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商品説明
映画は社会を映す鏡であり、未来を予見する芸術である。そこで、映画を通して20世紀を振り返りつつ、世紀末の雰囲気と、そしてどのような21世紀を迎えたのかを探る。タイタニック現象、9・11の予見などのテーマを取り上げる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
長坂 寿久
- 略歴
- 〈長坂寿久〉1942年神奈川県生まれ。明治大学卒業。ジェトロ・アムステルダム所長等を経て、現在、拓殖大学国際開発学部教授。著書に「ベビーブーマー」「企業フィランソロピーの時代」など。
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紙の本
映画の意味を捉え、それを現在の中に浮かび上がらせて、未来に目を向けてくれる本
2003/08/21 17:28
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投稿者:詫助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今起こっていることの意味をどう捉えればいいのか、いわゆる「ものの見方」ということに、私はいつも興味があった。そしてその方法をずっと探していた。
この本「映画で読む21世紀」を読んだ時に、その水先案内を見つけたと思った。
この本の経済の章では、中国映画「初恋のきた道」が取り上げられている。息子が訪ねてきた今では年老いた母となった主人公の部屋の壁に「タイタニック」のポスターがかけられている(映画を見たとき私は気がつかなかったのだが)。それに想像をめぐらして、著者は、監督が、この映画の主人公が昔から胸に秘めていた何か新しいもの、町への憧れを象徴しようとしたのか、あるいはやがて中国を襲うアメリカニズムとの衝突の予見をしたのか、そのどちらを映画に挿入したのだろうかと考える。この水先案内によって、私は次からこの監督の制作する映画を、ある意味をもって鑑賞することになるだろう。
第9章「建築のグローバライゼーション」では、20世紀当初にニューヨークで生まれたマンハッタニズムが作りだした高層ビルによる「過密の文化」はその後、世界中に波及したが、今建設されているビルは未だその文化を継承しているものなのか。あるいは、マンハッタニズムから解放されて異なる未来都市へ向おうとしているものなのか。未来都市へ向っているのだとしたら、それはどんなものとなっていくのだろうか。それを牽引する建築家が誰なのか など、建築物のテーマにおける考える指針を、それを描いた映画を手段として示してくれる。著者は映画には時代を先取りしていく予見力があるという。
経済や建築物だけではない。「テロリズム」、「サイバースペース」、「愛の持続性」、「家族の崩壊と再生」、「女性たちの変化と生きがい」、「世紀末の日本人」などわれわれが日常生活で直面するテーマを、21世紀を迎えるに当たって、流れてきた歴史の中で映画を通して浮び上がらせ、未来を見るように仕向けてくれる。
どの章でも、その指針はグローバルの視点でカバーされているので、それでは日本はと、日本を客観的に見るきっかけも提供してくれている。
これは、一度だけ読みとおして終わりにするわけにはいかない本なのである。一つ一つの題を考えた時に、ある映画を見た時に、各章を開いて読んでみたい。これは私の座右の本となるだろう。