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- カテゴリ:一般
- 発売日:2002/09/10
- 出版社: トランスビュー
- サイズ:20cm/229p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-901510-09-6
紙の本
チョムスキー、世界を語る
著者 ノーム・チョムスキー (著),ドゥニ・ロベール (インタビュア),ヴェロニカ・ザラコヴィッツ (インタビュア),田桐 正彦 (訳)
20世紀を代表する言語学者にして最もラディカルな思想家チョムスキーが、メディア、権力、経済、外交、言論の自由、グローバリゼーションなど現代世界の主要な問題を語り尽くす。比...
チョムスキー、世界を語る
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商品説明
20世紀を代表する言語学者にして最もラディカルな思想家チョムスキーが、メディア、権力、経済、外交、言論の自由、グローバリゼーションなど現代世界の主要な問題を語り尽くす。比類なき知性が照らし出す衝撃的な世界像。【「TRC MARC」の商品解説】
グローバリゼーションのもとに振りかざされる“正義”や“自由と平等”の虚像。
知識人とメディアの責任、言論の自由を軸に、現代世界の政治・経済・社会など、あらゆる問題を語り尽くす。チョムスキー思想の全体像を引き出した1999年の長編インタビュー。【商品解説】
目次
- 知識人の腐敗
- 言論の自由
- 権力の中心・1
- 資本主義
- 不可視の経済
- 権力の中心・2
- 民主主義
- メディア
- 外交政策
- エピローグ
著者紹介
ノーム・チョムスキー
- 略歴
- 〈チョムスキー〉1928年米国生まれ。マサチューセッツ工科大学教授。生成変形文法理論で20世紀言語学に「チョムスキー革命」をもたらす。
〈ロベール〉フリーのジャーナリスト・小説家。
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紙の本
反体制だけに見える真実
2002/09/30 18:15
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:守屋淳 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いま、反体制的なスタンスってあまり人気がない。
国家の横暴さや、権力の酷さ、今ならグローバルスタンダード反対などと語っても、「あんたの言っていることには代案がないんだよ、代案が!」(田原総一郎調)とかいじめられ、能なし評論家とか罵られつつシュワシュワと小さくなるのが関の山だったりする。
しかし、そんな没落しつつある反体制に、いまだ輝き続けるスターがいる。
ノーム・チョムスキー——「生成文法」によって、言語学に革命を起こしたといわれる知識人だが、世界や社会問題を語らせると、その舌鋒の鋭く強いこと。もちろん、アメリカ同時多発テロ後に出版されベストセラーになった『9・11 アメリカに報復する資格はない』(文藝春秋)などを読んだ方なら、書かずもがなのことだろう。
本書は1999年の暮れにチョムスキーに対して行なわれたインタビューの翻訳であり、同時多発テロが起こる以前の状況を元に、世界を語っている。しかし、これがまさに今の世界状況を予見したような言葉だらけなのだ。
《米国・英国はかんたんに実力行使に出る国だと思われたいと望んでいるのです》
《今後の米国の立場は次のようなものになります。われわれの外交政策の要(ルビ:かなめ)は、核兵器である。われわれは核拡散防止条約(NPT)を破棄する。われわれは、たとえこの条約に加盟した国を相手にする場合でも、先手を打ってこちらから叩く権利を放棄するような約束をするつもりはない。われわれは、どの国に対しても、こちらから攻撃をしかけられる体制になければならない。つまり、受けた攻撃に対する報復としてだけでなく、予防的な意味合いでの先制攻撃である》
イラクを攻撃しようとするアメリカの姿を、三年以上前にずばり指摘しているのだ。
他にも、アメリカや西欧諸国のエゴの犠牲となり続けている世界の紛争地での悲劇や、国のプロパガンダに積極的に協力するマスコミの姿、大企業のやりたい放題の姿勢などを抉り、読んでいて鳥肌がたつような迫力、反体制だからこそ見える真実を提示する。
印象的なのは、エチル社が開発・販売した有鉛ガソリンという商品の話。これは車のアンチノック剤として盛んに使われ、アメリカ経営学のカリスマであるドラッカーも『マネジメント』(ダイヤモンド社)の中でこの商品の成功プロセスを絶賛していたのだが……
《一九七二年、政府はついにこのガソリンを禁止しました。ちなみにこれが、環境保護への配慮から厳しくなった新法への第一号です。その結果、すぐに子供たちの体内の鉛の蓄積量の低下が認められました。このときエチル社は有鉛ガソリンをヨーロッパにもっていって売り、ヨーロッパでも禁止されると、こんどは第三世界諸国で売っているのです》
輸入血液製剤による薬害事件などと同じ構図は、どこでも繰り返されているらしい。
TVや新聞などの報道とは違う視点で、世界を眺めたい方に、ぜひ。 (守屋淳/著述・翻訳業)