ミトコンドリア・ミステリー 驚くべき細胞小器官の働き （ブルーバックス）

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投稿者：萬寿生　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　分子生物学の研究成果を、具体的に興味深く解説している。定説となりまとめあげられ、整理されてでき上がった知識として、教えられるだけでは、学問の面白さは解らない。面白くなければ、興味もわかない。それが現在の教育の現場で、問題になっていることである。ここでは、知識を獲得する経過と、学問を作り上げる過程とが、著者の実体験を通じて、述べられている。研究途中の試行錯誤や、悩み、論争が、生々しく臨場感に溢れ、語られる。学問が創られる過程を、実体験を元に、疑似体験できることが、若者に学問への興味と興奮をもたせる。中学生には難しいかもしれないが、高校生には読んでもらい、最先端の学問に、興味を感じ、自分も挑戦しようという気になってもらいたい。
　内容は表題どおり、細胞内のエネルギー生産工場として知られる、ミトコンドリアのＤＮＡにまつわる謎を解明する、研究過程とその成果の解説である。癌、遺伝病、老化がミトコンドリアＤＮＡの変異によるものだという学会の定説を、巧みな実験手法を開発し、実験で確認し覆した過程が、述べられている。学問の現場のわくわくするような興奮と、面白さが、共有できる。

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投稿者：福原京だるま　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ミトコンドリアが病気や老化の原因なのかという疑問に精緻に実験を行い、ある種の病気は引き起こすが癌や老化についてはミトコンドリアは原因ではないと実証していく様が面白い。変異する一方のミトコンドリアDNAが老化の原因だという説にミトコンドリアは足りないところをお互いに連携して補うことで機能不全になることを防いでいるという発見はすごいと感じた。

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投稿者：穴部　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ミトコンドリアは酸素からエネルギーを生み出す働き以外にも、生物にとって有益な働きをしていることがよくわかった。
ミトコンドリアのおかげで、生物は格段に進化し、多様化したのだと思う。

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投稿者：ちこ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、ためになる知識を誰にでもわかるように解説してくれると好評の「ブルーバックス」シリーズの一冊で、同巻は「ミトコンドリア」について書かれた専門書です。同書は、ミトコンドリアの研究に人生を捧げたとも言える林純一先生の研究について書かれたものです。林先生は、がん化した細胞の細胞核のみを除いて正常細胞と融合させ、がん細胞のミトコンドリアを持つ正常細胞を作り出すとともに、この細胞をヌードマウスに移植してもがんが発生しないことを示した偉大な研究成果を成し遂げた科学者です。これによって、これまで医学界で信じられてきた、がんの原因はミトコンドリアDNAに起こる突然変異ではないか、という説を真っ向から否定できることを証明したのです。この林先生の研究を丁寧に解説した画期的な一冊です！