あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
人生なんて夢みたいなものさ
2005/07/12 11:15
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:間抜作 - この投稿者のレビュー一覧を見る
極太の線で書かれた独特の画風、あまり耳慣れない作者と
出版社。他人の書評がなければ存在すら知らなかったよう
な作品ですが、著者のデビュー作とは思えない完成度の高
さでした。
単なる短編連作オムニバスではなく、最終話ですべてのお
話が合流する巧みな伏線になっており、すべてのお話がど
こまで本当でどこまでウソかわからない巧妙なフィクショ
ンなので読者は現実から遊離したような感覚にとらわれま
す。南米産のオートバイ、宇宙飛行士になれなかった男の
ために書かれた虚構の別史、チェルノブイリ原発事故で「
向こうの世界」に行って戻ってきた男・・・。
劇中劇的に作者が登場したり、途中でストーリーが書き換
えられたり、読者自身が他人の夢に侵入したような強烈な
違和感に陥ります。そして壮大なフィナーレで人はみな、
人生という名のお芝居をエンドレスで演じているのかもし
れないと感じるのです。
最近のワンパターンな商業主義マンガとは一線を画す骨太
の作品と言えます。作者は寡作のようですが、ほかの作品
も是非見てみたい。
(この作品中の「ガガーリン大統領」の記憶に操縦不能の
ミグ15戦闘機の映像がフラッシュバックするあたりのオ
チは理解できる方がいるのでしょうか(^^;;)
紙の本
「今はどこかに行ってしまった人たち」への愛情
2008/02/24 20:12
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
島田虎之介氏のデビュー作。最初は「あ、短編集なんだ」と思い、途中で「あ、連作短編集なんだ」と思い直し、最後に「あ! ひとつの物語なんだ!」と思うという、そんなマンガ。
とある草サッカーチームのメンバーそれぞれにまつわるエピソードが、一話ずつ紹介されていく。その中に登場する人物や出来事により、20世紀の世界の歴史において起こりえたかもしれない別の側面が描かれる。この一つ一つのエピソードももちろん面白いのだが、それが少しずつ重なっていくラストでは、更に大きな物語が描かれる。この構想力・想像力、そしてその大きなフィクションを読ませる説得力がすごい。
そして物語からは、 「今はどこかに行ってしまった人たち」への愛情を感じる。最後のシーンに、その思いを余韻のように抱いた。