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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.10
- 出版社: ナカニシヤ出版
- サイズ:20cm/224p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-88848-723-5
紙の本
身体のエシックス/ポリティクス 倫理学とフェミニズムの交叉 (叢書=倫理学のフロンティア)
身体・差異・共感をめぐるポリティクス、「自己決定する自己」と身体、違和としての身体など、身体をめぐる今日的な倫理的状況を、ジェンダーとセクシュアリティに関わる問題系におい...
身体のエシックス/ポリティクス 倫理学とフェミニズムの交叉 (叢書=倫理学のフロンティア)
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商品説明
身体・差異・共感をめぐるポリティクス、「自己決定する自己」と身体、違和としての身体など、身体をめぐる今日的な倫理的状況を、ジェンダーとセクシュアリティに関わる問題系において論じる。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
身体・差異・共感をめぐるポリティクス | 金井淑子 著 | 3-35 |
---|---|---|
「自己決定する自己」と身体 | 田村公江 著 | 36-58 |
バトラー理論の新たな倫理的ヴィジョン | ギブソン松井佳子 著 | 59-74 |
著者紹介
金井 淑子
- 略歴
- 〈金井〉1944年生まれ。横浜国立大学教授。著書に「女性学の挑戦」ほか。
〈細谷〉1957年生まれ。関東学院大学助教授。著書に「性別秩序の世界」ほか。
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著者/著名人のレビュー
さるギリシアの哲学...
ジュンク堂
さるギリシアの哲学者は、ある時手淫をしながら、こう言ったそうだ。「空腹もこのように腹をさすることで満たされるならいいのに……」このエピソードは、最も近しいはずの自分の「身体」が、私たちにとってコントロールしきれない存在であることを伝えている。つまり、私たちは身体に宿命的に拘束されているわけでもないが、そこから完全に自由でもないのである。
性暴力、売買春、生殖技術、同性愛、アイデンティティ……。本書が論じるこれらのテーマは、すべて「身体」に深く関わる。
しかし、従来のジェンダー/セクシュアリティ研究は、この「身体」という問題を棚上げしてきてしまったのではないか。私たちが自分の身体から全く切り離されてあるかのように……。
このような問題意識のもと、たんに自由や自己決定権を論じるだけの「権利論」にとどまらない、倫理学の視点から、きわめて今日的なジェンダー/セクシュアリティの問題にアプローチしたのが本書である。
出版ダイジェスト:2006年5月
テーマ『身体と文化が交差する地点 性(セックス)とは何か 禁忌と好色』より
紙の本
フェミニズムと倫理学が交差する場所に「身体」がある
2003/03/31 17:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:森岡正博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フェミニズムと倫理学が、いま急速に接近している。その二つが交差する場所こそが、私たちの「身体」だ。たとえば、代理母や体外受精は、「産む性」である女性の身体を抜きにしては語れない。買売春や、セクシュアリティなどもそうだ。
本書を読むと、いま何がほんとうに問題なのかが浮かび上がってくる。一〇本の論文が収められているが、そのなかで最も衝撃的なのは、浅野千恵さんが書いた「性暴力映像の社会問題化」という文章だ。
浅野さんは、女性をほんとうにレイプしたり虐待したりしているように見えるアダルト・ビデオを取り上げる。そういうビデオに出演した女優たちは、将来、深刻なトラウマを背負ってゆかねばならないはずなのに、ビデオを消費する男たちは、この問題を頭の中から消し去っている。
浅野さんは、それに加えて、新しい論点を提出する。それは、このようなビデオを見てしまった視聴者が受けてしまう心的被害である。このような問題意識を持つに至った背景には、浅野さん自身の体験がある。彼女は、調査や議論のためにこの種のビデオを繰り返し見るのだが、その結果、虐待シーンや暴力映像がいきなりフラッシュバックしてきたり、ふとしたときに心臓が苦しくなったり、突然恐怖や怒りにおそわれたり、人間不信に陥ったりした。
性暴力映像は、出演した女優だけではなく、それを見てしまった女性や、見させられた女性に対しても深刻な被害を及ぼす危険性があるのだ。浅野さんによれば、性暴力映像の問題を訴えていた女性が、自殺してしまった。その女性の手記を読むと、彼女自身がその映像によって精神的に追いつめられ、孤独と絶望に沈んだことが記されている。浅野さんは、その女性の自殺の背後には、このトラウマがあったのではと推測している。男性たちにはまったく認識されてこなかった問題が、いま明らかにされた。
このほかにも、河口和也さんは、同性愛者への暴行が、なぜ本来の意図を超えてまで執拗に行なわれるのかを分析し、この社会に潜む同性愛嫌悪の深刻さを浮かび上がらせている。二論文ともに必読である。
初出:信濃毎日新聞