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雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)
雪の結晶の研究で有名な物理学者・中谷宇吉郎は、随筆家としても名を馳せた。「雪の十勝」「兎の耳」「立春の卵」「地球の円い話」「イグアノドンの唄」など、科学の面白さと味わいに...
雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)
雪は天からの手紙
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商品説明
雪の結晶の研究で有名な物理学者・中谷宇吉郎は、随筆家としても名を馳せた。「雪の十勝」「兎の耳」「立春の卵」「地球の円い話」「イグアノドンの唄」など、科学の面白さと味わいに満ちたエッセイ21編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
雪の結晶の研究で有名な物理学者、中谷宇吉郎。寺田寅彦に師事し、随筆家としても名を馳せた。「雪の十勝」「兎の耳」「立春の卵」「地球の円い話」「イグアノドンの唄」など、科学の面白さと味わいに満ちたエッセイ22編。【商品解説】
目次
- Ⅰ 北国での研究
- 雪の十勝
- 雪を作る話
- 低温室だより
- 南極・北極・熱帯の雪
- 雷 獣
- Ⅱ 科学者たち
- 球皮事件
- 「茶碗の湯」のことなど
著者紹介
中谷 宇吉郎
- 略歴
- 〈中谷〉1900〜62年。石川県生まれ。東京帝国大学物理学科で寺田寅彦の指導を受け、実験物理学の道に進む。雪の結晶の研究に打ち込み雪氷学の分野を確立した。
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著者/著名人のレビュー
今日は立春。 19...
ジュンク堂
今日は立春。
1947年の立春の日、各新聞に写真入りで大々的に報じられたのは
「立春の時に卵が立つ」というニュースです。
なんでも中国の古書から発見されたとか。
本書におさめられている「立春の卵」は、著者である
物理学者・中谷宇吉郎が「なぜ立春なのか」「卵は立つものなのか」を
検証するお話。
実験と思考の末に、著者がたどりついた大発見とは・・・。
その他、科学にまつわるエッセイ20編。常識にとらわれず日常を見つめる、
科学者のそんな思考にふれられる一冊。
【折々のHON 2011年2月4日の1冊】
紙の本
科学的懐疑を日常的に抱けば得られる愉しみ、可能性と限界があるから面白い科学の魅力などを書いた雪氷学の世界的権威のエッセイ。深く温かい。とりわけ『失われた世界』を子どもと読んだ後日談に、泣ける!
2002/08/22 14:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学者のエッセイといえば、『吾輩は猫である』の寒月のモデルとも言われる寺田寅彦のそれが白眉だ。中谷宇吉郎は、東大の寺田研究室で物理学の基礎と研究への姿勢を学んでいる。研究費が少なく設備も貧弱な新設大学でも弱音を吐かないよう、恩師にアドバイスを受けた中谷は、北海道に赴き十勝岳で雪の結晶を採集することから始めた。
本書には記述がないが、米国に雪の結晶に魅せられたベントレーという写真家がいた。『雪の写真家ベントレー』という伝記絵本があるが、科学の対象として雪に対峙した研究者は世界にはまだいなかったのである。ベントレーの写真を中谷は見ていたそうだ。
本書のタイトルとしても使われている「雪は天から送られた手紙である」という名言は、その伝記絵本にも添えられているが、中谷宇吉郎の科学的資質と文学的資質が見事に表徴された言葉ではないだろうか。
何てロマンチックな表現だとかねてから感心していたが、天文学者の池内了先生による『雪は天からの手紙』解説には、「上空大気の温度や湿度の情報が雪の結晶という手紙として送られてきていると確信した、そんな初心を思い出したのではないでしょうか」とある。科学者たちの視座を初めて知り、「そういうことか」と益々感心させられた。
科学的情報を雪の手紙として受け止めるような感覚、すなわち「科学的意識」と「美意識」の止揚並びにデュアリズムが、傑出した科学者の特徴ではないかと私は感じている。
生活者の誰もがそれを持つべきではないかというようなことが、中谷宇吉郎のメッセージなのかもしれないとも思う。
終戦から4年後の1949年に湯川秀樹のノーベル賞受賞が決定した。理論物理学にはやはり同賞に輝く朝永振一郎という巨人もいた。恩師・寺田寅彦のことも含め、中谷宇吉郎がそうしたキラ星のごとき先達たちに触れて書いたエッセイが「科学者たち」という章にはまとめられている。
彼らのなかに共通に見いだせた心のありようが、著者自身の独創的研究への熱意を支え、あるいは研究対象に対する謙虚さを保ちつづけるように機能したのであろう。ここに収められた滋味あふれる文章を読んでいると、「雪は天からの手紙である」という言葉を、この研究者をして言わしめた人類のポテンシャルとでも言うべき大きなもの、その力を感じるのである。
「北国での研究」と題された章では、厳寒の戸外で作業をつづけたり真夏に低温室で研究をすることが書かれているが、エッセイにおいても恩師のアドバイス通り弱音は吐かれていない。雪山で雑作なく焚火をしてみせる当地の老人への感嘆やら、工学部や医学部にも場所を提供している低温室の盛況ぶりなどをおもしろおかしく書き留めている。
線香花火の火球の化学反応や、土器の曲線を統計学的に捉えようとした弟の研究などを書いた「日常の科学」の章も、世を騒がせた千里眼の女性たちの話や、立春に卵が立つという話に触れた「科学のこころ」の章も、深い洞察によるくユーモアのセンスが光る。
最後の「若き君たちに」の章に収められた「イグアノドンの唄」は、疎開先の羊蹄山麓で送った終戦の冬の思い出であるが、全編のなかでも非常に印象深い。科学や物語などを育む想像力の素晴らしさが、生の厳しさとともに描かれている。加えて、ここに至り、中谷にとっての「雪は天からの手紙」のもう一つの重い意味が理解できる気がした。
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研究の結晶
2016/11/15 09:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
御船千鶴子や長尾郁子など、科学を否定する超能力者には厳しい。一方で雪や氷など自然界の極小のそんざいには、やさしいまなざしを向けていた。