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謎解き伴大納言絵巻
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.6 4件
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この著者の新着情報

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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2002.7
  • 出版社: 小学館
  • サイズ:21cm/239p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-09-626221-8
  • 国内送料無料

紙の本

謎解き伴大納言絵巻

著者 黒田 日出男 (著)

さまざまな推理の歴史をたどることにより、なぜ「謎」が生まれたのかをつきとめ、「絵画史料論」の方法を駆使しながら絵巻の表現の豊かさを読み解き、隠された「真実」に迫る。推理小...

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謎解き伴大納言絵巻

2,052(税込)

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商品説明

さまざまな推理の歴史をたどることにより、なぜ「謎」が生まれたのかをつきとめ、「絵画史料論」の方法を駆使しながら絵巻の表現の豊かさを読み解き、隠された「真実」に迫る。推理小説を読むようなおもしろさ。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

黒田 日出男

略歴
〈黒田日出男〉1943年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。東京大学史料編纂所教授、所長を経て、同画像史料解析センター長。著書に「境界の中世象徴の中世」「謎解き洛中洛外図」など。

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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.6

評価内訳

  • 星 5 (2件)
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  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

本当に面白い本は、思わぬ衣裳で現れる

2002/10/15 20:25

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み終わって涙が止まらなかった小説、新しいものの見方を知った衝撃で仕事に手がつかなかった歴史の本、嬉しくてメールを送りまくったファンタジー。今までも、そういうエポック・メイキングと呼ぶに相応しい本に出会ってきた。トールキン『指輪物語』、北村薫『スキップ』、半村良『妖星伝』、小野不由美『十二国記』、小林英樹『ゴッホの遺言』、梅原猛『隠された十字架』、レーニン『国家と革命』。感動の種類こそ違うけれど、面白さは一級品。そんな傑作群に、新たな仲間が現れた。それがこの本。ともかく、皆に喜びを伝えたい。

最初に断っておく、娘もそうだが私も決して歴史の成績が良くない。そのせいで伴大納言絵巻という字を見てもピンと来なかった。絵巻といえば鳥獣戯画か信貴山縁起絵巻、それが限界。ところが黒田日出男に言わせれば、伴大納言絵巻は初期絵巻の中で最も歴史に近く、しかも冒頭の炎上の様は日本絵画史上最高の傑作だという。そこに描かれる〈謎の人物〉が誰かという謎解きが1933年以来、多くの論者によって繰り返され、それは絵巻同様、非常に有名なことだというから、初めて知る私には驚きだ。といって、黒田はこの絵巻や〈謎の人物〉論争を周知のものとして読者を突き放しているかといえば、全く違う。私にも分るように極めて懇切丁寧に、内容を説明してくれるのだ。

出光美術館所蔵のこの絵巻は、現在は上中下の三巻、当初は一巻仕立てだったらしい。絵師は12世紀後半、後白河院周辺で活躍した宮廷絵師常盤光永説が有力。866年の応天門炎上に端を発した政変を描いている。ただし史実としての応天門の変ではなく、説話としての変で、宇治拾遺物語の巻10の第一話「伴大納言、応天門を焼く事」に対応している。〈謎の人物〉とはこの上巻の第13紙に描かれている清涼殿庭上の束帯の貴族と、第14紙の清涼殿に広庇にいる束帯姿の若い貴族のことだ。この人物が、70年以上にわたって謎であり続けている。黒田はそれを、『伴大納言絵巻』の表現や文法・構成、絵巻物の素晴らしさと面白さを見ながら解き明かしてくれるのだから、堪えられない。論証は読んでもらうしかない。

〈謎の人物〉が誰であるかは、決して驚くものではないけれど、これに勝る論考が今後現れるとは思えない。それほどに黒田の結論の導き方は、見事だ。それだけではない、「つまり〈謎の人物〉論というのは、本当の〈謎解き〉ではなかった。哲学でいう一種の「擬似問題」であり」云々の文で示される明確な論理の立て方の紹介は、言葉の為の言葉を探すような不毛な論争の愚を教える。北朝鮮問題を、総理大臣の土産のマツタケ問題にすり替え、こちらのほうが大切と主張する代議士先生に煎じて飲ませたいくらいだ。

この本で知らされた絵巻物に用いられている手法は、他のたとえば日本画や、漫画、アニメーションや映画の中に生きている。それを知った私は、博物館で絵巻を見るたびに抱いた「この雲は何だろう」とか「区切りの無い画面から人はどうして話をよむのだろう」という疑問から解放され、もっと素直に作品に対することができるようになった。この絵巻を所蔵する出光美術館に行きたくなっただけではない、国立博物館のあの細長い展示ケースを覗き込む日が来るのが待ち遠しくてならない。こんな気持ちになったのは和辻哲郎『古寺巡礼』を読んだとき以来かもしれない。この本の存在を教えてくれた新聞の書評に、感謝。

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2013/03/10 17:40

投稿元:ブクログ

ひとりの男が後ろ向きに立っている。衣冠束帯に身を固め、手には笏を持った様子は何やら畏まって見える。いったいこの男は何者なのか。それが、国宝『伴大納言絵巻』にまつわる第一の謎である。さらにそのすぐ近く、清涼伝の広廂(ひろびさし)にいる束帯姿の貴族が第二の謎をよぶ。 二人は同一人物か、それとも別人か。1933年福井利吉郎が言及して以来、何人もの研究者がそれぞれ別の見解を披瀝しながら、この謎はいまだに解明されていない。

おおよそ、絵巻たるもの絵と交互に配置される「詞書」によって群衆はいざ知らず、主たる登場人物なら特定される描き方がなされているのが当然。まして常磐光長作と伝えられるこの絵巻は、応天門に上がる火焔一つとってみても並々ならぬ力量を持つ絵師の手になる作品である。主要な人物が特定できないなどという「謎」がなぜ生じたのだろう。黒田のいう「謎解き」とは、その謎を解こうとするものである。

著者は、「これまでの論では<謎の人物>にこだわるあまり、肝腎の『伴大納言絵巻』の表現や文法・構成の豊かさに迫る努力を怠ってきたようにも思われる」と述べ、『伴大納言絵巻』に関するこれまでの研究のディスクール(言説・議論)の批判的読解を行うとともに、絵巻そのものをテクストとしてディテールを吟味しつつ絵巻物のコードに沿って読み解いていく。

人によっては文法ほど面白くないものはないとも感じるらしいが、文法なくして精緻な読解は不可能である。それは文学に限らない。絵画や音楽のような芸術はもとより、社会的事象を読む際にも不可避である。文法もしくはコードを知ることによって、テクストの意味するものがはじめて明らかになる。適切なコードに拠らなければ世界は不可解な暗号めいた織物でしかない。

一例を挙げよう。右から左に進んでいくという絵巻の文法に則ってはじめて、後ろ向きの男は今どこかから戻る場面であるということが分かるのだ。著者はまた人物の身体的特徴(髭の有無や髷)や衣服、被り物、履き物に至るまで徹底的にディテールを分析する。さらには仕切りのコードとして用いられている霞や門、樹木が画面上で果たす段階的な役割を明らかにした上で、先行する研究者が着目しながらも解決するに至らなかった「欠落する一枚」を復元してみせる。欠けた一片が見つからなかったため絵柄の分からなかったジグソーパズルがその1ピースで完璧な絵に仕上がるように『伴大納言絵巻』の謎は解決される。その推理の鮮やかさ、論理の明快さは名探偵顔負けで、凡百のミステリーの数倍は面白い。「絵巻」に特別な興味関心がなくても構わない。パズル好き、探偵小説ファン、歴史愛好家ならぜひ一読をお薦めする。

2013/08/24 17:54

投稿元:ブクログ

9世紀の謎の応天門の炎上。これにより伴善男大納言が失脚し、藤原氏が地位を固めたと言われるが、この絵巻は12世紀後半に約400年後に説話を基にして書かれたという。この中に登場する源信、藤原良房、基継、良相そして伴善男等の浮沈がドラマティックに描かれている素晴らしい作品ですが、盗み聞きをしている謎の人物は誰なのか?(この5名の誰か?)などと興味深い論争が70年も続いているそうで、それの解き明かしが楽しい推理です。スタジオ・ジブリの高畑勲監督も著述、絶賛しているそうです。確かに通じるところがありそうです。

2014/04/26 20:19

投稿元:ブクログ

誤り多すぎなので修正。BS歴史館「日本のフィクサー・藤原氏」で伴善男冤罪の話をやってて、絵を見た人たちが「こいつが真犯人なんだ」って指した人物の絵が薄くなってるという話が面白かったので読んでみた。作者の黒田先生はかなり熱い人で、あくまでも絵巻の謎解きであって史実をまぜこぜにしてはいかんと、のっけから怒られるのでそれは置いといて。主題の謎解きも面白いけど、絵に描かれたままを読みとってクリアに解説してくれる、観賞に最適なガイド本で、絵巻をじっくり見たくなった。訂正)ボストン美術館展で観た平治物語絵巻とちょと混同。

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