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良い本です
2024/03/30 17:22
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
熊本を舞台に戦闘を繰り広げる薩軍と政府軍です。戦闘とか戦略については何も知識を持ち合わせていないのですが、なかなか理解が難しかったのです。かなり読み応えありました。
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田原坂の戦い
2015/08/30 14:39
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投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
血で血を洗う田原坂の激闘。薩軍の奮戦の前に政府軍は甚大な損害を受けた。しかし、戦略という物が存在しない薩軍は次第に追いつめられ、遂に敗走、肥後からも追い出されていく。
身体的にも精神的にも日本で一番強い集団だった薩摩。戦闘では期待を裏切らず無類の強さを発揮した彼らが、上層部の指導が稚拙であったために内戦で無駄死にし、結局敗れたことを考えると、残念でならなくなる。
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落ちていく薩摩
2020/01/01 18:19
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投稿者:かめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
西南戦争の最激戦地・田原坂から敗退し、熊本からも落ちていく薩摩。篠原国幹らここまで何度も登場した人物らも次々に命を落として行きます。
ただ、政府軍は百姓上がりの鎮台兵が主で、敗走も多く、個々の戦闘能力および意欲では薩摩に分がありました。
しかし兵の数や武器の性能では圧倒的に政府軍に分があり、その辺りが敗因としてあげられます。
またこの巻では山川浩ら会津人が政府軍の一員として活躍します。
警視庁の部隊として太政官から抜擢されて戊辰戦争の恨みを晴らしに行く訳ですが、太政官もそもそも薩長中心なわけで、時代の因果や会津人の苦労が窺い知れます。
「一介のテロリストだった桐野や書生にすぎなかった篠原を泥の中から掘り出して陸軍少将の軍服を着せ、たれよりもこの両人を信頼し、結局はかれらの政治的狂躁に乗せられた」(256p)。筆者は前巻と同じく、西郷はあくまで桐野に唆されて戦争を引き起こしたと主張しています。
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まず、西南戦争がどの様なものだったか知らない人。僕の様にうっすらとしか知らない人は是非この本を読んで下さい。長いですけど、西南戦争の意味と西郷隆盛が分かります。西南戦争は序盤こそ薩摩有利でしたが、徐々に明治政府軍に押され始めます。その明治政府軍の模様や設立した背景など、細かく時代背景と共に書かれており、手に取るように分かります。さて、西郷は以前傍観者の様な立場で過ごしています。司馬遼太郎さんが言うには、維新を成功させた西郷は策略などあらゆるものに気を使い、実行し、成功に導いた。しかし、西南戦争では、まるでそれから逃げるように傍観的だった。これはどういう意味を指すのでしょうか? 西郷隆盛の心情がなんとなく分かる気がしました・・・。単に大将として兵を率いたのではなく、兵に率いられた、そんな気さえします。
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このころになると、序盤数多く登場していた大久保利通などはほとんど名前が出ず、西郷を中心とした、といっても案外忘れ去られてしまうのですけれども、西郷さん中心というよりも、九州(とくに熊本)を中心に舞台は展開されてゆきます。人というよりも地、という感じで、薩軍の西郷さんと、政府軍の山県有朋さん、という。
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戦も終局が見えてきた。
西郷率いる薩軍が、政府軍によって徐々に後退させられていく。
その中で、戦に命を賭す、士達が感動的だ。
何かに命を懸けられるというのは、強いエネルギーを秘めているだろう。
もちろん、今は命を賭してとは言えないだろうが、それに近いものをもって打ち込んでいくべきだろう。
行動を起こすときに、最も大きな障害は自分自身の保守感だ。
これなら、と思えるものに心酔できれば、自分で足を引っ張ることもなく突き進めるだろう。
昔の日本人気質、武士道をもって日本の美徳としたいものだ。
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ついに政府軍と薩軍が衝突する。薩軍は高い士気を武器に政府軍を押していくが、弾薬や食料などの必需品が政府軍のそれらよりも乏しく、徐々に勢いを後退していく。桐野を中心として、戦い、退却を繰り返していくが、ついに小部隊が政府軍に旗をあげることとなった。西郷の気分はどんなものだったのだろうか。
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政府軍の進撃を早からしめた理由のひとつは、各地で降伏した薩軍の小部隊が、降伏するとともに政府軍の道案内をつとめ、薩軍の配置などを教えたからであった。べつに政府軍が強制したわけでもなく、「降伏したからには、官兵として働きたい」と、かれらが積極的に望んだからであり、その口上はさらに情緒的で「万死を冒して前罪を償いたい」というものであり、一種、奇妙というほかない。このことは日本古来の合戦の慣習であったであろう。降伏部隊は鉾を逆にして敵軍の一翼になるというものであり、駒を奪ればその駒を使うという日本将棋のルールに酷似している。ついでながらこの古来の慣習はその後の明治陸軍の弱点として意識されつづけ、日露戦争のときも捕虜になった日本兵は日本軍の配置を簡単にロシア軍に教えた。とくに敵中へ深く入りこむ騎兵斥候が捕虜になる場合、騎兵の特質上味方の配置を知っているために、かれらが口を割ることによって日本軍の作戦がしばしば齟齬した。この体験が、昭和以後、日本陸軍が、捕虜になることを極度にいやしめる教育をするもとになったといっていい。
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薩軍と政府軍の戦が本格化し、やがて終局へ向かっていく流れが記されている。
戦争とは、整然とした流れがあるのではなく、
大小様々な小競り合いが複雑に絡み合いながら、
戦局が定まっていくのだという事が読み取れる。
大まかな行軍ルートだけを決め、後は随時、
やみくもに目近の敵に向かっていくだけでは、いずれ弾薬・補給切れ、挟み撃ち等の不利な状況に自然と陥る。
大群を率いるには、大将だけでなく、優れた参謀が必要であるという事である。
薩軍にはそれがなかった事が敗因となる。
また、余談だが、普段縁のない鹿児島・熊本等の風土を知る事ができたのも大きい。
単なる、南国のその他多数の県と思っていたが、
歴史を知ることで、その重みを知る事ができた。
薩摩の武勇・熊本の議論好き。土地柄は今も生きているのだろうか。
また、官軍の鎮台兵一般の教育水準が意外と高いというエピソードは興味深かった。
百姓あがりの青年が、実に精緻な軍事日誌を記入している事に、
国家形成における教育の偉大さと重要性を再認識した。
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司馬遼太郎に初チャレンジした作品。が、10作もあり読むのに2ヶ月超もかかってしまったww
舞台は戊辰戦争後の明治初期。西郷隆盛を大きな軸として揺れ動く日本政府の動向をあらゆる人物の観点から追っている。よくもここまで調べたなって感心してしまう
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全巻通読後のレビュー。
全10巻という超大作であるが、もともと毎日新聞に連載された小説であるから、多々同じ記述が見られる。
しかしながら、明治維新後の日本の姿を鳥瞰的手法で世界史と関連付けて論じられている点で、日本近現代の始まりを理解する際の基礎理解には最適の入門書であると考える。
島津久光という超保守派の考え方から、維新を支えた革新派の面々の考え方が手に取るように分かる小説である。重要なのは士族の不満、百姓の不満がどのようなものであったか、であるが、それもこの小説では網羅されている。
物語は維新開始直後から、西南戦争(明治10年)を経て翌年の紀尾井坂の変(大久保の死)、さらに川路利良の病没までを描く。
明治維新は天皇の威を借りた王政復古という形でスタートした。それが後に軍の独走いうものを招くが、この時点ではそうせざるを得なかったということも、小説中で書かれている。
後の日本を支えていく山県有朋、伊藤博文、板垣退助、軍人で乃木希典、川村純義などが登場する。
西南戦争は8巻の半ばくらいから始まる。桐野、篠原ら薩摩隼人に担がれた西郷、悲劇のような最後の激闘である。西郷が桐野や篠原といった兵児(へこ)を最も愛し、彼らと生死をともにしたことは、西郷をうかがい知る上で、見逃せない点である。
西南戦争の中身についての描写は一流である。
時間がない方にも、8~10巻は読むことをお勧めしたい。
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○大久保の気魄として、物事のできる者ならば謀叛人でも使ってゆきたい(24頁)
○組織なき後の人望家の重み
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西郷は桐野利秋や篠原国幹の政治的狂騒に乗せられ、だまされたに近い苦い思いを持ったのだろうが、西郷自身は島津久光から同じようにだまされたと思われ続けたのである。正に因果は廻るである。西郷のどこに人を惹きつけてやまない魅力があったのだろう。この小説からはそこがよく分からない。
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田原坂での敗退、熊本撤退、人吉撤退、日向敗走まで。帝国陸軍なら転進と言っただろう。結局、日本の軍部は歴史から何も学ばなかった。「衝背軍」の章になって、題名の意味が判った。しかし翔んでるのは思考内容だけ。相変わらず記述がくだくだしい。連載の枚数稼ぎかと邪推する。
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明治維新直後の不安定な時代を描いている。
征韓論から西南戦争にいたる5年間が舞台。
西郷隆盛を始め多数の人物のエピソードと緻密な時代考証にその時代を知る思い。