで見て、「うわあこれは本当に死活問題なんだ。どうするんだろう」って思ったもんです。まさかVTRをよく見ると「エイエイオー」ってやってない人がいたなんて。さすがに「なんじゃそら」と言わずにはいられません。

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紙の本

<からくり民主>は延命出来るか?

2002/10/07 12:26

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

皆さんの書評を読んでやっぱし、読みたくなった。読み終わって「弱ったなあ」とため息ついた。奇妙な既視感があった。それは私を含めた身も蓋もない日常が露呈され、この本に登場するフツウの人々と大差のない心持で日常を送っている事を思い知らされたからであろう。「そうなんだよなあ」「左も右も関係ないんだよなあ」「白黒の役割を演じて『命も銭も宝』を実践するには<虚妄の民主主義>でなく<からくり民主>で上手く立ち回ることこそ肝要である」。[反対の賛成]は矛盾こそ真かも知れぬが恥ずかしくもなく、悩まないで言われるとやっぱし、困る。挨拶のしようがない。しかし、かような臆面もない方便はこれからもなされるであろう。皆、金持ち喧嘩せずで、腕組んで批評し火の粉が降りかかった時、「しぁーない」と対処する。そんな余裕はもう無くなりつつあるのではないか。1400兆円以上の国民の金融資産は<みんなと同じ感性を持つ政治家>がどんどん無駄遣いしてくれる御蔭で目減りし、どうやら、我々はひとりあたま650万円位の借金を背負っているらしい。その付けは若い世代に順送りされる。重荷を一生懸命リレー渡ししているのだ。おまけに世界はきな臭くなり、有事は目の前に近づいても、村上春樹が[解説]で言うように「それらが僕らの住んでいる世界なのだ。僕らはその中で生きていくしかないのだ。そこから、むりに出て行こうとすれば、僕らの行く先は『本当ではない場所』になってしまう」でも、出て行きたくなくとも、無理に出て行かされる事態になったとき、<からくり民主>は中身の自己を検証しないで、<悩まないみんなの自己>は「この人こそが世間の代表者、永久にこの人の分身でいさえすれば、間違いない」という存在を求めて、香山リカが「ぷちナショナリズム症候群」で危惧するような『本当ではない場所』に拉致、連行されるかもしれない。
 10/6の毎日新聞日曜版に養老孟司の「時代の風」で「政治・外交のからくり」として「からくり民主主義」が引用され、ブッシュや金正日やフセインについて言及し、「政治や外交とはなんともつまらないものだ」と半ば匙を投げている。=生きている人間はあれこれうるさい。死んだ人に長年お付き合いしたから、しみじみそう思う。平和が続くと、ますますうるさい。しかし、考えてみれば、それだけのことである。お互いに長い辛抱ではない。私か、あなたが、どちらかが先にお墓に入る。それなら、後生のことを考えたほうがましかもしれない=
 年寄りはかような達観が出来るが若い人達はどうなんだろう。生きることに意味を見つけ、後生を瞑想することは『本当ではない場所』に囲繞される危険があるが、やっぱし、その危険と角突き合わせる冒険がなければ、退屈な生となるだろう。若い友は「絶望とか希望は死語です」と言う。単に〔なしくずしに死〕んで行くのだろうか。
 苛立ちが時として、<からくり民主>に支えられたこの国のリセットボタンを押したくなる衝動を覚える。ヤバイなあと思う。だが、<私の夢の中>が溢れ出て、個々みんなも溢れ出て、一斉にリセットボタンを押さないとも限らない。〔醜であっても身の丈の民主〕より、酷い世界を選択するかもしれない。〔虚妄の民主主義〕は少なくとも、安全牌の機能を担保していた。それによって支えられ左も右も哲学で闘うシステムがあった。先日、テレビでたけしが「鈴木宗男の大きいのがブッシュなのだ」と言ったが、ブッシュが腕力を誇示したから、金正日が拉致を認めたのが真相だろう。
 
 この国の大きなパイが食い荒らされて残高が少なくなった時、声と腕力の強い人が、せめて、新渡戸稲造の武士道の恥を感じるデリカシーを持って欲しいと思うのはみんなの願いだと想像するが、政治家も官僚もフツウの人々だから、そんな三島由紀夫が夢想した倫理を期待するのは酷というべきであろう。

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紙の本

弱ったなぁ…から深まる洞察

2002/09/10 06:35

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐藤哲朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「席をゆずるにはまず席に座ること。同様に、美談を光り輝かせるには背景を暗くすることが肝要である」(p38)。

最近読んだノンフィクションのなかではピカイチだった一冊、に収められた短編「親切部隊」より一言引用。気に留まらぬほど薄く広く、ヨノナカの恒例行事となっている『小さな親切運動』を論じた作品なのだが、僕達がメディアを通して気持ちよくなれる「善い事」の構造を分析してみると、そこにはえらく倒錯した「感動のテクニック」が見え隠れしていたというオチ。

本書収録の他の作品も、読めば読むほど「う〜ん」と唸って困ってしまうような、でも、“文学”って本来こーゆーことだよな、と、思わされる作品ばかり。村上春樹が解説を寄せた気持ちも分かるなぁ。

高橋秀実は1961年横浜の生まれ。東京外語大モンゴル語学科を卒業後、テレビ番組制作会社でAD(アシスタント・ディレクター)などを経て、フリーのジャーナリストに…という経歴。村上春樹によれば、「ノンフィクションの書き手としての高橋秀実の三要素」とは、

1 とてもよく調査をする 。
2 正当な弱りかたをする(せざるを得ない)。
3 それをできるだけ親切な文章にする。

だそうだ。「関川夏央から僻み根性を抜いたような」というのは僕の印象。背負っている観念や拘りは軽いけど(現場へ持ち込む荷物は少ないけど)、取材先でその都度ひょいと人並み以上の荷物を運んでみせる姿はなかなか頼もしい。

あえて挙げるならば、ハイライトは沖縄米軍基地問題を扱った章(「反対の賛成なのだ」p133〜)だろうか。報道の現場で横行するテレビ的な“つくり”(事実の図式的切り張りやフレームにはまったコメントの演出)と、それに嬉々として協力する“取材される人々”を通して、日本を動かす『からくり民主主義』の弱ってしまう現実を見事に浮かび上がらせてみせる。

著者は誰を非難するわけでもない。誰が傷ついているとか、被害を受けているという問題でもない。でもそれだけに、僕たち日本人の、社会における「当時者性」という深いテーマへの洞察が、上げ底なしに提示されるのだ。弱ったなぁ…から浮かぶ瀬もあれ日出国。

【目次】序章 国民の声--クレームの愉しみ 第1章 親切部隊--小さな親切運動 第2章 自分で考える人びと--統一教会とマインドコントロール 第3章 忘れがたきふるさと--世界遺産観光 第4章 みんなのエコロジー--諫早湾干拓問題 第5章--ガリバーの王国--上九一色村オウム反対運動 第6章--反対の賛成なのだ--沖縄米軍基地問題 第7章 危険な日常--若狭湾原発銀座 第8章 アホの効用--横山ノック知事セクハラ事件 第9章 ぶら下がり天国--富士山青木ヶ原樹海探訪 第10章 平等なゲーム--車椅子バスケットボール 終章 からくり民主主義--あとがきに代えて 解説 僕らが生きている困った世界--村上春樹 

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紙の本

反対の賛成なのだ!

2002/08/05 15:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:おかだK - この投稿者のレビュー一覧を見る

沖縄基地,原発立地,環境問題などなど,
世の中を騒がしつづけている社会問題に関する,
いまさらながらのレポート集だが,面白い.

例えば,沖縄基地移転.
あの時は熱心にニュースでやってたねー.
結局どうなっているの?
と思って読み進むと,
「あの時」のニュースの伝え方からおかしかったことが分かる.
ニュース番組の枠内+説明図で伝えられるような
単純なものではなく,反対のための賛成派なんかがウヨウヨいるのだ.

本書を読んでいるうちに,自分の中の違和感が一つ解けていった.
インターネットが手元までやってくるようになり,
ネットで世の中の出来事へのキャッチアップを済ますことが多くなったが,
時々新聞,ニュース番組を見ると,世の中で大事件が起きていて,
驚いてしまうことがあった.
新聞の特集記事では,国民的な議論が巻き起こり,
ニュースキャスターは深刻な顔をして解説している.
あれ? そんなに重要な事件だったの? と思う.
で,数週間後に新聞をみると,その「事件」は解決したかのように
静かになっている.結局,あの騒ぎは何だったの?

こんなことを繰り返していくうちに,
ニュースが伝えることが白々しく見えてきていた.
こんな違和感の「からくり」が分かった気がした.


そんな「からくり」に仕組まれた
僕達の状況からの克服はかなり,難しい.
結局,どんな問題でも,それを解決するのは難しい.
基地,原子力などの数十年かかっている問題から,
最近の経済,構造改革問題まで,どれも,中身は複雑である.
結局,ニッチもサッチも行かなくて,現状維持で続いていく.

とにかく,現状を打開するには,
どちらかの道に勇気をもって歩みだすこと.
これしかないのではないだろうか?

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紙の本

奇妙な賛否のハーモニーを笑え

2002/06/12 00:22

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sai - この投稿者のレビュー一覧を見る

あたかも実在するかのような「国民」という言葉。よくよく考えてみれば、どこにも実体はありはしないのではないか。政治家もマスコミも「国民の声」至上主義だが、そんな「国民の声」幻想に乗せられたくない人に、本書は有効だ。

著者は、沖縄、若狭湾、諫早湾、上九一式村といった「国民の声」が拾えそうな場所に足を運び、マスコミで喧伝された従来の対立図式やら問題の構図やらをいったん括弧にくくって、現地の人の話に耳を傾ける。そこで見えてくる賛否の奇妙なハーモニー。

沖縄にせよ若狭湾にせよ、米軍基地や原発で潤っている人々が少なくない割合で存在し、さらに彼らは、借地料や補償金アップのために一定程度の「反対の声」までほしがっている。からまった釣り糸のように解決の見えない事態を前にして、著者は絶妙なツッコミを入れる。筆者と一緒に笑ってしまうこと——それが本書の「正しい」読み方である。

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紙の本

「結論」から出発することで、まったく逆の事態が見えてくる。

2004/07/10 23:49

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

まあ、意地の悪い人である。村上春樹は解説で高橋秀実を、正当な弱り方をし、それをできるだけ親切な文章にする、と評しているが、本書を読んだ限りで私が感じたのは、書き手の意地の悪さだった。
意地が悪いと言っても、性格が悪いという意味ではなくて、確信的に行動するしたたかさという意味。

高橋氏がやっているのは、メディアで喧しく報道され、社会問題となり、さまざまな議論が巻き起こった事件の状況の実態を現地に赴いて探ってくるという、とても地味な活動である。
統一教会の合同結婚式、世界遺産に指定された村落、諫早湾の干拓問題、若狭湾原発銀座、沖縄米軍基地問題、上九一色村のオウム跡地、などに実際に行ってみて、現地の人からきちんと話を聞いている。

そういう活動で明らかになるのは、メディアに報道される社会問題の実態が、どうにも簡単に結論が出ない複雑な事情が絡んだものだったということだ。特に典型的なのは沖縄米軍基地問題で、これは本島から離れた沖縄、米軍に占領された沖縄という、政治的歴史的経緯があり、「米軍に虐げられた沖縄」から、基地を追い出せという論調が出てくる。しかし、沖縄の住民、それも米軍に土地を貸している地主は貸している土地から得る莫大な収入を手放そうとはせず、むしろ米軍基地を歓迎しているのである。
そこで反対運動が起これば、政府や米軍は土地の借地料を値上げするということになり、地主側はむしろある程度の反対運動を歓迎してさえいる。地元の人によれば「ソバと七味唐辛子の関係」、らしい。

メディアが報道するようなわかりやすい対立はそこにはなく、経済的な損得勘定、地元民の強かな意識、対立者同士の利害関係などが絡まりあっているのである。

この本のタイトル「からくり民主主義」とは、

「全員が主役になると主役はいないのと同じだからです。そこで「からくり」が必要になるのです。一人ひとりとは別に「みんな」をつくって、それを主役にするのです。(中略)「世論」「国民感情」「国民の声」などと呼ばれるもので、こうして主役を固定し、自分たちはその「代弁」という形で発言するのです。要するに、「みんな言っている」「みんな思っている」と後ろ盾を用意するわけです」

と、メディアが「みんな」を主役にする「からくり民主」によって運営される制度ということらしい。(ここらへんの「みんな」論は仲正昌樹「「みんな」のバカ!」とも通じるものがある)

このなかで「平和」「平等」「自然」といったわかりやすい正義が捏造され、その図式によって、現実の諸問題は綺麗に収まることになる。
高橋氏はメディアが垂れ流す「正義」のごとき安易な対立図式や美辞麗句の根っこには、ほらこんなリアリズムがあるんですよ、とやるのである。メディア的な「結論」から出発して、結論を批評しながら調査を続けていくのだから、いわゆる「結論」が出ないのは当然である。

つまり、高橋氏は出発点からしてかなり皮肉屋タイプの方法を用いてるように思えてならないのである。文章だって読んだ限り結構きつい皮肉を飛ばしていて、「こいつ善人じゃないな」なんてことを思っていた。村上春樹が解説で書いているようなイメージはまったく沸かなかった。金銭、損得、地縁のいざこざに対してけっこう冷淡な感じだ。

ただ、最後の身体障害者バスケットボールを取材した文章はなぜか皮肉が交えられず、とても素直に書かれていた。スポーツ雑誌に載ったということもあるのかも知れないが、それまでの文章にあった皮肉っぽさ、悪く言えば嫌味がなかったと思う。いい文章だった。

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紙の本

「みんな」が主役であることのからくり

2002/09/28 22:36

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る


 ただ単に前向きに「筋のとおった」弱りかたで一生懸命弱っている。「それはこうだ!」みたいな「そんなわかりやすい結論が出せないんです」。そんな高橋秀実が、とてもよく調査をして、正当な弱りかたをして、それをできるだけ親切な文章にした。結論のなさを読者が共有できるユーモアのある、ついつい笑ってしまう「地べたのおかしみ」のあるノンフィクション。──以上、本文を読む前に先に目を通してしまった村上春樹の解説「僕らが生きている困った世界」から。

 評判どおりに面白かった。それはたしかに面白かったのだけれど、率直に言って、私はこのての文章は基本的に嫌いだ。嫌いなのだけれど、面白いから最初から最後までじっくりと読んだ。右か左か、善玉か悪玉か、加害者か犠牲者か、推進派か反対派か、純粋か不純か、可哀相なのはムツゴロウか農民か、沖縄の心かカネか、等々、このてのわかりやすい二分法はマスコミの専売特許で、「実は…」マスコミだってビジネスで、すべての事件・出来事には真相ならぬウラがある。そんなことは「みんな」よくわかっている。わかっちゃいるけどやめられない。このこともよくわかっている。わかっていて楽しんでいる。時に純粋に悲憤慷慨し、時に訳知り顔にシニカルに了解する。そうして「問題はみんなで回して先送り」(第四章「みんなのエコロジー」)。

《本書のタイトル、『からくり民主主義』とは「からくり民主─主義」です。…からくり民主の「民」とは「みんな」です。「みんな」が主になるのが「民主」。…聞こえはよいが、これには矛盾があります。全員が主役になると主役はいないのと同じだからです。そこで「からくり」が必要になるのです。》(終章「からくり民主主義」)

 じゃあなたは、「とてもよく調査をして、正当な弱りかたをして、それをできるだけ親切な文章にした」ノンフィクション作家のあなたは「みんな」ではないのか。私が嫌いなのは、そのことに忸怩としない厚顔さと、羞恥を隠さない傲岸さだ。それでも面白く読めたのは、高橋秀実という人物によるのだろう。忸怩、羞恥を包みこんでしまう深さをもった人間なのだと思う。『週刊ポスト』の「著者に訊け!」に載っていた著者の写真を見て、そして村上春樹の高橋評を読み直してみて、そう思う。

 ところで、この本を読んで面白がっているあなた、いや私は「みんな」ではないのか。

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紙の本

日本のありのままの姿のさまざまな記録

2002/10/14 15:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:格  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 からくりのある民主主義を論じた本かのような題名だが,そうではなく,日本のさまざまな問題のあるありのままの姿をただ徹底的に現場の取材から記録しただけの本である。著者の主張や結論はいっさいない。『ズレとズレとが織物のように重なって,糸口がみつからないのが「からくり」たるゆえん』なのだ。

 面白いのだが,疑問ばかりがつのってくる。笑ってしまうような話も多いのだが,単純に笑ってばかりもいられない。

 たとえば諫早湾干拓問題。テレビなどでもよく取り上げられる話題だが,とにかく複雑なのである。漁民対農民の構図もあれば,漁民どうしの対立もあり,ノリ養殖の単なるサイクルの問題もある。同じ人間がどちらでもいいと思っていたり,えんえん結論は五十年でていない問題なのだ。テレビで大きく不作が取り上げられた翌年はなんと前年比300%で平年をも上回る出来高となったとのこと。当然,干拓事業は関係なかったといえそうだが,工事を中断していたからだとも言えるし,不作で懲りたのでしっかり早めに管理していたからだという説もあり,それならなぜ,最初からしっかりやっていなかったという説があり。。

 他に取り上げられている問題としては,小さな親切運動,統一協会問題,オウム反対運動,沖縄米軍基地問題,若狭湾原発銀座問題,富士山青木ヶ原樹海,などなど,いずれもいろいろな見方のできる問題だ。

 単純にこの変にゆがんでしまった問題を嘆くわけでもなく,世の中には報道されない別の見方を淡々と紹介していく。それによって,ほんとうの世の中がどうなっているのか,分かるしかけになっている。もともと当事者同士で何年も解決ついてない問題ばかりなのであって,著者でなくても,簡単にこうだ,と主張できるような問題ではない。では,ほんとうにどうすればいいのか。村上春樹の解説にあるように,結局そのなかで生きていくしかない,ということなのか。

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紙の本

沖縄基地などを徹底取材、日本国民は「豚」と教えられる

2002/08/22 22:15

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本、「版元が安原さんの大嫌いな草思社、解説が村上春樹だから、ちょと薦めにくいんだけど(笑)、内容は好みだと思うよ」と、中条省平に薦められた。なるほど読んでみると、教えられることの多い労作だった。ぼくとは違い著者は上品な人ゆえ、直接怒りを露わにすることはないが、ぼくの言葉で増幅すれば、民主主義とは「民」が主人だが、その「民」が白痴の場合、「衆愚主義」(「からくり民主」)に堕する。
 そんなことは誰でも知っているが、観念論ではなく、取材によってここまで具体的に立証されると、ぼくのような人間でも大ショックだった。そして、この衆愚ぶりが政官業のトップにまで反映されているのが腐れ国家日本なのだ。政官業の呆れるほどの無能無策、それに加えての不祥事と巨悪だ。にもかかわらず腐れ国家日本にはまともな法律すらなく、巨悪はしたい放題、バレても裁き、罰されることも皆無に等しく、みずから責任を取るなんてこともない。一億人のすべてが自己中心と拝金主義なのだ。
 例えば「上九一色村オウム反対運動」や「沖縄米軍基地問題」を読み、「ああ、これは俺/私のことだ」と感じぬ日本人はいない筈だ。著者によれば、上九一色村でオウムと闘ったのは唯一人、元戦中派、抑留された折ソ連で洗脳、帰国して日本共産党員になった竹内精一だけ。あとの村人は「誰も迷惑していなかった」と言う。さらにこの場所は国有地払い下げにもかかわらず境界線は曖昧、銭に困った村人たちは土地を売り払い、転売も重なり、誰がオウムに売ったかも不明らしい。その後、跡地にはテーマパーク「富士ガリバー王国」を建てるが、オープンから四年後の二〇〇一年、倒産する。「沖縄米軍基地問題」も同様で、報道とは違い「反対派」などなきに等しく、個人(中には年間七千万円、受け取る人もいる)や、市町村に支払われる借地料総額年間八二一億円を手放すのが惜しく、基地はずっと存続して欲しいのだ。しかも一坪地主が反対してくれれば(理想は反対53%、賛成45%)値上げの交渉上、都合がいいと言うのだから、まさしく乞食根性なのである。全国民が読み、腐れ根性の醜さを直視し、恥じて欲しい一冊だ。

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2002/06/04 14:53

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投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「国民の声」ってのは、いったい誰の声だ?
沖縄米軍基地/若狭湾原発銀座/諫早湾干拓/世界遺産/合同結婚式/上九一色村 etc.
本当のところを確かめに行った。

目次
序章 国民の声──クレームの愉しみ
第1章 親切部隊──小さな親切運動
第2章 自分で考える人びと──統一教会とマインドコントロール
第3章 忘れがたきふるさと──世界遺産観光
第4章 みんなのエコロジー──諫早湾干拓問題
第5章 ガリバーの王国──上九一色村オウム反対運動
第6章 賛成の反対なのだ──沖縄米軍基地問題
第7章 危険な日常──若狭湾原発銀座
第8章 アホの効用──横山ノック知事セクハラ事件
第9章 ぶら下がり天国──富士山青木ヶ原樹海探訪
第10章 平等なゲーム──車椅子バスケットボール
解説 僕らが生きている困った世界──村上春樹

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