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ローマ人の物語 5 ハンニバル戦記 下 (新潮文庫)
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紙の本
カルタゴの消滅
2012/06/13 18:25
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハンニバル戦記最大の山場「ザマの戦い」である。スキピオ・アフリカヌスとハンニバル最後の戦い。まるで大画面で映画を見るような迫力である。戦いが終わり、二人は出逢い、認め合い、分かれる。
そして紀元前183年、スキピオは52歳、ハンニバルは64歳で死に、二人の時代は終わりを告げる。
その後、カルタゴはアフリカヌスの孫、スキピオ・エミリアヌスによって滅ぼされる。降伏勧告を最後まで拒絶し続けたがゆえの結果である。玉砕戦法は、国を道連れにする心中となる。
〈心に残った言葉〉
「年齢が、頑固にするのではない。成功が、頑固にする。」
「優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的関係では、持続は望めない。」
「真に優秀な弟子ならば、師のやり方の全面的な模倣では終わらない。必ず、与えられた条件のオリジナルな活用も、忘れないものである。」
「ハンニバルの不幸は、優れた弟子が敵方に出てしまったことであった。」
「戦争という、人類がどうしても超脱することのできない悪業を、勝者と敗者でなく、正義と非正義に分けはじめたのはいつ頃からであろう。分けたからといって、戦争が消滅したわけでもないのだが。」
「何ごとにおいてもおだやかなやり方は、相手もそれに同意でないと成立しえないという欠点をもつ。」
「他者よりも優れた業績を成しとげたり有力な地位に昇った人で、嫉妬から無縁で過ごせた者はいない。ただし、嫉妬は、それをいだいてもただちに弾劾や中傷という形をとって表面化することは、まずない。嫉妬は、隠れて機会をうかがう。機会は、相手に少しでも弱点が見えたときだ。スキャンダルは、絶対に強者を襲わないからである。」
「介入とは、長引けば長引くほど介入した側に不利に変わる。」
「歴史を後世から眺めるやり方をとる人の犯しがちな誤りは、歴史現象というものは、その発端から終結に向って実に整然と、つまりは必然的な勢いで進行したと考えがちな点である。」
紙の本
カルタゴ
2019/12/02 20:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫43巻の5巻目。読み通せるか不安を抱きつつ読み始めましたが、大変読みやすく、世界史に無知な自分でも読めそうです。
紙の本
カルタゴ、滅びる。
2015/08/30 19:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
ザマに繰り広げられたハンニバルとスキピオの最後の決戦。結果、スキピオ率いるローマ軍は勝利し、第二次ポエニ戦争はローマの勝利に終わった。これをきっかけに次々と地中海世界の強国を倒し超大国となったローマ。そして、紀元前146年、ローマとカルタゴは最後の戦いに突入した・・・
誰よりもローマ壊滅を願い誰よりもそれに近づいたハンニバルが、結果を見ると誰よりもローマの成長に力を貸してしまったという作者の考察には納得させられたし、皮肉な物でもあった。古代最大の戦争とハンニバルとスキピオという最高級の名将が直接激突する戦闘を扱っている、得難い戦記であった。
ちなみにカルタゴの名将・ハンニバルは人食い殺人鬼のハンニバル・レクター博士とは無関係です!
紙の本
「常勝軍団ローマ」誕生。
2002/08/20 19:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:富澤 正太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は、ハンニバルの猛攻に耐え続けたローマがスキピオという名将を登用することで、起死回生の策を決行する……。ローマフアンであるならば、ポエニ戦争の勝利、カルタゴの滅亡という、最も「盛り上がる」瞬間の一つが訪れる。自分もわくわくしながら読んでしまった。
この戦いを通じてローマは地中海世界でまぐれもなくNo1の地位を獲得する。これまで、さんざんハンニバルに攻撃され続けてきたローマであったが、塩野氏はなぜ、ローマは突き崩されることはなかったのか、理由を述べている。
そして、今まで、どうしてもハンニバルと対等に勝負することはできなかったのが、スキピオの出現によって勢力を挽回したのであるが、なぜ、彼がハンニバルを越えることができたのか、理由を述べている。そして、かれが創出した戦法によってローマは地中海世界を制覇するのである。「常勝軍団 ローマ」の誕生である。
ローマは民主主義の国家である。名将スキピオも初めスペイン遠征へ出発するのに、元老院の承認が必要であったし、最後、アフリカで決戦をする、というスキピオの策略もローマ中をあげての大論戦となった。現実にはその作戦がまさに正しいことが証明されたのであるが、私はそうした経過を辿っている塩野氏の筆があたかもその場にいたような錯覚を起こさせるようである。ローマの民主主義は本当に騒がしい、と同時にほほえましい。当時の人にとっては死活問題なのであろうが。
ともあれ、このローマカルタゴ戦争はまさしく、ローマを一人前の大人に変えたのだと思う。