読割 50
紙の本
人間豹 (創元推理文庫)
著者 江戸川 乱歩 (著)
燐光を放つ双眸炯炯と、野獣の膂力を持つ人間豹。人と豹のあわいに生まれ落ちたか、千古に解き難き謎を秘めた怪物は、帷幄の臣たる父親と戮力協心、神算鬼謀をもって帝都市民の心胆を...
人間豹 (創元推理文庫)
人間豹
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商品説明
燐光を放つ双眸炯炯と、野獣の膂力を持つ人間豹。人と豹のあわいに生まれ落ちたか、千古に解き難き謎を秘めた怪物は、帷幄の臣たる父親と戮力協心、神算鬼謀をもって帝都市民の心胆を寒からしめる。さしもの名探偵明智小五郎も一敗地に塗れ、不逞の輩はあろうことか明智夫人に毒手を伸ばす。文代さん危うし! 挿絵=岩田専太郎・嶺田弘【本の内容】
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紙の本
哀しき怪人「人間豹」
2002/10/07 21:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:小笠原功雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸川乱歩創元推理文庫版の最大の魅力は作品の雑誌連載当時の挿絵の再録にあると私は思っている。乱歩の世界に身も心も耽溺させるかのような甘美で濃密な香りを醸し出すかのようであり、また今となっては想像するしかない当時の時代の空気をノスタルジーに変えて伝える貴重な資料でもある。さて、本書でも特に私の好みは、「闇にうごめく」の章の怪人恩田の図。夜の闇にインバネスコートを怪鳥の羽のようにひるがえし、じだんだを踏む姿はまさに異形の恐怖と興奮を描いて絶品。更に続けて犬を恫喝する姿の図では、インバネスコートがマントのように大きく閃いて見るものへの威圧感にとどめをさす。
しかしストーリーは今読めば何処か哀しい。永遠の理想の女性を追い求めて得られずに暴れまわる恩田はまるで寂しがりでわがままな子供。そして都市の迷宮を彷徨い果てしない追いかけっこを繰り返す明智も小林くんも文代さんも、皆鬼ごっこを繰り返す子供のよう。対照的に都市の他の人々は皆レビュー仮面に本当の表情を隠した大人であり、この子供達が、大人達の注意を引くためにやんちゃをしているみたいだ。本当に東京は怪人の恐怖に震えていたのだろうか。
紙の本
嶺田弘,岩田専太郎の挿し絵付きで蘇る乱歩世界の禍々しさ
2006/06/27 13:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
創元推理文庫のこのシリーズ,18巻目の「幽霊塔」(1997年初版)で完結したんだと思っていたら,オレに何の断りもなく(いや,断りようもないんだけど)5年後の2002年に突然この「人間豹」を,翌2003年に「悪魔の紋章」を出していたのだ。それ以降はまた沈黙,次は2008年か?
舞台は東京,親の会社の重役に収まってボンボン暮らしを満喫している神谷は,行きつけの銀座のカフェである晩奇妙な男に会う。恩田と名乗るその男は神谷の恋人である女給・弘子に懸想し,神谷の目前で彼女に指輪を渡そうとする。数日後,弘子が失踪,神谷は苦心してその行方を突き止めるのだが逆に恩田の虜となってしまう……。推理小説ではなく探偵小説,八本正幸言うところの「仮面ライダー的怪人」の先駆である人間豹と名探偵明智小五郎の対決は「のぞきからくり」の中のよう。乱歩自身はこれを「全体にチグハグ」と述べているが(このシリーズには乱歩自身の短い「自註自解」もついている),いやそんなこたぁありませんよ先生,やめられないとまらないのエビセン本であります。
乱歩の本はいろんな出版社から出ているが,オレが特にこのシリーズを買っているのには理由がある。たとえばこの「人間豹」は昭和9年〜10年,「講談倶楽部」(これってもしかして今の講談社が出していたのかしら)に連載したものなのだが,このシリーズでは,その連載時の挿絵(ちなみにこの本では岩田専太郎と嶺田弘……あの岩田専太郎だぞ……って知らないヒトは知らないか)をもそのまま本文に入れ込んで収録しているのである。これがまたなんともいいんですよ,旦那(誰?)。
紙の本
編集部コメント
2003/06/09 18:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東京創元社編集部 - この投稿者のレビュー一覧を見る
燐光を放つ双眸炯炯と、野獣の膂力を持つ人間豹。人と豹のあわいに生まれ落ちたか、千古に解き難き謎を秘めた怪物は、帷幄の臣たる父親と戮力協心、神算鬼謀をもって帝都市民の心胆を寒からしめる。さしもの名探偵明智小五郎も一敗地に塗れ、不逞の輩はあろうことか明智夫人に毒手を伸ばす。文代さん危うし! 初出掲載時の挿絵付。