- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.10
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/205p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-06-211395-3
紙の本
熊の場所
著者 舞城 王太郎 (著)
僕がまー君の猫殺しに気がついたのは、僕とまー君が二人とも十一の時、一緒に西暁小学校に上がり、同じ教室で勉強し始めて五年目の頃だった−。第15回三島由紀夫賞候補作の表題作ほ...
熊の場所
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商品説明
僕がまー君の猫殺しに気がついたのは、僕とまー君が二人とも十一の時、一緒に西暁小学校に上がり、同じ教室で勉強し始めて五年目の頃だった−。第15回三島由紀夫賞候補作の表題作ほか、2篇を収録した短篇集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
熊の場所 | 7-84 | |
---|---|---|
バット男 | 85-144 | |
ピコーン! | 145-205 |
著者紹介
舞城 王太郎
- 略歴
- 〈舞城王太郎〉1973年福井県生まれ。2001年「煙か土か食い物」で第19回メフィスト賞を受賞し、デビュー。短編「熊の場所」が第15回三島由紀夫賞候補作となる。
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紙の本
実は、この本こそ私と舞城のファースト・コンタクトだった。戯曲『バット男』を読んだのを記念して、書評の復刻ってやつをやってみたんだねえ、本邦初の馬鹿げた試み。もちろん加筆訂正してます
2005/02/04 23:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「小学校の同級生のまー君。彼の鞄からころがり出た猫の尻尾らしきもの。でも僕は、その正体を聞くことは怖くて出来ない」幻想小説集。
これもまた、分類不可能な小説集で、ミステリとして読んでもいいのだが、そういった枠に収まらない面白さを持っている。そのせいか、表題作は三島由紀夫賞候補にもなっている。
何かほこほこした手触りの黄色いカバーに、愛らしい熊の絵、装丁はVeia/斉藤昭+兼田弥生。本分のイラストレーションも舞城王太郎で、これが何ともいえない味を出している。イラストつきの目次は、レイアウトもポップな感じで、見ているだけで楽しい。しかし、圧倒的なのは文章だ。それは、読まなければ味わえない。この本には表題作を含む3つの小説が収められている。
でだ、これが倉持裕 原作・舞城王太郎『バット男』を含む本と言うわけで、久しぶりに読み直すことにした。私が最初に読んだ舞城本のせいか、ショックで、文圧に関する印象こそあるものの、内容となると、凄かった、ということしか覚えていない。むしろ、当時中学生だった長女のほうがデティールについては詳しいくらいだ。
小学生の僕が怖れるのは、まー君。最近、近所から猫が消えるという噂がある。その尻尾らしきものを鞄にいれて持ち歩く不思議な少年と、彼を恐れながら、それを克服しようとする僕の不思議な付き合いを描く「熊の場所」。この作品は純文学誌 群像に発表され、三島由紀夫賞候補にもなったそうだが、たしかに受賞者の久間十義を思わせる所もある。賞の性格が見えて面白い。
バットを持ち歩き通行人を脅かしては、逆に殴られてしまう弱い男と、あるバスケ部の生徒が好きで好きで仕方の無い女子学生との溢れる愛情が産む悲劇を、さりげなくすれ違わせる「バット男」。これも群像に発表。相手に寄せる思いが大きすぎて、受け止めきれない若い男女の苦悩は、まさに現代そのもの。その点、暴走族から抜けて暮らし始めた若い2人だったが、恋人が死んでしまい、それに納得できずに少女が探し出す推理小説仕立の「ピコーン!」。これは書き下ろしで、タイトルとおりの奇妙な味のユーモア悲劇。
ともかく一つの文が長く、文章も長いため、本を開くと文字だらけの印象があるが、意外と読みやすいのが面白い。筒井康隆も似たようなことをやっているけれど、舞城には天然といった雰囲気が付きまとう。これを「圧倒的な文章力、圧倒的文圧で描かれる舞城ワールド」と出版社は宣伝するが、文圧とは上手いキャッチ。これだけの文章力は、京極夏彦以来だろう。
この文体を取り去って、ストーリーだけを持ってきて、戯曲にしたとき、確かに舞城らしさは半減する。それでも倉持裕 『バット男』には、王太郎の臭いがプンプンする。さすがだなあと感心する。それにしてもだ、メフィストは日本文学の梁山泊である。さしずめ森博嗣が宋江、京極夏彦が魯智深、舞城が林仲と喩えたらどうだろう。ちょっと違うな、いや全然違うか。
紙の本
身近に甘美な暴力がやってくる。
2003/04/25 23:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マイッタね! 初体験の舞城王太郎なので、恐る、恐る、読んだんだが、
この暴力的文体に年寄りの身体リズムは共鳴してしまった。
この著者のリズムの余韻を、そのままに、「マイジョウ」になっちまって、
書き込むというより、音が聞こえそうな、皆さんの、書評に反応して、
騙されてみようかと、手に取ったのでした。
『熊の場所』『バット男』は群像に収載されたもので、『ピコーン!』は書き下ろしである。この短編集は純文学の範疇に入るらしい。帯に「何が飛び出すか誰にもわからない最強の純文学!」とあった。
未読の他の作品はミステリーなのですか?
「恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない」(熊の場所より)としたら、マイジョウの他の作品にも当たって、このこびりついた毒気を拭い去らなければならぬ。
今までの、体験では本に限らず、すぽっと、単純に感化され、意識的にその対象に向かって、繰り返すと、突然、付き物が落ちたように、目が醒める。
かような信用ならぬオヤジなので、「マイジョウカンカ」も一過性なものかもしれぬ。
フィジカルな文体というか、手触りのぬくもりが残る感触は、この三編とも暴力が描かれているので、その身体性が際だって、ボディブローのように、
じわりと、効いてくるのだ。
「ピコーン!」の女子高校生であっても、性と暴力のてんこ盛りで、
にもかかわらず、この爽快感はなんだろうと、立ち止まることを許さず、
ライブ会場で、音のシャワーを浴びるが勝ちと、リズムに乗って、
むしろ、遅読で読むのが好きなオヤジのペースを、せせら笑って、せき立てる。
だから、超特急で読んでしまった。若い頃なら、いざ知らず、疲れ果ててしまった。
この熱の火照りをゆっくりと、冷ますために、今、書評を書いている。暴力的な極めて暴力的な舞城ワールドである。
今の段階ではこれしか言い様がない。此方に応戦しうる効果的な批評のパンチがない。負けました。
ただ、周りに甘酸っぱい暴力が闇の中で舌舐めずりしている音が聞こえるような気がしたのは、錯覚であろうか…。
紙の本
純真さと残酷さの3編
2018/05/06 09:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
動物虐待の恐怖に立ち向かっていく、少年を描いた作品が良かったです。子供だけが持っている純粋さと共に、残酷な一面も伝わってきました。