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商品説明
広告代理店でイベント企画をしている佐久間駿介が、取引先の副社長を相手に仕掛けた「狂言誘拐ゲーム」。駿介の計画は、完璧に遂行されるのか? 『Gainer』連載の「青春のデスマスク」を改題して単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
東野 圭吾
- 略歴
- 〈東野圭吾〉1958年大阪生まれ。85年「放課後」で江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。99年「秘密」で日本推理作家協会賞を受賞。著書に「レイクサイド」「トキオ」「超殺人事件推理作家の苦悩」など。
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紙の本
ゲームの審判は読者?
2002/11/26 13:11
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投稿者:逢坂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
その帯にまず目がいきました。青色の表紙に金の帯、これは目立ちます。その帯に書かれていた「前代未聞の誘拐小説! 事件は犯人側からのみ描かれる」という一文が、この本に興味を持ったのきっかけ。警察が誘拐事件に対してどのように動くのだろうか、また、そしてそれらに対しどのような対処方法があるんだろうか、というズレた好奇心がはたらいて手に取ってみたら──面白かった!
誘拐犯の主犯は主人公の佐久間駿介なのですが、作家自身の推薦文(これは書店で見られます)にもあるとおり、とにかくキザなんだけれど、キザに見合った能力を持った人という、この誘拐ゲームにはなくてはならないキャラクターを持った人物。キザといってもステータスやブランドにこだわる鼻持ちならないキザではなくて、自分自身、自分の能力にひたすらにこだわるという中身のあるキザ。素直にカッコイイ! と感じてしまった。
読む人によってはあまりに出来すぎた主人公に疑問を抱いてしまうかもしれないけれど、この誘拐劇は完ぺきに成し遂げられなければならない裏があった──最後のどんでん返しがこれまたビックリ。左手に残るページ数から考えればもう一波乱があるのはわかっているはずなのに、それでもドキドキしたしラストが待ち遠しくてたまらなかった。
ゲームの勝者はどちらか。私個人としては佐久間の判定勝ちにしてあげたい。
紙の本
囚われたのは誰
2020/06/15 15:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
狂言誘拐を思い立った犯人が、次第に精神的に追い込まれていく様子に手に汗握ります。事件の終わりが、更なる物語を呼び起こす後半が圧巻です。
紙の本
そんなゲームみたいな事はあり得ない。そう、それは正しい。
2004/06/30 17:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
久々に楽しい(?)ミステリーを楽しみました。(^_^;) いやあ、なかなか斬新な手法です。誘拐物は時代遅れじゃないぞ。これだから東野ファンは離れられないのだな。ひょんな事から始まった狂言誘拐(と、云っても脅迫を受けている家族側からは本物の誘拐ですが)ですが、これが犯人側の動向からだけしか書かれていませんので、被害者側の動向(主に警察の動きになるのでしょうけど)が一切分からないまま身代金の受け渡しまで持ってくるのですから、まさに(犯人側の気持ですが)ハラハラドキドキしてきます。いくら人質と犯人が結託していようと、読者は言うなれば悪側に立つわけですが悪い事を応援している後ろめたさを不思議と感じないのです。
広告宣伝業務のプロデュース会社に勤務する佐久間は大手自動メーカー日星自動車の新車売り込みのプロジェクトチームのリーダだったが、日星自動車副社長の葛城の横やりからリーダを外される。やけ酒を煽った勢いで葛城の住まいを一度見てやろうと深夜葛城の自宅近くでタクシーを降りたのだ。様子を伺っている佐久間の前に葛城の屋敷の塀を乗り越えて出てきた若い女性に遭遇する。彼女を尾行したのち接触すると、葛城の妾の娘とわかる。境遇に不満を持った娘と佐久間は狂言誘拐を思いつき実行に移すのだ。果たして誘拐はうまく成功するのか…と冷酷な犯罪であるはずなのに人畜無害のようなミステリーの始まりですが、これが結構にハラハラするのです。まさにゲーム。
犯人側にたってストーリーを展開させる手法は特に新しい手法ではないのですが誘拐事件を持ってきたところに(実は誘拐事件が必要でもあるのですが)面白みがあり、相手方の動向が一切知らされていない所が重要なんですね。どんな事件にしても犯人は誰か?(犯人が割れていても動機や犯行方法など解明)と云う最大の謎こそ読者を引きずり込む牽引力で、それと同等のものが無くては読者を引きずり込むなんて容易に出来ないわけであります。誘拐が成功するかどうかだけでは無理が有りすぎますものね。それなのに、どうして引きずり込まれてしまうのか不思議なのです。そうなんです、実はミステリーファンならずとも、何処かおかしいぞと危険シグナルが鳴っているのを感じるからなのです。おかしいと感じつつも何処がおかしいのか分からない、このままじゃ済みっこないと予感しつつも先が見えない、まさに警察の動向が見えない誘拐犯のごとく作者の思惑が見えてこないのであります。それこそがこのストーリーの吸引力なんですね。ここは無駄な抵抗は止めて流れに身を任せるしか方法はないようです。
ひとつだけ伏線なのでしょうか、誘拐の犯行声明をFAXするのですが、その前に娘が父親が帰っているか屋敷を見てみたいと要求するので、危険を顧みずタクシーで二人は屋敷の前を走行します。…、この意味が最後まで解かれないのですが、どんな意味があったのか気になっています。見落としたのかな? まあ、そんなわけで未読の方に申し訳ないので多くは語れませんが、一ひねりも二ひねりも有りますので期待は裏切られませんぞ。ご都合主義のように、人質が自ら飛び込んで来るので「瓢箪から駒」のように出来すぎた設定と思ってしまいそうですが、巧みに張られた伏線は伊達じゃありません。「瓢箪から駒」はどっちの話じゃ〜と、どんでん返しが待ちかまえていました。お見事!
紙の本
勝敗は読者側からのみ下される。果たして主人公は勝っているのか?
2003/01/09 01:25
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投稿者:徹志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
キザだ。本当にキザな主人公だ。書店で添えられているポップに,「キザな主人公にむかついてください」というメッセージが書かれていた。買う際はその言葉を余り気にせずにいた。だが,読み進めていくほどにそのメッセージが頭に何度も思い起こされてくるのだ。
主人公は,大手広告代理店からヘッドハントされて,現在は中堅の企画会社に勤めている。何をやるにも周到な準備を怠らない彼は,仕事にも絶対の自信を持っていた。だが,プランを練り上げていた日星自動車のテーマパークのプロジェクトを急遽降ろされてしまう。相手側の副社長の意向だという。どうにも怒りが収まらない彼は,偶然出遭った日星の副社長令嬢と組んで狂言誘拐を試みる。
誘拐を「ゲーム」と言って憚らない主人公は,持ち前の周到さで完璧なプランを練り上げ実行して行く。自信タップリなその姿は確かにキザだ。ゲームとは勝つものだ,という価値観を共有する主人公と副社長との三億円を巡る綱引き。「ゲーム」は主人公の筋書き通りに済むのか……?
買う際に「事件は犯人側からのみ描かれる。果たして警察は動いているのか?」という帯の言葉に惹きつけられた。そして期待を裏切らない出来だった。東野圭吾ならではの,仕掛けに富んだ展開で読者を楽しませてくれる。事件が一段落した後,紙幅が大分残っているので,まだ何かありそうなのは分かるのだが,私が単純なのかラストの展開に非常に驚いてしまった。やっぱり東野圭吾は上手いなぁ,と感心することひとしきり。
紙の本
犯人側から見た誘拐,身代金要求はいかにして決着するのか
2002/12/08 18:22
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投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
広告代理店の担当リーダ,佐久間は大手自動車会社のプロジェクトから突然,指名され外される。新しく副社長に就任したやり手の葛城の指示だという。やり切れず,飲んだ勢いで副社長の家に乗り込もうとすると,そこから飛び出してきた若い娘。その娘,樹理は複雑な事情から家を飛び出してきたらしく,佐久間と話し合って,自分の家から身代金として3億円を要求することにする。佐久間は自分をやりこめた相手に対してゲームを挑むという気持ちだ。こうして,緻密な身代金奪取計画が始まる。
金を取ったあと,どうするのかがきちんと書けておらず,よく分からない。と思うのだが,それは実は事情があるのだ。この話の弱点だろう。
佐久間に言わせている「誘拐がうまくせいこうしたためしはないようにいわれているが,本当のところはそうでもないだろうというのがおれの読みだ。成功したケースが報道されていないだけだ。警察がメンツを保つため,うまく隠しているにすぎないのだ」というのは,主人公の自信の強さを示す言葉だが,なかなか面白い。案外当たっていたりして…。
真保,東野と続けて誘拐をテーマにした小説がでてきた。さすがに,二人ともユニークに誘拐を扱っている。共通点もある。どちらも…だ。東野の方が,軽めだが,身代金奪取の計画の緻密さはさすが。たしかに,これなら,成功の可能性がかなり高い感じがする…。
もともとの動機はちょっといただけない。身代金奪取についてきちんと書いてきたのに,その元については,今一つ。せっかくの美しいゲームも汚れてしまう。後味も悪い。
紙の本
練達のテーブルマジックだが減点あり
2002/12/12 15:33
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投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人生はゲームである」と開き直って、勝ちを続けている男が二人登場する。ひとりは広告代理店に勤務、彼の企画したイベントのことごとくが成功している才知の持ち主、女にもまたモテモテの主人公である。もうひとりは大自動車メーカーの辣腕副社長である。このメーカーから依頼された大型イベントの企画リーダーであった主人公は副社長の美学にそわず満座の席で罵倒されチームから外されてしまう。腹の虫がおさまらない。なんとかしてひと泡吹かせてやりたいと、じりじりとしていたところに家出をした副社長の娘とたまたま出会い、二人共謀して偽装誘拐をたくらむ。狂言誘拐で3億円をせしめようとするのである。
誘拐テーマのミステリーでは身代金受渡の方法が作者の知恵の出しどころだ。携帯電話、インターネット掲示板、電子メールと最近の情報ツールを縦横に駆使し、脅迫から現金授受の指図とここは詳細に描かれ、果たして狙い通りに成功するかと読者としてはハラハラしながらページをめくることになる。無駄な叙述は一切なく、快調なテンポで物語は進む。
二転三転、二人の知恵者の攻防戦のゆくえは?
読み手にとっては家出娘と偶然出会うなんて不自然ではないかとのもっともな意見があるでしょう。マジックショウを見て、絶対におかしい、タネがあるはずだとご機嫌ななめになるむきがあるのと同じだ。もともとこの種のミステリーはある非現実な状況を所与のものとして読者に向けて露骨に謎を提起する、まさにパズル的ゲームとして楽しむためにあるのだと心得なければ読む価値がないのです。
最近、パズル型ミステリーには状況設定にゴテゴテとした厚化粧をこねくり回すだけの「巨編」が目につくが、この作品は贅肉がなく、しゃれたテーブルマジックに仕上がっています。
当然スマートな決着を期待していた。気分爽やかにだまされたかった。ところが、そうではなかったことで、減点は大きい。ラストは「誘拐という名のゲーム」としてあざかかな決まり手で締めるべきでしょう。
紙の本
小説のメディア的特性
2003/11/30 23:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ダブルディ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現実の世界で誘拐事件が起きるたびに、
誘拐が犯罪のなかでもどれほど割が
合わないかということが、決まって報道
される。
それでも、誘拐事件が無くなることは
ないだろう。
また、誘拐が現実の世界では成功しない
からこそ、フィクションの世界では、より
多く扱わられ、誘拐が成功する作品が
生まれるのであろう。
本作品の場合は、誘拐が一見成功した
ように見えるところまでが、長い長い
前置きで、そこからがメインストーリーと
いったところか。
本作品を映画化したもののタイトルの
「g@me」が示すように、携帯電話・パソコンが、
誘拐のツール等に頻繁に使用されるが、小説では
ドラマや映画のように、携帯電話やパソコンを
使用しているキャラクターやそれぞれの画面を
映し出したりできない。それを文字で表現
しないといけないからこそ、従来の小説を
読む面白さが、失われずにすんでいる。
他に読むべきところはと問われたら、
雑誌に連載されていた時のタイトル『青春の
デスマスク』に隠されていると答える。